会場はいつもの文協の会館。 盆踊りの時には天井から提灯がたくさんぶら下がりますが、今回はカイピーラ、 ちょっと違います。万国旗のような飾りや提灯みたいなものがぶら下がってますが、 すべて新聞紙で作ってます。その安っぽいところ、ぼろっちいところがカイピーラなんだそうです。
三々五々集まってくる人たちもいつもと違います。 みんなカイピーラの格好です。男はつぎはぎだらけのズボンにこれまたつぎのあててある上着。 靴はカウボーイの履くようなブーツで頭の上には麦わら帽子。 そして「鬼瓦権三」のように口の周りに黒くひげを書き、いかにも田舎者って感じ。 女はちょうど「大草原の小さな家」のお母さんのような裾の長いドレスにちょっとフリフリの上着。 こちらにもつぎがあててあります。頭の上にはこれまた麦わら帽子。 髪型は三つ編みのお下げで、ほっぺたは真っ赤に塗りご丁寧にそばかすまでかいてあります。
そんな人たちが集まると本当に「開拓時代」という雰囲気になります。 普通ならお偉いさんの開会の挨拶になるけど、今日は違います。 まずは結婚式から始まりました。といっても田舎風の。 黒ひげおじさんとフリフリおばさんが新郎新婦役で始まるのですが、内容はなつかしのドリフ調。 途中で派手派手おばさんがでてきて「あなた、私のおなかの中のあかちゃんはどうするの!」 と迫ってきたり、新婦があきれて「この人は信じられるんでしょうか?」 というと神父が「じゃあ三人で一緒に一晩過ごして確かめてみよう。」 と言ったり、それに新郎新婦の親が飛び込んできたりして楽しげな劇でした。
その後は恒例の踊り。これまた田舎風ということで、フォークダンスみたいなのを楽しみます。 この日はダンスの先生も来ていて、彼の指導のもとにグルグルとまわります。このダンスの先生、 ちょっと黒人の血の入ったブラジル人でかなりかっこいい人です。
踊り疲れた人たちは食べ物のまわりに集うんですが、こ こにもフェスタ・ジュニーナならではのものがありました。 まずは「ホット・ワイン」これはワインに砂糖とリンゴやレモンを入れて煮込みます。 味は甘いジュースといったところです。つぎに「ケントン」 サトウキビから作ったブラジルの地酒「ピンガ」 に砂糖とショウガとリンゴを混ぜて煮込みます。 ピンガの強いにおいをショウガが中和して絶妙の味わい。 日本でいうならちょうど甘酒のような味です。 もともとフェスタ・ジュニーナは寒い時期にたき火を囲んでやるのが正統らしく、 そういったところもお正月夜中の初詣で寒い体を温める甘酒と同じような感じがします。
さてさてリンス文協のフェスタ・ジュニーナは終わりましたが、 これからもあっちこっちで続きます。6月から7月のはじめにかけてはフェスタ・ジュニーナの季節で、こ の時期は大きい花火をあげることが認められているそうです。 夜になるとあちらこちらでドン・ドンという音が聞こえるのもきっとブラジルの冬の風物詩なんでしょう。