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ACT1:サクラチル | |
アニマード極部に位置する国ペンターナ。 アイスを特産物とするこの国は、避暑地としても有名であり 多くの国からの観光客が訪れる。 城下町はいつも賑わいペンターナの平和を象徴しているようである。 『ねぇ、どこから来たの? 今、ヒマ? お茶しない?』 1匹のペンギンが観光客と思しき若い娘に声を掛けている。 若かりし頃のペングルW世、その人である。 民衆の文化を知るため、現王であるペングルV世の命により 学生生活を城下町で過ごしているのだ。 当然、身分は隠し,ぺん助と名乗っている。 『間に合ってまーす。きゃはははは。』 若い娘はそういうと、足早に去っていく。 『ちっ・・・。』 『うははは、ぺんさん、今日も精が出るねぇ。』 近所の土産物屋の大将が声をかける。 『うるせー!』 『成功しないナンパより、どうでぃ、うちでバイトしねーか?』 『売れねぇ土産物屋でバイトしたところでバイト代なんて期待できるかぃ!』 この頃から口だけは立派なようである。 『金がねーと、デートもできないよ。けけけ。』 『ちくしょー・・・・イヤな噂を流してやろうか・・・。』 『けけけ、まぁ精々がんばりな!』 相手の方が一枚上手のようなのだ。 結局、それ以上言い返すことが出来ず町中をブラブラしているぺん助。 『あーあ、今日は不作だなぁ・・・・・・!』 愚痴をこぼすぺん助の眼に一人の女性の姿が飛び込んできた。 なかなかの美人である。 辺りをキョロキョロと見回しているところ見ると、この土地に不慣れらしい。 ぺん助の目がキラリと光る。
瞬時、頭の中で分析するぺん助。 伊達に学業をそっちのけでナンパに青春の全てを注いでるわけではない。 『お嬢さん、何かお困りかなぁ〜?』 下心を押し隠して、声をかけるぺん助。 『え?あ、はい・・。ここの方ですか?』 ぺん助の下心を知らない彼女にしてみれば渡りに船である。 『おう!おいらぺん助ってんだ。ここら辺りじゃちょっとした有名人だぜ!』 たしかに有名人である。土産物屋の主人ですらツッコむぐらい その所業が知れ渡っているのだ。 『そうですか。実は地球から知人を頼って来たのですが、 ちょっと迷ってしまって・・・・。』 『知り合いに迎えに来てもらえないのかい?』 『あいにく手が放せないということで・・・。住所は解っているんです。』 『どこ?』 『バーラギ5丁目なんですけど・・。』 『おお、俺の知り合いもそこに住んでるから連れて行ってやるよ。』 『え?いえ、道順だけ教えて頂ければ・・・。』 いくら困ってるとはいえ、いきなり見知らぬ土地でのこのこ付いていくほど 娘もバカではない。 『まぁ、遠慮せずに。』 しかしここのところ、ナンパに成功していないぺん助は必死である。 次第に押し隠しいた下心が目元に出てくるのだ。 『いえ、本当に大丈夫ですから・・・。』 『まぁまぁまぁ・・・。』 と、ぺん助が手を取ろうとした瞬間・・・。 『しつけーんだよ。このエロペンギン!』 『へ?』 『人が困ってるところに付け込んでナンパでもしようと思ってんだろ、あん?』 図星である。 『いえ、決して・・・。』 『てめぇには頼まねぇから、とっとと失せろ!』 『そんなこと言わずに・・・・。』 『失せろ・・・』 『ひぇぇぇぇ〜。』 桜吹雪の舞い散る中、娘の凄い剣幕に一目散で逃げるぺん助であった。 『覚えてやがれぇ〜』 |