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本格的蹴球観戦記その2



「その2に続くかもしれません」と言ってましたが、やっぱり続きました。

今回はサッカー観戦のためだけにサン・パウロまで行って来ました。我ながらバカだなぁと思います。今回見たのは両方ともサン・パウロ州選手権の三次リーグ最終試合のサン・パウロ×グァラニ(土曜)とコリンチャンス×パウメイラス(日曜)です。

サン・パウロ×グァラニ

これまでの経過は省きますが、サン・パウロはこの試合に負けると最終リーグ進出がやばくなってきますが、相手は三次リーグ最下位のグァラニなので、たぶん楽勝でしょう。こんな試合はそれほど観客も入らないと思うので、事前に切符も買わずに直接スタジアムに乗り込みます。

前回は警察に何度もとめられて到着に時間がかかったので、今回は早めに出発します。でも早すぎたのか、サン・パウロ応援団専用バスではなくて、普通の客も乗っている乗り合いバスになっちゃいました。そんなバスに応援団が半分乗っていて例のごとく大騒ぎしているので迷惑と言えば迷惑なんですが、客もこの時間に乗ればどういうことになるか分かっているので黙って乗っています。

幸い時間が早く、一般客も乗っていたので検問にとめられることなくスタジアムまで行けたんですが、初めの頃は威勢の良かった応援団もスタジアムに着く頃にはエネルギー切れを起こしたのかおとなしくなります。このあたりが最後までガンガンわめいていたコリンチャンスの応援団と違いますね。もともとファンの熱狂度についてはコリンチアーノの右に出るものはいないので、これが普通なのかもしれませんが。

スタジアムに着いたときには試合開始の二時間前。ちょっと早くつきすぎたようで、グラウンドではチアガールのお姉さん達が普段着のままで練習してます。本番では余すことなく肉体を露出してくれる彼女たちの普段着を見ているとかえって新鮮な感じがします。やっぱ彼女たちもブラジルのどこにでもいる若い女性のようです。ちなみにサン・パウロ州リーグのホームページを見ると、チアリーダーの人気投票もやっていました。興味のある方はご覧下さい。

一足飛びに試合ですが、やはり格下のグァラニ相手なだけに圧倒的に押しています。何と言っても注目はフランサ。現在サン・パウロ州リーグの得点王で、次回イングランドとの親善試合ではセレソンに選ばれ、あのホマーリオと組むことになっています。そのフランサが一点目を決めたときにはスタジアム全体がもりあがります。

でも、日本人の僕にもっとも興味深かったのがサンドロ・ヒロシの途中出場です。名前からも分かる通りに彼は日系三世の選手ですが、トヨタカップで二年連続優勝し、毎年ブラジル選手権で首位争いをするようなビッグチームで活躍した日系人選手は彼が最初なんじゃないでしょうか。日本人カズの活躍も有名ですが、実際に彼が活躍したのはコリチーバなどブラジルでは1.5流と見なされるチームだったので、それを考えてみてもすごいことです。ブラジルで「Futebol Japones」と言えば、「下手なサッカー」という意味になるぐらい日本人のサッカー下手は有名ですが、こういった選手の活躍や最近の日本チームの活躍!?により、少しはサッカー界における日本の地位も上がってきているようです。

ただ、そんな彼もしばらく不遇でした。昨年まではスタメンで頑張っていたんですが、過去の年齢詐称問題で叩かれ、六か月もの出場停止を食らっていたからです。「選手生命を絶たれるか?」と思いましたが、今日は晴れて途中出場していて喜ばしい限りです。このまま育っていって、第二のポール・カリヤになって欲しいものです。

さて、スタジアムの人々はそんなことはみんな承知しています。後半になり、サン・パウロの動きが鈍くなってくるとスタジアムのあちこちから「ヒロシを呼べ!」の声があがり、彼がアップを始めると「ヒロシ!」と声があがります。そして途中出場が告げられると大きな歓声。いやはやすごいものです。

でも実際には「ヒロシ!」と呼ばれることは少なく、ほとんどの人達は「ジャポネース」と呼んでいます。「ジャポネース走れ!」とか「ジャポネースなにぼやぼややっているんだ!」とか「もっとジャポネースに球をまわせ!」とかです。他の選手だったらこれほど声があがることはないので、良くも悪くも彼はサン・パウリーノの注目の的のようです。

しかしスタンドから見ていても、久しぶりの出場のためかいまいち動きが空回りしています。そのせいかなかなか彼には球がまわってきません。そうするとますます観客は大声を出すんですが、その中には「ジャポネース」以外にも有名(らしい?)彼の呼び名がありました。

それは「ポケモン!」です。ブラジルで一番有名な日本のものといえばポケモンです。日本と言えばポケモンしか知らないのか、「ポケモンもっと前へ出ろ!」などと彼をポケモン呼ばわりしています。う〜ん、このあたりにもブラジル人の日本観がにじみ出ていますね。そして「ジャポネース」とか「ポケモン」とかいわれるたびに隣にすわっていたちっちゃい男の子がこちらの顔色をチラッチラッと眺めるところがかわいいですね。で、こっちが男の子を見ると、顔をそむけたりなんかして、このあたりは「ガイジン」に興味を持っている日本の子供達と同じですね。

その家族連れでもう一つ面白かったのはお父さん。お父さんもサッカーファンのご多分に漏れず、自分の気に入らないプレーがあると大声で罵詈雑言をまくし立てるんですが、罵詈雑言の中でも特に汚い言葉を我が子の前で使うのにはやっぱり躊躇するようです。こちらではそういった汚いヤジをみんなで合唱することがあるんですが、さすがにその時ばかりはさっきまで威勢のよかったお父さんもウア〜ウア〜と意味不明の言葉を言っていて、「やっぱお父さんは大変だね」と思わせてくれます。

コリンチャンス×パウメイラス

なんでもこの試合は「ファン感謝デー」みたいなもので、入場料が一律2R$になってます。普段の1/5の値段です。新聞を読むと「この割引切符は午前中しか販売しません」って書いてあったのでしょうがなく午前中にチケットを買って、それから延々と時間をつぶす羽目になりました。

さて、そのせいか結構観客が入っています。前回見たコリンチャンス×パウメイラスも控え中心でしたが、今回はもう始める前からそれが分かっています。というのも両チームともすでにサン・パウロ州選手権三次リーグ突破を決めていて、負けても勝っても結果は変わりません。また、それぞれ火曜日と木曜日にリベルタドーレス準決勝の第二戦というとっても大事な試合を控えている上、その後もリベルタドーレス、サン・パウロ州選手権、ブラジル杯で大事な試合が連続するので、こういった「消化試合」みたいなときはレギュラーを休ませないといけません。

で、発表されたスタメンを見ると両チームともすごい陣容。普段おなじみの名前はひとりもいません。それに途中交替でも聞いたことのないような選手がゾロゾロ。だいいちグラウンドに立っている選手の背番号が軒並み二十番台ってのが全てを物語っていますね。この前見た試合も控え中心とはいえ数名はレギュラークラスが出ていましたが、今回はすごかった。おまけにベンチの控え選手を見てもそこにはレギュラークラスの名は無く、今日は完全休養日のようです。そういえばいつぞやの試合は選手がほとんど控えなのに加えて、監督まで来てなくてコーチが監督をやってましたね。

そんな選手達の試合なので要所要所でトラップミスやシュートを空振りする選手がいて、そのたびに会場からはヤジとともに笑いが飛び出します。とはいえお互いに似たような戦力なので試合は一進一退の攻防。そうなるとやっぱり盛り上がっちゃうのがコリンチャンス×パウメイラス戦の常。定員の半分も入っていないスタジアムですが飛び上がりながら応援する人達のお陰で本当に揺れています。

それにこっちの客もサッカーのことがよく分かっていて、動きの悪い選手がいると「○○出ていけ!」のコールが起こり、出場していない他の選手の名前を連呼したりします。今回ターゲットになったのはインジオ。今日はセンターバックをやってますが、確かに動きが悪くパウメイラスの選手にたびたび突破され、ピンチを迎えます。本来この位置にいるのはエドゥなので客席からは「エドゥ!エドゥ!」のコールが。そうすると本当にそうなるんですね。そのうちエドゥが出てきました。インジオの動きが悪いからエドゥを出したのか、観客が呼ぶから出したのか分かりませんが、これ以外にも観客が連呼した選手が出て来るというシーンは何度か見ました。このあたりもブラジルサッカーの特徴ですね。監督といえどもファンの意向を完全に無視することはできないのかもしれません。

試合の方はこれといってすごいプレーもなく、拙攻拙攻の連続ながらもコリンチャンスが4×2で勝ち、気持ちよく帰ることが出来ました。帰りはバスがたくさん通る近くの大通りまで20分ほど歩くんですが、そこには気勢を上げるコリンチアーノばかりでパウメレンセは今日もいませんでした。彼らはいったいどうやって家まで帰っているんでしょうね。


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