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時の流れに身をまかせ



だいぶん前になりましたが、2000年のカウントダウンをリオ・デ・ジャネイロで楽しんできました。カウントダウンと言えば時計ですよね。それを見ながら「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1!!」とやっていくのはいつの世も楽しいものです。その時はブラジルでその気分を楽しもうと思って日本の友人たちをたくさん呼んだんですが、ここで「ハテ?」と困ったことがありました。

どうやったら正確な時間が分かるの?

カウントダウンには正確な時計がかかせませんが、そんなもの持ってないんです。僕の身の回りには腕時計や目覚し時計、果てはパソコンの内臓時計までいくつもの時計がありますが、どれが正確なのか分かりません。その時になって気づいたんですが、今までブラジルで時計を合わせたことがない、というか合わせようと思ったことがないんです。

よく日本で言われていることに「南米は時間にルーズだから8時に集合と言われて、8時に行ったら誰もいない」なんて話がありますが、これは本当です。さすがに仕事の世界ではそういったことは「悪弊」とされ、徐々になくなりつつありますが、友人同士のフェスタなんかでは今でもこの習慣は健在。日本人的な考えだといらいらさせられることになります。8時開始の結婚式にみんなが集まってくるのが8時半、始まるのが9時過ぎで、実際に料理が出されるのは深夜12時を回ってから式の終了は翌朝!、なんてことが実際に行われているそうです。

そういった生活にドップリはまってしまうと自分もそうなってしまうのが僕の弱いところ。日本にいたころは時報で時計を合わせたりしていたんですが、そんなことをしなくなりました。だいたいテレビの時間だってあてになりません。7時開始の番組がテレビ局によってマチマチだったりしますから。日本の朝の番組みたいに時間が表示されることなんてないし、NHKの7時のニュースの前のみたいに、「ピ・ピ・ピ・ポーン」なんて時報はありません。もちろん107みたいな時報サービスなんてあるわけもなし。

こうやって時計を合わせない生活が続いている僕の周りの時計はみんな勝手気ままな時間をさしていて、一番離れている時計どうしでは30分ぐらい時間が違ってました。それでも何の問題もなく生活できるからブラジルは恐ろしいというか、すばらしいところです。

でも、さすがに悲しくなることもありました。それは学校の時計。日本語学校の授業時間はこの時計で決めているんですが、いつも不思議に思うことがありました。というのも我が家には比較的正確だろうと思われる時計がひとつあり、僕の日常はこれを基準にして動いているんですが、この時計で授業に間に合う時間に家を出ても、学校に着くとギリギリということがよくあったんです。たとえば9時に学校に行くとします。うちから学校までは歩いて5分ぐらいなので、45分に出ればじゅうぶん間に合うわけです。でも学校に着いてみると9時ギリギリ。いつもおかしいなぁと思いつつも「時計を見て、家を出ようと思ってからもゴミを出したり、いろいろとこまごましていることをやっているので時間がかかっているんだろう」ぐらいに思っていましたが、ブラジルに来て1年以上たって、実は「学校の時計はうちの時計よりも10分進んでいる」ということを発見しました。

これで分かりました。この時計で授業を開始しているんですが、なぜか生徒が5分ほど遅れるんですよね。まだ出席簿をつけたり連絡事項を言ってる最中だったりするんで授業には支障がないんですが「なんであと5分早くこないかな!」と思っていました。でも生徒たちは早く来ていたんですね。ちゃんと開始5分前には来ているんですが、学校の時計が10分進んでいるので5分遅れになっちゃうんですね。

この事実にも驚いたんですが、もっと驚いたのはこの1年間、生徒を含めて誰もこのことに気づかなかったということです。

まったくブラジルという国は時間を馬鹿にしていますが、そんなところが好きだったりもします。


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