3月6日 月曜日
本日はカルナバル二日目。起きてみると昼の2時。これがカルナバルの生活なんですね。遅めの昼食をゆっくりと取りながら昨日の論評をかわします。やはり一番人気はモシダージです。個人的にはインジオのヴィラ・イザベルとか好きだったんですが、イマイチ評判は良くないみたいです。僕が気に入る物はみんなに気に入られないという永遠の法則がここでも生きています。
ぼちぼち出発しますが、今日は昨日よりもランキング上位のエスコーラが登場するので期待大です。あちこちを素通りして、今日の目的地のセトール3に急ぎます。このセトールはスタートラインに近く、他のアルキバンカーダが44R$なのにここだけ70R$です。このセトールは他に比べるといいところなのかもしれません。観客席に到着すると花火がガンガンあがり、最初のエスコーラが登場するところでした。昨日の観客席の前にも退場前のバテリア溜まりがありましたが、ここにもバテリア溜まりがありました。今度はスタート前のやつで、バテリアはいち早くこのスポットに入って演奏を開始し、ジスフィーリが通過して、自分の場所が来たらそこから出陣するという具合です。
一番はじめにはバテリアが行進曲調のリズムを叩きながらこのバテリア溜まりに入ってきますが、客席は「いよっ、待ってました!」と長く楽しい一日の始まりを予感し、大騒ぎです。バテリアはドコドコ叩きながらバテリア溜まりに入り、いったんは演奏終了。
その後、各エスコーラのテーマ曲みたいなのを歌います。これは毎年変わるカルナバル向けのサンバ・エンレードとは違って、エスコーラそのもののテーマ曲で、観客席でも一緒に歌っている人がたくさんいます。このあたりにもこの席に座っているブラジル人達のカルナバルに対する思い入れの強さがうかがえます。しばらくはプシャドールと数人のギターだけでほとんどアカペラみたいな感じで歌っていきますが、曲のとちゅうからバテリアがドドドンと加わってくる時はこちらの体の隅々までしびれます。もちろんこの瞬間客席からも大きな歓声が上がります。
テーマ曲の演奏が終わると「本日最初のエスコーラ、ウニードス・ダ・チジューカです。」というアナウンスとともにプシャドールがアカペラでサンバ・エンレードを歌い始めます。それとともに花火がほんの目の前からこれでもかというぐらい上がります。だいたいこの時にはエスコーラ・カラーの花火があがります。花火の激しい音のなか歌は続きます。そのうち、やたら音だけすごい花火が連発であがるともうすごい轟音で何も聞こえません。耳を押さえたくなるほどの轟音がしばらく続き、それがやみだしたかな?と思ったら、素晴らしいタイミングでバテリアのゴゴ〜ンという演奏が始まります。僕たちのいるところはそのバテリアの正面なのでそれがまたいい感じに響いてきてたまりません。この小憎たらしいほど上手な演出で観客席の熱気は一気にトップ・ギアに入っちゃいました。
昨日は夕方の7時から朝の5時過ぎまで10時間以上の長丁場だったので内心「なんかカルナバルって疲れるな〜〜」とか思っていたんですが、この目覚めの一発で完全に頭はカルナバルモードに入りました。やはり何事もスタートってのはいいですね。
UNIDOS DA TIJUCA |
本日最初のエスコーラ、ウニードス・ダ・チジューカですが、レベルの高い二日目と言うことでさすがに昨日のモシダージ並に素晴らしいエスコーラでしたね。色を統一するところが昨日のモシダージと同じで、こちらはまず青系統のカーホ、アラから開始です。これは大西洋の青い海ですね。この海がしばらく続き、目の前に広い大西洋が出来た頃に帆船のカーホの登場です。単純な演出といえばそうですが、やはり青い波のあとに出てくる帆船はいいですね。ただ、帆船の帆に書いてあるマークがなんとなくサッカーのヴァスコのマークに似ているなぁと思っていたら観客席の一部からブーイングが上がります。下の方をよーく見てみるとヴァスコのトレードマークである斜めの黒いタスキ模様が入った服を着ている人がいました。さすがカリオカ・フラメンギスタ、エスコーラは応援してもヴァスコが出てきたらブーイングです。なんかそれも楽しく感じてしまうところがカルナバルの良さです。
その後緑の軍団、黄色の軍団と続き、最後にはエスコーラの旗とブラジル国旗を半分半分にあしらった巨大な旗が出てきて再び客席は盛り上がります。こうして一発目のエスコーラは終わりましたが、なかなかいいエスコーラで次のエスコーラに期待を持たせます。
スタート地点に近いこのあたりではジスフィーリが通過してしばらくすると目の前のスピーカーの音量も絞られ、しばしのお休みになります。「ふうっ」と思っていると、なにやら大きな荷物を持った人がやって来ます。次に出てくるマンゲイラのシャツを着た兄ちゃんで、カバンから何かもぞもぞと取り出します。それはたくさんのウチワでした。マンゲイラのチームカラーのピンクと緑をあしらったウチワを観客席に大量にばらまきます。これは昨日のセトールではなかったことです。我先にと手を出す人達に混じって僕もひとつ獲得。まわりを見回してみると客席はピンクと緑に染まっていました。またしばらくすると、今度はマンゲイラの次に登場するサウゲイロの旗を配り始めます。これがあると客席の盛り上がりも違いますね。
ESTACAO PRIMEIRA DE MANGUEIRA |
遠くゴール方向を見るとまだ前のエスコーラが頑張ってますが、スタート地点には新たなバテリアの音が響いてきました。マンゲイラの入場です。会場は昨日のモシダージのときに匹敵する盛り上がりよう。これはウチワ効果だけじゃないですね。かなり人気のあるエスコーラに違いありません。バテリアがやって来て、エスコーラ曲が始まると会場全体で大合唱。僕もサンバ・エンレードはだいぶん憶えて来たので行進中はいいんですが、来年はエスコーラ曲も憶えないといけませんね。
マンゲイラの方もウニードス・ダ・チジューカと同じようにしびれるようなスタートを切ります。マンゲイラも初めは白っぽいアラが続きますが、ここの良さはカーホでした。緻密に組み立てら、物語性を感じさせるカーホが次から次に出てきます。どれもこれも完成度が高く、「あ〜これがトップ・エスコーラのカーホか」と感心させられます。アフリカを思い起こさせるカーホ、そこからブラジルまで連れてこられた奴隷船の地獄のような苦しみ、そして彼らが働かされた鉱山、それぞれを表すカーホが続々と出てきて飽きさせません。
しかし悲しいことにここでアクシデント。遠くの方でカーホが動かなくなったようで、人がたくさん集まっています。そのため前のアラと間隔が開いてしまい、窮余の策で動かなくなったカーホの後ろのアラを前に出して時間を稼ぎます。しかしいっこうに動く気配がありません。カーホの上の人達はずっと踊っていますがそれが空しく見えてしまいます。そしてとうとう後ろのカーホが追い抜いて先に出てきてしまいました。もうこのカーホは動かないのかも知れません。さらにその次のカーホにも追い抜かれてしまいました。それでもそのカーホの上の踊り子は一生懸命踊っていますが、彼らはスタートラインにすら来ることが出来ません。とうとうジスフィーリが終わり、今年のマンゲイラのカルナバルは終わってしまいました。最後まで頑張っていた彼らも悲しげにカーホから降りてしまい、動かないカーホはトラックにひかれて回収されていきました。そのカーホが客席の前を通ると客席からは「来年はがんばれよ!」という大きな拍手が上がりましたが、1年間も待ちこがれながらついにスタートラインに立てなかった踊り子達のことを考えるとちょっと胸が痛くなります。
さて、またしばしのお休みです。今度はインペラトリスの旗なども配られましたが、もう一つ昨日のセトールとは大きく違うことがありました。参加者です。といっても何のことか分からないと思いますが、このセトールにはアラに参加する人達がたくさんいて、衣装を入れた大きな袋があちこちに置いてあります。だいたい彼らは自分が出場する前のエスコーラが登場する頃に着替えて出ていきます。マンゲイラが終わった今は、次の次に出場する昨年の優勝エスコーラ、インペラトリスに出場する人が着替えています。どれもこれも派手派手でそういった人達がたくさんいるので観客席も華やぎます。ちょうど僕が座っていた隣のグループからもインペラトリス出場者がいるようで着替えています。着替えが終わるとまわりから「頑張って来いよ!」とどやしつけられて出ていきました。ほんと頑張れよ!って思います。これを見てもう「来年は僕も出ないと行けない!」という思いを強くしました。
ACADEMICOS DO SALGUEIRO |
彼らが出ていく頃には次のエスコーラ、サウゲイロが登場です。ここのカラーは赤で、赤と白を基調としたヨーロッパ王室音楽隊といった雰囲気のバテリアが登場です。ひとしきり盛り上がったあと、スタート。真っ赤な龍をあしらった東洋風のカーホが登場した後、これまた赤と金色の東洋風のバイアーナスが登場してクルクルと回転して盛り上げます。この後も赤をベースとしたアラが続々と出てきますが、同じ赤が続くのに飽きさせないよう配慮されていてセンスを感じます。その後は赤い奴隷船なども出てきて、徹底的に赤にこだわります。赤い宮殿のカーホではカーホ上の広間で赤い服に身を飾った貴族達が華麗な踊りを披露して喝采を浴びます。そんなサウゲイロですが僕が何よりも気に入ったのは歌。歌の途中に「回れ回れ、美しきバイアーナ達よ」という歌詞があるんですが、このフレーズになるとバイアーナスのみならず、すべてのアラの人達が回転してそれはそれはきれいでした。真っ赤な洪水が波うつようです。
そして最後は赤い宇宙船が登場してサウゲイロの終了です。僕の中ではこのエスコーラが一番です。もともと赤が好きですから。ところで赤が好きといえば、僕たちの世代ではなんといっても「赤い彗星」ですね。あの当時、自分の自転車を赤く塗って「赤い彗星」と言っていた友人もいましたね。きっとこういった人は日本中にいたでしょう。僕が赤好きになったのもこのあたりが発端かもしれません。
IMPERATORIZ LEOPOLDINENSE |
赤い彗星が終わった後はいよいよ去年の優勝エスコーラのインペラトリスです。カルナバルの紹介でも「カブラルはアジアの富を求めて旅立った。しかし発見したのは南洋の楽園ブラジルだった。」と書かれていて、カーホの写真を見てもアジアチックです。また、友人がアラに出場するんですが、見せてもらった衣装の写真はタイ風の衣装でそこにもアジアの風を感じます。やはり僕もアジア人、そういったところでとても気になります。
さっそく登場したバテリアもやはりアジア風です。中国宮廷の貴族のような裾の長い服を着たバテリアです。それよりもなによりもジスフィーリが動き出して一番びっくりしたのがコミッソン・ジ・フレンチ。柄の長い傘のような物をもった人がたくさんいて、たった一人だけ獅子舞の顔みたいな物を棒の先にぶら下げた人がいます。これを組み合わせて龍を演じたり、獅子舞を演じたり、帆船を表したりするんですが、その様は長崎のおくんちにそっくりです。これはどう見てもアジアの影響です。観客席からも「お〜、まるで中国のお祭りみたいだ」と盛んに感心の声があがっていましたし、僕もコミッソン・ジ・フレンチに目が釘付けでした。
その次に現れたカーホは黄金のサイに引かれた王宮でこれはアフリカ風です。王宮の後にはすごい数のバイアーナスが登場し、その次には早くも友人がいるアラです。シャム王国というかアンコールワットみたいな衣装ですが、きらびやかですね。その後に登場したのがまさにアンコールワットみたいなカーホ。そして白いアラが続いた後、極めつけの青と赤と金色というどことなく中国風のカーホ。中国でもこの様式は雲南省の少数民族、とくに麗江のナシ族の色使いを思い起こさせるカーホです。中国風のカーホ後には満を持して中国風バテリアは発進。彼らが目の前を通るときに大歓声が起こるのは昨日と一緒です。
この後再び舞台はアフリカに戻り、象牙が輝くアフリカの部落を表現したカーホが続き、その後はアフリカ人を運んだ奴隷船、そしてブラジルで出会ったインジオの村と話は進みます。そして最後には緑の黄色の一団がやってきて「ブラジル」の始まりです。そして「パライゾ・トロピカウ(熱帯の楽園)」のカーホの登場です。歌詞のなかの「美しく素晴らしい熱帯の楽園。カルナバルの二ヶ月後にブラジルを発見したのはあのカブラルだった」というサビの部分が繰り返され素晴らしい饗宴が終わります。今までのエスコーラのなかでインペラトリスが「ブラジル発見500年」というテーマを一番分かりやすく表していましたね。カーホのレベルも高く、アラもきれいでさすがに昨年の優勝エスコーラです。
UNIAO DA ILHA |
四エスコーラ連続で素晴らしい出来でした。次に出てくるのはウニオン・ダ・イーリャ。これまでのエスコーラよりも少し下位にランクされるエスコーラです。少しこちらも気が抜けながら見ていましたがスタート前に面白いものを見ました。ここも最初のカーホに戦車が並んでいたんですが、そのうち真ん中の戦車から煙が出てきました。「戦車だから硝煙のつもりかな?」と思っていたら急にあわただしくなり、エスコーラの人達が走って集まります。そして中に向かって消火器の一斉放射。客席もどよめきますが、無事に消化すると拍手拍手拍手。さっきまで消火活動をしていたおじさん達も大きく両手をふって、観客席にさらなる拍手を要求します。転んでもただでは起きないですね。
ただ、肝心のジスフィーリの方はなんだかよく分かりませんでした。最初に出てきたのがなんと「見ざる、言わざる、聞かざる」の三匹の猿です。あれは日本だけの名物かと思っていたら、ブラジルにもあるんですね。その他にも割れたハートのカーホやタイプライターのカーホ、それにアイロンやギターのカーホもあって「これがブラジル500年とどう関係あるの?」って感じでイマイチ盛り上がりらず、最後の2エスコーラにむけて一休みといったところでした。
BEIJA-FLOR DO NILOPOLIS |
一休みした後は去年の準優勝エスコーラ、ベイジャ・フロールです。ここの良かったのはなんといってもカーホ。大きくて出来のいいカーホがたくさん出てきました。とにかくデカイ。どのカーホも他のエスコーラの二倍ぐらいあるんじゃないかってぐらいの大きさです。まず最初に神の使いのような真っ白なカーホが出てきます。これも相当大きくて圧倒されましたが、次のカーホはもっとすごかった。発見当時のブラジルを表したカーホだと思うんですが、前に密林風の衣装を着たアラを従え、自然そのものの姿を見せてくれます。芸が細かいことには密林の山の中には滝があり、ちゃんと水が流れています。
お次のカーホは奴隷船。いろいろなエスコーラで奴隷船が出てきましたが、その中では一番の出来だったと思います。帆に当たるところにたくさんの黒人が立っていて、音楽に合わせて手を差し出したり身を乗り出したりと美しい演技を見せてくれます。さらに帆船の後ろのデッキでは白人の奴隷商人に襲われる黒人という感じで何人かの踊り子がその模様を演じています。すばしこい黒人がのろまな白人の間を逃げながらも最後には捕まってしまうという演技に客席も歓声を上げます。しかし観客もそういった細かいところまでよく見ています。
そして僕が一番気に入っているカーホが出てきました。テーマはまさに「リオ・デ・ジャネイロ」他のエスコーラだったら単体で十分やっていける大きさのカーホを二両連結しているんですが、最初の一両目は「リオ・デ・ジャネイロの陽の面」とでも言いましょうか、どこかのホテルでのショーを表していて華麗なダンサーが光り輝く舞台に立っています。二両目は「リオ・デ・ジャネイロの陰の面」で、今度はファベーラの家を模したカーホです。ファベーラの雑然としたところが余すところなく表現されています。つぎはぎだらけの家や、落書きされた壁、通りに落ちているゴミ、それにちゃんとゴミ捨て場もあり、そこでゴミをあさっている人まで忠実に再現されています。もちろんその上で踊る人も誰一人きれいな格好をしている人はなく、みんな短パン一枚とかワンピース一枚とか本当の住人のようです。でもこの人達はちょっとかわいそうですね。カルナバルが終わるとみんな自分の派手派手な衣装がもらえるんですが、さすがに彼らの衣装だけは衣装って感じがしないですからね。
今日は昨日よりも時間が過ぎていくのが早いです。昨日は正直言って今日よりも下位のエスコーラが多かったせいか「やっと半分終わった」とか「あとふたつ」とか考えていましたが、今日はどのエスコーラも飽きさせない工夫をしていたので「えっ、もう最後なの?」って気分です。これはまわりの人達も同じのようで、まだまだエネルギーが有り余っている様子です。そんな状態の僕たちの前に最後に登場してきたのがヴィラドウロ。最後のエネルギーのはけ口を探してる観客達はもう始まる前からものすごい興奮状態です。僕も始まる前から一緒にサンバ・エンレードを歌いまくってます。そういえばもう一つ昨日と違ったのはトップレスのお姉さま方。昨日は結構見かけたんですが、今日はあんまりみかけません。やはり上位チーム「わたしら、そんな小手先のワザでは勝負しません。」って感じです。でも裸体で客を引きつけるエスコーラを見ていると、アイドル大水泳大会でかならずおっぱいポロリをやらなければいけない悲しい芸能人を思いだしてしまいました。
UNIDOS DO VIRADOURO |
さて、力作揃いの月曜日ですが最後のヴィラドウロも他のエスコーラに劣らぬ力作です。エスコーラ・エスペシアウもこれで最後と言うことで観客も一段とヒートアップしています。テーマは「天国と地獄」ということで、ブラジル500年の歴史の中で地獄を味わった黒人やインジオの天国と地獄を表現しています。白っぽい天国のアラとカーホが終わると次は赤い地獄が続くというパターンが繰り返され、とても分かりやすいです。でも客席の方を見ると、そんな事には関係なく「俺は何があろうと楽しむんや!」って人でいっぱいです。これでグルーポ・エスペシアウが終わりなんですが、僕も含めてみんな「まだ終わってくれるな〜〜」と叫んでいます。この瞬間になって今まで何度も聞いていた「灰色の水曜日」がやっと分かりました。カルナバルが終わった後の水曜日にはリオの街が死んでしまうということですが、確かにそれも分かります。「次はなにしたらいいの?だからもうちょっと楽しもうよ」っていうカリオカの必死の願いがこっちまで伝わってきます。
ヴィラドウロの方も、そういった観客の心理が分かっているらしく、あおるあおる。途中のサビのところでわざと演奏を止めたりすると会場が大合唱!で、その後絶妙のタイミングでまたもやバテリアが戻ってくるとまたまた拍手喝采。なんかみんなが一体になって応援していました。
もうみんな気が狂ったように騒いでいます。ジスフィーリが通り過ぎ、スピーカーの音量が絞られてもまだまだ遠くから聞こえるサンバ・エンレードに合わせてみんな歌いまくりです。しかし時は過ぎ、彼らも遠く彼方に行ってしまいました。いつまでもあきらめきれないおっさん達もぼちぼち帰り始めます。さっきまでの賑わいはあっという間になくなっていき、残されているゴミが、みんなが残していった魂のようにあちこちに散らばっています。そして東の空を振り返るとまたまた朝焼けが広がっていて、新しい一日が始まったことを告げていました。