先日例のごとくスイッチョに泊りがけで行ってきました。スイッチョというのは小農場という意味で、こちらの人でちょっとしたお金持ちの人は郊外に農場を持って牛を飼ったり農園を持ったりしています。で、週末になると都会の喧騒を離れて自然の中に身をゆだね、日ごろの疲れを落とします。僕が住む町はけっして都会とはいえない田舎の町ですが、郊外にスイッチョを持っている人はたくさんいます。僕も旅行に行かない週末はそれについていってのんびりとすごすわけです。
さて、今回は三連休ということで人数も多く泊りがけで行くことになり、いつもより多目に荷物を積み込んでいます。その中にテレビやスピーカーもあり「これなに?」と聞くと「向こうでビデオケするの。」とのこと。今までカラオケはやったことがありますが、ほとんどの場合カセットテープで、ビデオケは始めてです。
到着した後、ビデオケのセッティングです。ビデオケは大きさといい形状といい日本のビデオデッキと同じような感じです。やはりビデオ+カラオケでビデオケのようです。そういえば、昔ベトナムの田舎町に行ったときにもビデオカラオケを楽しみましね。その町はまだ電気が来ていなくて、たった一台の発電機が町のすべてでした。そんなわけで各家庭の電化製品は一台限り。カラオケ場だからといって例外はありません。照明だけで容量オーバーです。でも歌いたいというベトナム人の気持ちは押さえがたく、車のバッテリーをつないでやってましたね。テープなので自分の好きな曲を選べるわけもなく、最初の曲から順番に歌っていくんですが、薄暗い白熱灯の下で熱唱するベトナム人を見ていると「終戦直後や高度成長期の日本もこうだったんだろうなぁ」と感じて、力強いベトナムの未来を垣間見た気がしました。
その後恒例のシュハスコも終わり、そろそろカラオケモードになりましたが、リストを見ると400曲ぐらいあります。日本のカラオケのようにリモコンで番号を入れると即座に歌が出てくるし、全然ビデオテープを入れ替える様子もありません。いったい一本のビデオに何曲入っているんでしょう?それに頭出しが異様に速い気がするし。
いろいろと分からないことがあるので「ねえねえ、ビデオケってビデオが入ってるんでしょ?どうやったら一本のビデオに何百曲も入るわけ?」と聞いてみました。すると答えは「ビデオなんか入っていないよ!」、えっ?じゃあ何が入っているんでしょう。と思って近くで見てみると確かにビデオを入れるようなスロットはありません。「ここに歌が入っているんだよ」と教えてもらったのがビデオケの後ろ。ステレオなんかによくあるような背面ですが、よく見ると何か刺さっています。「これ、このチップに入ってるの」。
そうです。ビデオケはビデオのカラオケではなく、メモリーチップに入っている音楽を再生するカラオケなのでした。どうりで日本のカラオケ並にトーンを上げたり下げたりスピードを変えたりできたわけです。やっと分かった僕はその後ビデオケについて教えてもらいましたが、これは全く日本のカラオケをこえるカラオケマシンだということが分かりました。
まずはメモリーチップ。手のひらに乗るぐらいのチップですが、一つのチップの中に500曲以上は入れることができるそうです。しかもビデオケの後ろにはチップを入れるスロットが10以上あるので、フル装備すれば5000曲のカラオケが楽しめるということになります。それだけ詰め込んでも大きさは日本のビデオデッキと一緒!!なんとも恐るべきマシーンです。
何でも韓国の会社が作った物で、ブラジルで特許もとっているみたいです。たぶん日本ではまだ売られていませんね。その理由のなんとなく分かります。だってこんな便利な機械が日本で出回ったらカラオケ店なんかだいぶんつぶれるんじゃないでしょうか?それにチップの偽造とかも簡単そうだし、著作権上も問題が多いのかもしれません。
しかしこんな機械を作らせてしまう日系社会って…と思わずにはいられません。
ただ、このビデオケの難点。やはりチップが高いようです。手のひらに乗るようなチップ一枚が500R$(三万円ぐらい)以上するようです。一曲○○R$といったぐあいに、中に入っている曲数で値段が決まるらしいです。
それにしてもこのビデオケ、日本に持って帰ったらカラオケファンは喜ぶだろうなぁ。