ブラジルは言うまでもなく日本から見ると地球の反対側。頭を下に、足を上にして生活しているだけに何事も日本と正反対。
さて、ここにあるのは雑誌、プレイボーイの写真。
ちょっと見てみるだけで日本との違いが一目瞭然。表紙の女性はお尻をこちらに向けて振り返っていますね。プレイボーイといえば、その国のエロスの基準を示す指標雑誌ですから、これはブラジルのエロスの基準ということです。日本のグラビアでこんなアングルの写真はあまりありませんよね。日本では逆にパイレーツじゃないけど両腕を寄せて、胸の谷間を強調する写真があふれています。
そう、「ブラジル人はお尻が命!」
かれこれ1年以上ブラジルにいますが、もう男どもは「尻・尻・尻」です。ブラジルの男に聞いてみると「女はやっぱり尻だね。胸はついてればなんでもいいよ!」なんて答えが返ってきます。女性もそういった男性の心がわかっているだけに、お尻の美形維持にはことのほか気を使っていて、ジーンズなんかもお尻がピチッっとしていて、「どう?私のお尻はすてきでしょう!」と無言の圧力で目の前に迫ってきます。
これが究極に発揮されるのがブラジルのビーチ。まさにお尻の品評会といった趣があります。日本のTバックなんてかわいいもんです。先ほどのプレイボーイの女性のお尻にある水着跡を見てください。お尻の上のほうに申し訳程度に跡が残っているだけでしょう。「日本でも雑誌のグラビアのお女性はそうだよ!そんな人と実際に海にいる人はぜんぜん違う!」と思う方もいるかもしれませんが、そうじゃないのがブラジルの恐ろしいところ。若い女性はみんな小さいビキニをしているんです。こちらではそういったビキニのことを「フィオ・デンタウ(歯の隙間を掃除する糸ようじのこと)」と呼ぶんですが、まさにフィオ・デンタウのような細さです。お尻の上の方だけは布でおおわれていますが、お尻本体はドドーンと世間様の前にさらされていてすごい迫力。
「な〜んだお前、いい思いをしてるじゃねぇか!」とお思いのあなた!まだ続きがあります。ここは何事もオープンなラテンの国、女性の水着についてもそうで、老いも若いも体型にも関係無くそんな水着を着るもんですからxxxな時もあります(さすがにお年を召された方はフィオ・デンタウは着ませんが、それでもビキニは着ています)。だから水着に関する女性のこだわりも深い。今ではリオ・デ・ジャネイロの水着ショップは世界の流行の発信地となっています。うわさの水着ショップはその名も「Bum Bum (お尻!)」で、ここでもお尻が女性の美しさの中心です。
女性が美を追求する時、もうひとつ忘れてはならないのが整形。こちらでは整形手術が盛んで、僕の身の回りの女性でもたくさんの人が整形手術をしています。日本だと整形手術=若い人というイメージですが、こちらでは年配の人で手術をする人も多いですね。だいたいそういった人は、顔のしわを伸ばしたり、脂肪を吸引したりして、若々しさを取り戻しています。
さて、日本の若い女性の整形手術のひとつに「豊胸手術」がありますね。パソコンで「ほうきょうしゅじゅつ」と入力したら一発で変換してくれたので、それぐらい一般的になっているんだと思います(僕が単語登録したんではありません。デフォルトの状態で一発変換です)。ではお尻文化のブラジルでは…
そうです、「豊尻手術」です。いったい何て読めばいいのか分かりませんが、とにかくお尻にシリコンなんかを入れて、形をよくする手術で、テレビに出てくる若い女性芸能人の多くが豊尻手術をしています。日本ではあまり聞かない手術だと思いますが、逆にブラジルでは豊胸手術の方がマイナーな存在。今年(2000年)のリオのカルナバルでは、どこかの踊り子が豊胸手術をしていましたが、逆にこれが「普通女性の整形手術といえば、豊尻手術というのが相場だったが、最近は豊胸手術なるものがあって、胸に詰め物をする女性も出てきた。女性の美への探求心はとどまるところを知らない」なんて記事になったぐらいです。
これだけ強烈なお尻文化に洗脳されたブラジルの若者が大好きなのも「お尻」。海岸を歩いているとそれがよく分かります。国は違えど海岸に砂を使って女性の裸像を作る若者がいるのは、もう世界の法則ですよね。僕も横浜八景島の海岸で作りましたが、ブラジルの裸体像を見てびっくり。うつぶせなんです。僕たちが作ったのはもちろん仰向けで、胸が大きかったりするんですが、やはりブラジルはお尻がメインでした。
また、海岸を若者がグループで歩いています。すると向こうからいかにもって感じの女性が歩いてきます。すれ違うまでは何食わない顔をして歩いている若者たち。でも女性が通りすぎると全員がすごい早さで後ろを振り向き、お尻の方向へ熱〜い視線を送っています。先ほども書きましたが、なんでも開放的なラテンの国なので、まわりの人たちにはばかることなく堂々と振り向き、じ〜と食い入るように見つめます。女性の方も心得たもので、これ見よがしにスカートを上げたりして期待に答えます。こう書くとまるでブラジルは性の無法地帯のようですが、あっけらかんとしてジメジメとしていないだけに、それほどいやらしさを感じないところが救いです。
日本だったら、そういった男性の目をくすぐる女性のことを「ボイン(ってあんた永井豪かって言うぐらい古臭い言葉ですね)」って言いますが、ボインというのは胸のことですよね。もちろんこちらでは違います。「ポポズーダ(=お尻のデッカイ女性 「ズ」にアクセントをつけると本場っぽい)」です。たとえばサッカーのハーフタイムの時などにチアリーダーが出て来ると、スタンドの男性陣からは「オ!ポポズーダ!オ!ポポズーダ!」のコールが巻き起こります。するとチアリーダーたちが突然後ろを振り向き、ミツバチの尻振りダンスのようにお尻をブルブルブルンと振るわせるもんだからさあ大変、スタジアムからは得点が入った時のような大歓声が起こります。
でも普段は田舎の学校で子供たち相手に授業をしているので、こんなことには無縁で…
と、書きたいところですが、無縁じゃないんです。もう10歳ぐらいの子供たちからお尻がピッチリした「尻コンシャス」のズボンをはいてお尻を振り振り歩いているんです。いや〜今からこれだけ矯正するからこそあの立派なお尻になるってもんですよ。実際サン・パウロの街中では日本人や日系人をよく見かけますが、お尻を見れば一発で違いが分かります。
日本ではスリーサイズでバストよりもヒップの方が大きいと悩んでいる女性が多いと聞きました。それをブラジルの人に言ったら「オ〜、なんてかわいそうなことで悩んでいるんだ!お尻が大きいことほど美しいことはないのに!」と同情の涙です。
日本でお尻の大きさに悩んでいる女性の皆さん!尻フェチとして日本で不遇の日々をかこっている男性の皆さん!ぜひともブラジルに来て、この尻文化を体験してみませんか?