6月23日(月)
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(雨の月曜日)
朝起きると、昨晩からの雨が、まだ降っている。窓から見下ろすと30番のバス停で待っている人達も傘をさしている。フィンランドで傘をさしている人を見るのはめずらしく、この雨はしばらく続きそうである。今日の智のサッカーの練習はどうなるのだろう?中止か、それとも、雨に濡れながらも練習するのだろうか。
雨は昼過ぎにあがり、午後4時過ぎには青空も見えてきた。6時半からのサッカーの練習は大丈夫だ。グランドは隅に水たまりが残っていたものの、ほとんどぬかるむことなく、練習には全く差し支えなかった。しかし、昼間の雨の影響か気温は低い(と思う)。朝着て出たウインドブレーカーをリュックサックにそのまま詰めていたのは正解だった。体を動かしている少年達は寒くないだろうが、座って待っている我々は(フィンランド人は別かもしれない)寒い。早速ウインドブレーカーを羽織った。
(ムーミンワールド)
朝9時過ぎに、サウナパーティで知り合った女性研究者からムーミンワールドの日本語パンフレットを頂いた。この週末に3歳の息子と訪ねたとのこと。我々のために、わざわざ日本語のパンフレットを持ち帰ってくれたのだ。感謝。
ムーミンワールドは、フィンランド南西海岸部、スウエーデン語を話す地域の中心地、ロシアの植民地になる前(スエーデン植民地時代)のフィンランドの首都トウルクの近郊ナーンタリにある。6月7日〜8月11日(つまり、フィンランドの子供達の夏休み期間中、あと8月一杯は、土日のみ)に開園されるレジャー施設で、「地球の歩き方」にも載っている。ボスニア湾に浮かぶ小島にムーミン一家の家が建てられ、ぬいぐるみのムーミン一族が歩き回ってサービスしてくれるところは、ディズニーランドの小型版のようだ(ろう)。わが家も、開園期間中に一度は訪れるはずなので、詳細は後日(実際に我々が訪れたのは8月24日だったが)。
(装備充実のウノ)
ウノを購入後、子供用のシートベルト調節器具2つ、ワイパー(後ろのワイパーは飾りなのでフロントワイパーのみ交換)、ロックのかかる燃料タンクの蓋、サイドミラー(鏡が一部欠けたので交換)、ハッチバック固定用のチェーン錠を購入した。車用の鍵は全部で4つ(ドア用、エンジン用、燃料タンク用、ハッチバック用)になった。燃料タンクは満タンでたぶん30L、リッター10kmとしても航続距離300kmはあると見た。朝一番の始動は良くないが、その後は一発でエンジンもかかる。
ウノには前面に電気プラグのようなものが付いている。車内にはラジオの付いていたあともあるので、たぶん、前の所有者が使っていた外付けフォグランプか何かのなごりだろうと思っていたが、どうもそうではない。現在のところ、冬期に用いる暖房具のコンセントではないかと思っている。アパートの駐車場にも大学の駐車場にも予約の必要な場所には、小さな郵便箱のような箱が、細い円柱の上に乗っかっている。マラさんに聞くと、この箱の中に電気のコンセントが入っていて、駐車場を予約するとこの箱の鍵を貸してもらえるらしい。駐車中に車をコンセントを繋いでおくと、零下30℃でもエンジンがうまく始動するという。
コンセントの効果は冬まで確認できないし、わが家のウノのプラグがこのコンセント用なのか、例えそうであっても壊れているのではないか、駐車場を予約するのに必要なフィンランド語は?など疑問は尽きないが、職場からは秘書のリーッタさん、同室のマラさんを始め、次々と人が消えていく(夏休みの始まりである)今、ゆっくり相談する余裕はないし、冬のことであるからとゆっくり構えることにした。
(ファームステイ)
6月20日(金)、夏至祭の祝日である。当初、タンペレから長距離バスとタクシーを乗り継いで行く予定だったファームステイにウノで出かけた。復路に考えていたルオベシから4時間半の湖上クルーズ(詩人の道)は中止だが、湖上観光は1時間程度の手軽なものを、またの機会に考えればよかろう。5月21日に当地に来てから、タンペレの中心から10km以上離れるのも、車で長距離運転するのも初めてである。目指すはルオベシ近郊、湖畔の農家イラ・トウーホネン家である。
イラ・トウーホネン家は、ルオベシの町(といっても小さな集落にすぎないが)から19km北東、ナシ湖の東側にある。もしルオベシからタクシーに乗ったとすれば片道数千円はかかったことだろう。訪ねるなら車が必要だ。(日本で言うところの県道クラスの)道路を北に折れて未舗装の道路を約1.5km進むと右側に小さな湖(私の地図帳には名前の記入がない)まで広がる緑の畑が広がり、左側には林に囲まれるように母屋、ゲストハウス、納屋などが見えてくる。隣家は道路に沿って1km南と1km北にそれぞれあるが、西は森を突っ切ってもナシ湖、東は畑と小さな湖を渡らなければ隣家に達しない。
御主人のケスコさんは、歌手のデビットボウイに似た男前で、とても成人の子供が居るとは思えないほど若く見える。英語は話さないが、サウナの世話や、マッカラ(焼きソーゼージ)を焼くたき火のせわなど、とてもよく面倒を見てくれた。奥さんのイルマさんは、米国に1年半滞在経験があり流暢な英語を話す。食卓に上るパン、ジュース、ビール(のような発行飲料)や料理のほとんどは自家製である。
娘のメイラさん9歳はおかっぱの元気な少女で、このファームのパンフレットの表紙写真を飾っている。一緒に、夏至祭の週末を過ごすのは、ラハティ近郊からみえた老夫婦(たぶん、週末だけでなく一週間くらい?の長期滞在者)、ヘルシンキから来た不思議なグループ(当初、子供の多い一家族だと思っていたのだが、家内が本人たちから聞いた話しでは、男の人と2人娘、女の人と3人の子供達の2家族とのこと、男の人と女の人の関係は不明なるも、夫婦でないことだけは確か)と我々4人の3グループのみにて、ゆったりできた。
(ヘルヴェティン湖国立公園)
イラ・トウーホネン家を訪ねる前にヘルヴェティン湖国立公園に行った。いずれもタンペレから北に100kmの距離、車で1時間半はかからない(途中、ハイウエイおよび国道は時速100km規制、県道クラスでも80km規制が普通、車の流れはこれら規制速度前後、信号はほとんどないので、日本で言うと高速道路や自動車専用道路をずっと走るのと同じくらいの距離を無理なくこなせる)。ヘルヴェティン湖国立公園はルオベシの西方の森林中にあり、幅約200m、長さ3kmのヘルヴェティン湖は、森林の中を歩くと突然現われる数十mの断崖の下にあり、断崖にある幅2m程の裂け目をたどって湖畔に達することのできる景勝地である。
ルオベシの町を抜けて国道66号線を約10km北上し、かろうじて舗装された道路を10km程西進すると森の中に駐車場、売店、トイレ等が突然現われる。国道を曲がってから、すれ違う車は2〜3台、本当にこの道で良いのだろうかと心配になることに着く。駐車場からは片道2kmのハイキングとなる。距離的には大したことはないのだが、素子は気分屋で歩くのが好きなほうでなないので、彼女をいかに歩く気にさせるかがポイントである。智の方はブーブー言うが、歩くのは気にしない。ときどき素子をうまくなだめてくれるのは助かる。
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この辺りで日本人に会うことは、まず無い。アジア人はおろか、西洋人を含めた外国人の来訪もめずらしいのではないかと思う。聞こえる言葉はフィンランド語ばかりである。本日の天気は、うす曇り、晴れると直射日光がきつい季節だけに、ハイキングには好適である。昼食のサンドイッチを絶壁の上、ヘルヴェティン湖を見下ろしながら食べる。鳳来寺山の絶壁に比べたら、落差は大したことは無いが、起伏の乏しいフィンランドでは、めずらしい景色だと思う。
昼食後、例の裂け目を下り湖畔に達する。フィンランドの湖は、水の流れが少ないせいか透明度は低い。湖水は一般に茶色である。ここヘルヴェティン湖も例に漏れず湖水は茶色で、我々の感覚からは湖水は湖の水というより池や沼の水に近いかもしれない。ただ、湖面は鏡のように静かである。周囲の土地よりいきなり数十m落ち込んでいるせいか、風は全く無い。英訳するとヘルキャニオン(地獄の渓谷)と呼ばれる命名も、この辺りから来たものであろうか?
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