12月 4日(木)
(フィンランドに無いもの)
フィンランドに無いもので、個人的に一番困ったものはからしであった。コールマン社のマスタードも少しはましかもしれないと思っていたが、日本のからしの鼻にくる感じがなく、物足りなかった。幸い、母が日本のチューブからしを送ってくれたので、最近は不自由していない。お母さん有難う。
その他にフィンランドに無いもの、それは、安くて良質の工業製品である(その他にも外食、書籍なども安いものはない)。家内がスーパーで買ったおたま(味噌汁をすくう時に使う)は、2つともすぐに割れたり、溶接部が取れたりしてしまった。日本の100円均一で買ったおたまなら、まず、そのようなことは無い。日本には安くても良い品が沢山ある。中古車なども、良い例であろう。Uno は9本のタイヤ(夏用5本、冬用4本)の内、すでに2本がパンクしてしまった(そもそも、Unoが日本で市場価値を持つとは思えない)。しかし、フィンランドには安くて良い品物は、まず無い。安い品物は品質が劣るし、良い品物は高価だ(もしろん、高価な品物が、全て良質だということはない。高くて不良品質の品物は万国共通、どの国にでもあろう)。
この失業率の高い国で、全てのフィンランド人が高価な品物を揃えられるわけはなく、経済的に済ます必要のある人は、どうしているのだろうと思っていた。秋になって、冬用衣料やウインタースポーツ用品が必要になった我々の結論は、キルップトリ(蚤の市)めぐりであった。タンペレ中心にあるセカンドハンドショップは、プロの経営だが、キルップトリは原則として個人またはグループによる出店である。小さな体育館、または、倉庫のような建物の管理人に、一日100マルッカ(2500円)程度の場所代を払って出店しているようだ。中には、いつも同じ場所に出店しているプロやセミプロも含まれるが、過半数はアマチュアで、最近、日本でもあるフリーマーケットである。ただ、週末は一般の店舗が休み(土曜は午後3時くらいまで営業、日曜日は完全休業)なこともあり、とても賑わっている。良い物は、すぐ売れてしまうので、早めに出かける必要はある。
タンペレ近郊には、我々の知る限り、二つの大規模キルップトリがある。一つは、市の東側、カウカヤルヴィ・インターチェンジを降りたマグドナルドの隣りに、もう一つは、市の西北、リアラハティにある。11月に入ってから、週末は、この二つのキルップトリをめぐることが、我が家の定番になってしまった。また、キルップトリを訪れる客も11月に入って増えたように感じる。子供用品は極めて豊富にあるし、大人用の衣服やウインタースポーツ用品も、結構豊富に出回っている。
もちろん、中古といっても、状態の良いものは極端に安いわけではない。しかし、たぶん今シーズンしかつかわないであろうクロスカントリーのスキー道具やスケート靴などは、一番安いものを買っても新品は高い(ちなみに、私のスキー一式は、板と靴、ストック合わせて350マルッカ。キルップトリで売っているスキーの中ではかなり高価な部類だが、この時期、郊外スーパーで最も安い物を集めた場合の半額くらいである。スキー用品は、クリスマスを過ぎればかなり安くなるというから、本当に割安とは断言できない。)。我々は根気よく毎週通い(時には、土曜日も日曜日も続けて通ったこともある)、智のホッケー用ヘルメットを除けば全てキルップトリで買い集めた。スケートもクロスカントリースキーも、家族揃っていつでも OK だ。
というわけで、11月最後の日曜日は、ヘルバンタの西にあるスオリ湖に家族でスキーに出かけた。スキーと言えば、フィンランドではクロスカントリーである。スオリ湖のビーチは、夏の間、市民の水浴場として賑わい、その後は湖畔の散歩道を老若男女が早足で散歩していた。この散歩道が、冬はクロスカントリーのコースになる。アパートからコースまでは歩いて5分の距離、町中の歩道も10cmくらいの粉雪が積もり十分圧雪されている。我々はアパートの玄関先からスキーをはいて行くことにした。
(湖畔の散歩道) (玄関先から OK) (素子も挑戦)
エッジのないスキーをはくのは初めてなので、極めて不安定だ。少し下りになると減速方法が分からず、少し上りになると前に進まない。それでもコースにたどり着くと、既に多くの人々が、コースを走っている。スケートに比べると年齢層が高く、また、女性が多いように感じるが、皆、気持ち良さそうにスイスイと滑って行く。我々は、そうはいかない。まあ、雪の上なら転んでも痛くないのが救いだ(氷の上で転ぶと痛い)。結局、スオリ湖をまわる周回コースは取らず、(夏の間)ビーチ(だった所)までの往復にした。
この日は天気も良く(という言葉を付けたいが、日本で言うところの良い天気ではない。空はいつものように一面低い雲に覆われていて、いわゆる晴天には、ほど遠い。しかし、雲が薄いのか少し明るい気がする。風もない)、11月2日に子供達とアハヴェニス湖畔を散歩して以来、約1か月ぶりにお日さまにお会いした。しかし、その光りは雲に阻まれて弱々しく影もできない。急いで写真を撮ったが、10分もすると、また雲に隠れて見えなくなった。
(1か月ぶりのお日さま) (ウインタースイミング場)
見下ろすと、湖畔の桟橋(水浴客が飛び込むための足場)の付近に、一部、氷が張らず水面が残っている所がある。不思議に思っていると、老夫婦が水着で桟橋の上を歩いている。どうも、これがマラさんの好きなウインタースイミングらしい。実物を拝見できるとは思ってもみなかった。彼等は湖畔の小屋に消えた。たぶん、サウナ小屋だろうが、夏にはここに小屋はなかったように思う。冬期専用なのだろうか?
(サーバー死す)
日本から海を渡って来フィンしたサーバーが故障した(以降はサービス停止の言い訳なので、興味のない方は、ここでストップして下さい)。振り返ってみると、秋口から、内臓ハードディスクが、ときどき異様に高い音を出していた。しかし、音以外に異常がなかったので、そのまま放っていたのである。幸い、利用しているアプリケーションソフト、作成したプログラム、データなどは頻繁にバックアップを取ってあるので、被害は軽微である。これで、当方の作業環境は、6、7月の時点に逆戻りしたと言える。
残念なのは、本サイトの特徴である(と思っているのは、私だけかもしれないが)「学習支援システム」が、一部稼働しないことである。研究室から借りているマシンは一世代古いマシンなのだが、このマシンでは、なぜか中核プログラムが動かない。サーバー機は、早急に修理に出すつもりだが、どれくらいで直ってくるか不明である。
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