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1999年10月 オクトーバーフェスト



サン・パウロでの会議の後に行ってきたサンタ・カタリーナ旅行記第二弾です。

10月8日 金曜日

翌週の火曜日12日はブラジルのこどもの日でお休み。そうすると日曜と休日にはさまれた月曜日も事実上休日になっちゃうという素晴らしいブラジルの学校システムを利用して、再びサンタ・カタリーナに行ってきました。

僕たちの今回の目的はサンタ・カタリーナで行われているオクトーバーフェスト。これはドイツ人移住者が多いブルメナウという町を中心として、付近の同じような町が共同でやっているお祭りです。オクトーバーフェストは本国ドイツではビール祭りとして有名で、こちらでもビール好きのブラジル人の国民性とマッチして期間中に100万人の観光客が集まるそうです。

最初の目的地はパラナの州境に近いジョインビレですが、直通バスが予約できなかったので夜行バスでクリチーバまで行き、そこから乗り換えることにしました。クリチーバ行きのバスがサン・パウロのチエテのホドビアリアから夜中の12時に出発するので11時すぎにチエテについてみるとすごい混雑。連休前の金曜日ということでサン・パウロ市民が大挙して脱出をしているみたいです。

ごった返す待合室で時間をつぶし、クリチーバ方面の出発ホームに行くとさらに混雑がひどいです。人でぎっしりです。このうちの何割かはそこで乗り換えてサンタ・カタリーナに行くんでしょう。また、サンタ・カタリーナの州都フロリアノーポリスは波が荒く、サーフィンのメッカらしくサーフボードを抱えた若者達もたくさんいます。全体に年齢層が若いですね。それを反映してかバスの方も頻繁に出ています。僕たちの乗るバスは正確には23時58分発のバスでしたが、23時57分発や0時00分発などとほとんど一分刻みでバスが出ています。

とにかくそんなお祭り目当ての客を乗せたバスはクリチーバに向けて出発しました。こういったバスは途中のドライブインで運転手の交代などのために休憩をするんですがそこのたくさんのバスで大混雑。ドライブインもたくさんの人でにぎわっています。僕たちの隣に停車したバスはどうもブルメナウ直行のツアーバスらしく、すでに出来上がっちゃった人達がビール片手に浮かれ騒いでいます。中にはジョッキをかたどった帽子をかぶっている人もいて楽しそうです。

10月9日 土曜日

まずはクリチーバで乗り換えます。ここでもサンタ・カタリーナに行く人がたくさんいます。僕たちが予約したバスは Catarinense というサンタ・カタリーナ一帯を走っているバスですが、このときは年に一度のかきいれ時らしく、たくさんの臨時便が出ています。自社のバスだけではとうてい処理できないので他の会社のバスをチャーターしているらしく、フロントガラスに「Catarinense 運行便」とだけ書いた他のバスが続々と入ってきます。何はともあれ再びサンタ・カタリーナに行くことになりました。

目的地ジョインビレは大西洋岸のサンタ・カタリーナ第二の大きな町です。といっても人口は40万人ぐらいですが。ガイドブックによると、軽工業が盛んらしく住民一人あたりの所得がブラジルで一番だそうです。

一眠りして起きたらジョインビレにつきましたが、抜けるような青空です。一週間前のサンタ・カタリーナや会議があったサン・パウロではずっと曇天で、やや肌寒かったりしたので、久しぶりにみた素晴らしい青空です。「なんか南に来た感じがする!」と思いましたが、よく考えるとここブラジルでは南に行けば行くほど寒くなるんでした。でも標高が高いクリチーバから海岸沿いの町に移動してきた分たしかに暖かくなってきました。

気持ちのいい町をタクシーで飛ばし、予約してあるホテル「JOINVILLE PALACE HOTEL」へ。道沿いにならぶ家々もどことなくヨーロッパ風で、今までのブラジルの無機質な町とはちがう何かが感じられます。ホテルに到着してみると、中心部のこじんまりした通り沿いのホテルで、近くにはオープンカフェスタイルのランショネッチもありすごく開放感があります。通りの両側にはドイツ風の建物が建ち、歩く人々も金髪碧眼のヨーロッパ系が多くブラジルにいる気がしません。

さて町に繰り出した僕たちが最初にめざしたのが「移民資料館」。サンタ・カタリーナ一帯はヨーロッパ移民が多いんですが、彼らの移民初期の頃の生活が展示されています。その前にもう一つ見所があります。資料館前の「ヤシの木通り」。資料館前に一直線に伸びる道路沿いに50メートルはあろうかという巨大なヤシの木が林立しています。その姿はあたかも資料館の入口を守る番兵のようです。抜けるような青空をバックにそびえ立つヤシの木を見ていたら、不意に昔旅行したベトナムはサイゴンの旧大統領官邸前の通りを思い出しました。あそこもここと同じように巨大なヤシの木がならんでいました。近くには旧アメリカ大使館もあり、戦争中の記録写真ではヤシの木の間を次々に飛来するヘリの写真などもあり、そういった景色を思い浮かべたものです。

また、このヤシの木の中には世にも珍しい、「二本ヤシ」というのがあります。根元は一本なんですが、幹の途中から二本に分かれているもので、世界的に見ても珍しいヤシの木です。確かに珍しいんでしょうが、実際に見てみると「そんなもんか」程度です。

移民資料館ですが、展示品をのんびりと見ているとなんとなく「大草原の小さな家」のような雰囲気です。昔の馬車や、ローラのお母さんがおいしいパイを作っていたような台所がそのまま再現されています。未開の大地を開拓していった彼らには想像を絶するような苦労があったとは思いますが、「大草原の小さな家」を見なれているせいか、なぜかあこがれちゃいます。おおらかで平和だったような気がしてしまうんです。

さて、その後は丘の上に立つ展望台です。ジョインビレの町の背後にある小高い丘の上まではバスもないのでタクシーで行くことになります。サンタ・カタリーナのコロニアに行くときのようなガタガタ道を上り詰めるとそこにはテレビやラジオのアンテナが林立し、一角に展望台があります。すでに展望台に登る前からかなりいい景色が見えていたので期待しながら登りますが上から見た景色は想像に違わぬ絶景でした。遥々と広がるブラジルの大地のむこうに入り江が見え、そのむこうに浮かぶサン・フランシスコ島もよく見えます。また、近くに視線を移すと丘のまわりをぐるりと囲むジョインビレの町もよく見えます。ガイドブックには「サンタ・カタリーナ第二の町で軽工業が盛んだがセントロはこじんまりとしている」と書いている理由が分かりました。背の高いホテルがちらほらと建っているセントロは確かに小さいんですが、そこから遠くの方に目をやるとたくさんの住宅があり、その間には大きな工場もならんでいます。ジョインビレの生産の中心地はそのあたりにあるのでしょう。工業と観光をうまく両立しているなと関心する町づくりです。

展望台から降りた僕たちは再び町に戻り、ぶらぶらと観光したんですが。やはりこういった町には大きなカテドラルがありますね。遠くから見ると、カテドラルの屋根が銀色のドームのようになっており、そのかたちが懐かしき福岡ドームを思い出させます。とはいえ福岡ドームほど巨大ではなく、実際のところはプラネタリウムの屋根といったところでしょうか。中に入ると360度ぐるりときれいなステンドグラスが取り巻いているのですが、何よりも目を引いたのが壁に二回席のふちにかけてあるキリストの絵。全然宗教画っぽくなく、どこかの映画のポスターみたいな絵です。これに限らずブラジルのカトリックって日本で思っていたような荘厳で格式張ったものとは全然違います。神父の説教もバンドをバックに音楽にのっておこなわれることもあり、さらにご丁寧なことにおきまりの振り付けまであります。テレビで見たところでは普通のディスコと変わりません。中には自分の説教ライブをCDにして売り出している神父もいて、それがまたたくさん売れているというところから全然違いますね。

教会の後は町をぶらぶらし、夕食を食べてホテルに帰ったんですが、帰りがけによったソルベテリア(アイスクリーム屋)であやしげなお菓子が売っていたので思わず買ってしまいました。着色料、人工甘味料、保存料100%といった感じのお菓子で「きっと一口たべたら終わりなんだろうなぁ」と思って買いましたが、はたして、食べてみたところこれでもか!というほど甘く、やはり残してしまいました。ごめんなさい。神様。

10月10日 日曜日

本日午前中は休業し、午後から活動開始。今日の目的地はフェナショッピ(FENACHOPP)というフェスタです。10月のサンタ・カタリーナ名物のオクトーバーフェスト、そのジョインビレの会場がフェナショッピです。会場に近づいてみると、まず入口に「フェナショッピ」の大きな看板があります。ビール腹を抱えたおじさんとおばさんのマスコットが高々とジョッキを掲げている絵で、なんともユーモラスです。「昼間っからショッピ飲んだるけんね!」という意気込みが感じられ、すがすがしいです。

しかしメイン会場はまだ始まってないらしく、門は開いていますがなにもありません。お隣のおみやげ物館のほうは開いていて、いろいろなお土産が売っています、特にビールグッズに関してはマイ・ジョッキやジョッキを肩からさげるための肩掛けなど至れり尽くせりの品揃えです。なかには本場ドイツ風のふた付きのジョッキもありましたが、値段が結構高かったので泣く泣くあきらめ、いったんは退却です。

あっという間に話は夜になりますが、こちらのフェスタは夜から始まります。9時頃からぼちぼち人が集まりだし、11時頃から盛り上がってくるといった具合です。真っ暗な空の下で輝いている会場に着くと中は人でいっぱいです。昼間は閉まっていた店も開いていてとてもにぎわっています。店のほとんどはちょっとした食べ物を出す店で、ホットドッグやポップコーンからシュハスコまでたくさんの店があります。そしてセルベージャ(ビール)。あちこちの席ではビールを片手に騒いでいる人達がいます。その他にはルーレットなんかがありましたが、みんな現金で賭けていて、日本では見られない光景です。日本なら商品がもらえるところですね。

そしてなんといってもブラジルのフェスタの中心はディスコ。それほど大きくない会場ですが、ドイツ民謡風の音楽がかかっているダンスホールと、ブラジルポップスがガンガンかかっている大きなディスコがあります。とはいえもともと踊りが苦手な僕としては出店を一通り冷やかすと何もする事がなくなり、ブラブラするだけでした。

10月11日 月曜日

さてさて本日は今回の旅の一番の目的地、オクトーバーフェストの中心地、ブルメナウです。朝一番のバスに乗り、1時間半かけてブルメナウに到着して見ましたが、ホドビアリアは普通の町と同じです。八月に行ったイグアスのホドビアリアと同じように観光地らしさが感じられません。いつものごとく何人かのブラジル人に助けられてセントロ行きのバスに乗ります。何の変哲もないブラジルの進んでいくバスですが、川を渡ったとたんにドイツが始まりました。「オクトーバーフェスト」と書いた垂れ幕がたくさんの垂れ下がり、その間からドイツ風の建物がたくさんのぞいています。やっとそれらしくなってきた感じです。

さっそく町の中心街を歩きましたが到着したの早かったので人影もそれほど多くありませんでした。旅行者というよりもこれから働きに行く町の人々ばっかりのような気がします。派手派手に飾った町の中を「これから仕事に行きます」風の人が申し訳程度に歩いていて、ちょっと寂しい感じもしますが、僕は好きですね。この感じ。日本でも夏祭りの朝なんかに町を歩くとそういうことが多いんですが、ひと気のないながらも「これから何か始まる!」という期待をさせてくれるからです。その他にも運動会前日の運動場なんかもわくわくさせてくれます。

とはいえ今日は一日ブルメナウ観光なので、まだ動き出していない町を歩き始めます。遅い朝食をとり、歩いていると向こうからにぎにぎしい車が近づいてきました。車にはドイツの民族衣装を着た人達がいて、まわりに手を振っています。そうです「Bierwagen」です。ガイドブックなどに「町中をビアワーゲンが走っていて、無料でビールが飲める」と書いてありますが、その車です。「ついに来たか!」と思いましたが、あいにくなことに僕はまだマイ・ジョッキを買っていなかったので飲めません。一緒にいた友人達はみなジョインビレでマイ・ジョッキを買って持ち歩いていたのでその恩恵にあずかることが出来たようでうらやましいです。

その後町の一角で演奏していたドイツバンドの音楽などを聞いたりしながら歩いていましたが、そのうち大きなショッピン(日本でいうデパート)があったので入ってみました。「なんかお土産になるものでもないかな?」と思って入ったんですが、さっそく見つかりましたよ。その名も「オクトーバーフェスト公式アルバム」です。「すげぇ〜〜、こんなものもあるのか。」という驚きとともに、いかにもカラーコピーらしいジャケットを見て「う〜ん、便乗商法のバッタ物かもしれない。」という気持ちもわいてきます。お店で試聴してみたんですが、結構おもしろい曲があったので結局買ってしまいました。歌はポルトガル語の歌あり、ドイツ語の歌あり、ドイツ風あり、ブラジルポップス風ありと結構楽しめました。

この後もしばらくブラブラしていましたが、ドイツ風の町並みが再現されているのは中心地の一本の通りぐらいですね。その他は普通のブラジルの建物ばかりです。ガイドブックだともっとドイツドイツしているように書かれていましたが、それほどではありません。でも市役所や裁判所や銀行の建物もドイツ風になっているところをみると町をあげてドイツの町で売り出そうという姿勢が伺えます。

この後、いったん友人達と別れ、自由行動タイム。僕は「世界の車窓」のための写真撮影のため裏の高台に登ったりした後、オクトーバーフェストのメイン会場に行ってみます。ガイドブックには「学校に仮設テントがたてられ、そこでフェスタが行われる」と書いてありましたが、実際は町から少し離れたところにある通称「パビリオン」とよばれるところで大々的に行われるようです。そこに行ってみると、なるほどパビリオンといった感じです。東京ディズニーランドの入り口付近にたくさんあるお土産屋のような感じで入口に周辺にはミニドイツ村がつくられTシャツなんかのお土産がたくさん売っています。駐車場には何台もの観光バスがならび、大勢の観光客をはきだしています。ちょっと嘘臭い感じもしますが、またそのあたりも楽しいですね。ドイツ村の奥にはコンサート会場のように巨大なフェスタ会場がいくつかならんでいます。ジョインビレの会場はアンタルチカ・ビールが協賛みたいでしたが、さすがにブルメナウの会場はそれよりも巨大で、アンタルチカのフェスタ会場や、ブラーマ・ビールのフェスタ会場といったぐあいにビール会社によってフェスタ会場が分かれていました。入口にある公演予定の看板を見ても一番最初に登場するバンドが夜中の11時で、その後3時や5時に登場するバンドもあり、きっと夜には盛り上がるんでしょうが今日の最終バスでジョインビレに戻らないと行けないので今回は見送りました。

さて再びセントロに戻り、友人達とおちあうと「ブラーマのTシャツが買えるところがあるよ。」との素晴らしい情報をもらいました。ブルメナウの町を歩いていてブラーマやアンタルチカやスコールといったビールの名前と「オクトーバーフェスト」の名前が一緒に入っているTシャツを来ているひとが結構いたんですが、町のお土産屋さんになかったので探していたんです。そして着いたのがショッペリア(ビヤガーデン)。ショッペリアというのはジョッキのビール(ショッピ)を飲ませてくれるところですが、ここで売っていたというか配っていました。とはいえタダではもらえません。2R$はらうとショッピ券がもらえるんですが、このショッピ券を10枚買うともれなくTシャツが一枚ついてくるんです。つまりショッピ10杯分のチケットを買わないといけません。隣にはアンタルチカやスコールのTシャツを同じように配っているところがありましたが、10枚=20R$となるとブラジル化してしまった僕には大金です。どこのTシャツをもらおうかといろいろ考えた末、デザインが気に入ったブラーマにしました。

いろいろと悩んだ後は、考えることなく10杯のショッピを飲まなければなりません。友人達の協力もあり大部分は消費しましたが、あっという間にいい気分になってしまいました。まったくショッペリアの素晴らしいシステムを考えたものです。ショッペリアでの飲み始めた頃はそうでもありませんでしたが、飲んでいるうちにだんだんと近くに人が集まってくるように成ってきました。その人達の多くが各ビール会社のTシャツを着ています。ということは自分で飲んだのかどうかは分かりませんが、少なくともショッピ券を10枚は買ったということで、まだ明るいのにかなり酔っぱらってます。そういいながらも自分もいいかげん酔っぱらっているので雰囲気にとけ込んで気持ちいいですね。そのうち酔っぱらいが酔っぱらいを呼び、この一角は酔っぱらいだらけになってきました。そのうち赤信号で止まった車に対して気勢を上げたりするようになり、とくに女性ばかりが乗っている車が止まろうものなら一斉に囲んじゃって彼女たちがちょっとかわいそうでした。と、書くととても物騒なところみたいですが、さすがにまだ太陽が出ているので女性の酔っぱらいもいて、あっけらかんとした雰囲気です。

さすがに人が増え、ちょっと嫌になってきたのでそこから離れて歩くと、あちこちにストリートパフォーマーがいました。彼らはお祭りにはつきものとはいえ月曜日に昼間から出てくるところにオクトーバーフェストのすごさがあらわれているような気がしました。結局この後、通勤バスで郊外まで足を延ばした後、ますますテンションが上がるブルメナウの町を後にしてジョインビレに戻ることになりました。とても残念です。来年はもうちょっと時間をとって、少なくともオールナイトで遊ばないといけないな、と心に誓う旅でした。


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