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フーテンのものども



ブラジルは野犬が多いです。もともと治安が悪いので防犯のために犬を飼う家が多く、そのうえこっちの人達は自分勝手なので飼えなくなったら捨てるんでしょう。ただ、日本の野犬というと傷を負った一匹狼みたいで惨めで攻撃的だけど、こっちでは平和に住人と暮らしています。カトリックで慈悲深い人も多いのでそういった人から餌はもらえるし、保健所の野犬狩りもないし、わりとのんきに暮らしているみたいです。野犬の方も人とのつきあい方を分かっていて見ず知らずの通りすがりの人にほえたりしないし。こんな環境だったら「うちではもう飼えないけど、外で元気に暮らしてね。」って言えそうな気もします。そんなのんきな犬達を見ていると「おいおい、こっちにおいで」と手を出したくなりますが、それは禁物。野犬の本性を出してきて吠えたてます。日本から来てそうやって噛まれる人もたくさんいるみたいです。

また、犬の生活場所もだいたい決まっているみたいです。いつもの街角にはいつもの犬がいます。ブラブラしていて手持ちぶさたな犬もいますし、餌を探して目を光らせたりしている犬もいます。とにかく「犬も歩けば棒にあたる」ではないですが「人も歩けば犬にあたる」というぐらい野犬が多いです。犬好きの僕はいっこうに構いませんが、犬が嫌いな人達はビクビクしながら暮らさないといけませんね。でもサン・パウロやリオ・デ・ジャネイロのような大都会ではあまり見かけませんが。

ただ、町でよく言われている噂に「サーカスが来ると犬が少なくなる」というのがあります。こちらでも日本と同じようなな移動サーカス団があり、数ヶ月に一回来るんですが、噂によると「ライオンなどの猛獣の餌にするために、夜になるとサーカス団員による野犬狩りが行われている」んだそうです。

どうでもいいことですが、中国を旅したときは野犬が少なかったですね。一度犬鍋も食べたことがあるのでこのあたりが原因に違いありません。なぜなら犬を食べる習慣がないチベットに入ったとたん尋常ならざる数の野犬がいました。きっとあれは中国各地からやって来た難民ならぬ難犬にちがいありません。


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