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第一章 原相論 神の属性を扱う理論 一、原相の内容 (一)神相 創1/27
神は無形でありながら形の要素を持っている…神相 (1)性相と形状 ○性相 : 神の心に相当し全ての被造物の無形な要素の根本原因
神が感性的な認識に基づいて、悟性による倫理的な思惟を行い、さらにその上で理性による統合的な思惟を行うようなことはない。神の知的機能においては感性も悟性も理性も統一されている。人間を通じて現れるときに感性、悟性、理性と段階的に現れる。 ●内的形状 形の要素 観念、概念、法則(原則)、数理 神の創造後 「そのとおりになった」 神の持っていた観念、概念の通りになったということを表している。 ○形状 神の体に相当し全ての被造物の物質的要素の根本原因。質料、素材、無限な形を現し得る可能性 ●物質の本質は何か? 古代ギリシャの哲学者たちはアルケーと呼び、それは水・空気・火・原子であるといった様々な説を唱えた。 統一思想からみれば神の形状の本質も一種のエネルギーである。被造世界のエネルギーとして現象化する前段階のエネルギーであるので前エネルギー、あるいは物質になり得るという意味で前物質という。 性相と形状の関係は本質的には異質ではなく、水と水蒸気の関係に例えられる。被造世界において性相と形状は精神と物質として互いに異質なものとして現れるが、共通なものがある。 心が神経を刺激して筋肉を動かす。: 心の中にもエネルギーがある。 エネルギーが素粒子として現れるとき、一定の規格を持った素粒子だけが現れる。エネルギー自体にも性相的要素が内在している。 本質的に同一なる絶対属性から性相と形状の差異が生じ、創造を通して被造世界に現れるとき異質な二つの要素となる。 (2)陽性と陰性 神の本陽性と本陰性は本性相と本形状の属性である。本性相と本形状にそれぞれ陽的及び陰的な特徴を現す可能性がある。 (3)個別相 神は人間と万物の創造に際し、個々の被造物に特有の形や性質を内的形状の中に観念として描いた。その観念が個別相である。 個別相の所在は神の性相の中の内的形状にある。神の個別相が人間において現れたものが人間の個性である。人間の個性は神から来たものが一次的であり環境から影響されるのは二次的なものである。 両親の特性に似ているとしてもそのまま受け継がれているのではない。神は両親の特性を材料にし、内的形状に描いた観念に従って人間を創造する。 (二)神性 神には形の側面の他、機能、性質、能力の側面がある…神性 心情、ロゴス(構想)、創造性 (1)心情 愛を通じて喜びを得ようとする情的な衝動 神の心情は抑えることのできない衝動、情的な力、願望 神の人間と万物の創造の動機がはっきりしないと神の存在に対して確信を持ちにくい。 ●心情動機説 神は心情の神である 創造に際しての神の愛は希望にあふれ生命の根源となっていた。それはアダムとエバが堕落しないで神を中心として家庭を築いたときそこに実現されたであろう創造理想の愛である。イエスの十字架は堕落人間を神へ導くために神の愛をアガペーの愛として示したものである。 (2)ロゴス…み言、理法 構想、考え 理性と法則 心情の目的を達成するための構想理想 心情 宇宙の発展は如何なる性格を持っているか 1、偶然的に発展した 統一思想はロゴス(理法)による宇宙の創造という観点から第三の見解をとる理性の働きによって宇宙の発展の方向が決定された。宇宙には背後に宇宙意識あるいは宇宙生命というものがあって多くの可能性の中から一定の方向を目指して発展してきたと考える。 「宇宙は愛の法則に支配されている。」神の愛の実現という目的を中心として宇宙は運行しているということである。 (3)創造性 心情=愛したい 神は人間の創造とともに人間に創造性を付与された。 神の創造性は心情を基盤としているために、人間が完成して神の心情を体恤するようになるとき初めて神の創造性を完全に受け継ぐようになっていた。 人間は堕落の結果神の心情を体恤することができず、神の創造性を不完全な形で受け継ぎ、自己中心的な理性のみを中心とした創造の能力を持つようになってしまった。従って今日まで人間の創造活動はみなほとんど神の愛と関係がなかったのである。 本然の万物主管…神の愛の価値観によってなされなければならない。 二、原相の構造 神の一つ一つの属性間の相互関係 神に対する正確な理解を得るために構造という被造世界の概念を使う。心が広い狭いというように無形なる心を構造物のように表現して理解するのと同じ。 (一)授受作用と四位基台 四位基台の形成 四つの位置でなされる主体と対象の授受関係 心情(目的) (二)四位基台の種類 神において内的性相と内的形状の授受作用によって形成される四位基台と性相と形状の授受作用によって形成される四位基台がある。 前者を内的四位基台、後者を外的四位基台という 心情を中心として授受作用が行われる場合授受作用は静的であり、授受作用の結果は合性体となる。心情に目的が立てられ目的を中心として授受作用が行われると授受作用は動的となり新生体(繁殖体)が生じる。 前者による四位基台を自同的四位基台、後者による四位基台を発展的四位基台という。 心情 心情 目的 目的 1、内的自同的四位基台 2、外的自同的四位基台 3、内的発展的四位基台 4、外的発展的四位基台 神が永遠に自存されるための四位基台 内的自同的四位基台と外的自同的四位基台 原相の二段構造 心情 心情 創造に際し原相は発展的となり、内的四位基台と外的四位基台が形成される 創造の二段構造 目的 神における四種類の四位基台は被造世界においても見られる。被造世界における四位基台は全て目的を中心としている。
目的自体は心情(愛)を基盤としている。 (三)正分合作用 四位基台は原相構造を空間的側面で扱った概念 原相構造を時間的な観点から扱った概念が正分合作用 四位基台は構造の形成要素を扱い、正分合作用は形成過程を扱う。 四位基台だけでなく正分合作用も時間、空間の世界にのみある現象であるが、神は被造世界に対し第一原因であるので正分合作用もその原型としてその可能性としてその原因が原相にあると見ざるを得ない。 絶対者である神の中で心情を中心に二性性相が授受作用して合性体をなすことから絶対→相対→中和の三段階の過程を考えることができる。 原相の世界 : 時間空間がない。映画のフィルムの一巻に例えられる。 無限なる可能性を内包した一点であり一瞬である。この一点から展開されたのが宇宙であり、この一瞬から展開されるのが過去・現在・未来である。映画をスクリーン上の空間に投影して行くと、時間的経過をもって映像がストーリーに従って展開されるのに例えられる。 原相においては空間的、時間的な構造が原型として統一されている。 |