出し忘れてしまったラブレターのように思いはうまく伝わらない
出せなかったのか、出さなかったのかも思い出せないほど
遠い昔のことだけど
HOMEへ | 97年へ | 98年へ | 99年へ | '00年(1〜6月) | '00年(7〜12月) | '01年 | ||
もう一つのエッセイ:半端者 | 最新のエッセイへ |
十二月のエッセイ2 「貧乏ひまなし」
十二月のエッセイ 「寒くなると恋しくなるものへ」
十一月のエッセイ2 「はなればなれの言葉と意味」
十一月のエッセイ 「空に書いたラブレター」
十月のエッセイ 「楽しいひと」
九月のエッセイ 「ねえ、なにしてるの」
八月のエッセイ2 「線香花火」
八月のエッセイ 「羨望の夏休み」
七月のエッセイ 「砂浜の砂の一粒なんだ」
六月のエッセイ2 「立ち読み」
六月のエッセイ 「ソフトボールと光化学スモッグ」
五月のエッセイ3 「萌えでる頃を過ぎて」
五月のエッセイ2 「この頃の爪」
五月のエッセイ 「落ちる夢」
四月のエッセイ2 「流されないもの」
四月のエッセイ 「流れゆくもの」
三月のエッセイ 「梅は咲いたか」
二月のエッセイ 「富士見ヶ丘」
一月のエッセイ 「甥と姪のこと」
貧乏ひまなし、である |
いやあ、本当に働き蟻のように働くものである |
周期的にブルーになったりするものの |
身体さえ元気ならなんとかなる |
気持ちが折れなければなんとでもなる |
寅さんに出てくるタコ社長みたいに |
ああ、忙しい忙しいと呪文のように唱えながら |
かけまわっている |
走りまわっている |
寒くたって動き回れば |
身体も温まってくる |
汗なんかかいたりする |
ちょっと一休み |
煙草好きならちょっと一服ですね |
おっとこんなことしちゃおれん |
慌ててまたどこかに走り去っていく |
席の温まる間もない |
さすが生粋の貧乏ひまなしである |
ヨッ、憎いよ大将 |
なんて声が掛かりそうなものであるが |
まわりじゅう、辺り一面貧乏ひまなしなので |
他人のことなんかそうそう構ってはいられない |
そのくせやたら好奇心が強く |
良く言っても悪く言ってもおせっかいなもので |
あっちにつまずき、こっちに引っかかり |
そりゃあなた、ひまなしでしょう |
神様も少し呆れたりなんかしてね |
無理は続かないから |
無理はしません |
無茶はかないませんから |
無茶はお断りです |
だからからかなあ |
今日も一日忙しかった |
まあ湯にでもザブンとつかって |
風呂上りにビールをグイっとやって |
ああ、貧乏ひまなしだなあって |
ちょっと困ったような笑顔で呟いてみましょうか |
そう悪くないって |
思ったりしてみましょうか |
あれですな、寒くなると恋しくなるものがありますな |
と町のご隠居さんみたいな口調で申し訳無いんですが |
「うー、寒い」とくればまずは炬燵でしょうな |
最近のやつは、赤くならなかったりして |
いまいち情緒にかけたりしますが |
それでも炬燵は炬燵ですから |
なんともほっとするんですな |
それにしてもなんで人は「寒い」の前に「うー」をつけるんですかね |
まあどうでもいいことかもしれませんが |
炬燵とくれば蜜柑でしょうな |
ワックスがついてるようなテカテカなやつは遠慮しておきたいですな |
皮の厚さは薄い方が私の好みなんですが |
まあ贅沢は言いますまい |
炬燵で蜜柑 |
これは強力ですな |
もうダラーですな、クターですな |
生来の怠け者の性が開放されるってなもんですな |
こうなると不思議なもので外は寒くてもいいわけで |
というより雪なんか降ってたりしたほうがいいわけで |
そうすりゃ雪見酒なんてことが出来ますから |
まあアパート暮らしで庭もなにもあったもんじゃないんですが |
なんか枝にちょっと積もり始めたぐらいの |
降り初めの淡さ、静かさなんていいもんですな |
風情ですな |
折角だから鍋といきますか |
材料は適当でそんなにこらなくていいですな |
ありあわせの野菜をザクザクっと肉があればあっただけ入れて |
おっと、豆腐は忘れないで頂きたい |
味付けなんてあなた、水炊きで十分 |
グツグツとくればポン酢あたりでいただくわけです |
フーフー、ゴックンでゴクゴク、ハーてなわけです |
「ああ、極楽・極楽」ジワーですな、フニャーですな |
温まるとほっとするところが小市民なんですが |
野生の記憶がDNAに刷り込まれているもんで |
これっばかりは致し方ないんですな |
それにしてもなんで人は「極楽」の前に「ああ」をつけるんですかね |
まあどうでもいいことかもしれませんが |
このぐらいの楽しみがなくちゃ |
寒がりは冬を越せやしませんってことでひとつご容赦ください |
風に千切れてしまった言葉 |
擦り切れていく、手足の感覚だけが敏感になる |
寒さに凍えている誰か |
闇夜でなければ浮かぶことない星 |
月の輝きに底に沈む星 |
月も太陽に歯向かうことを忘れた |
雪に埋もれてしまった意味 |
一夜でかき消された、反射することで強まる情感 |
音も無く影もなく明るすぎる今日 |
寒さに震えている誰か |
明日には消え去る潔癖 |
誰にも汚されないことの儚さ |
雪も太陽に逆らう術を持っていない |
言葉は意味を失って |
砕け散ってしまった時から |
欠けた半身を探している |
どんどん遠く流れていく |
もう声も届かない |
それでも手を伸ばしている |
寒さに耐えている私 |
それでも手を伸ばしている |
昔の歌では砂に書いた |
波打ち寄せる砂に書いた |
人差し指で砂の重さと冷たさを感じながら |
爪の間の砂粒がいやに気なったりする |
そんな風景が浮かんでくる |
青春ドラマの見過ぎだね |
実際に届けられないラブレターを書くために |
一々海に行けるほど豊かではない |
懐も心もそれほど潤ってはいない |
それでも人は恋をする |
何しろ只だ |
することが無くなれば恋でもしようかと |
まあ、そんなもんだ |
歳をとれば |
退屈凌ぎに惚れられるほうはいい迷惑だ |
それでも惚れられないより惚れられたほうがいい |
そう思ってしまうこともある |
まあ、そんなもんだ |
誰だって |
「いい加減な恋ならしないほうがいい」と歌った人がいる |
そうかもしれないけれど |
それでもして悪いことはない |
そう思うこともある |
海にはいけないから |
行こうと思えば行けるかもしれないけれど |
そう思わないから |
単色に広がる |
空を見上げて私は書く |
人差し指で大きくゆっくりと |
砂の代わりに風の冷たさを感じながら |
誰かそばに来てください、と |
誰かではなく固有名詞を書きたいのだけれど |
それもままならない今日の空である |
秋から冬に向かう |
今日の空なのである |
耳鳴りが聞こえるのは気のせいだろうか |
風が泣いているのだろうか |
いい年をして空にラブレターを書いたりした |
ばちが当たったわけではないだろうが |
ものわびしくなる秋から冬に向かう |
空なのである |
聞いて楽しいひと |
楽しそうに話すひと |
話して楽しいひと |
楽しそうに聞いてくれるひと |
私はそのどっちだろう |
せめてどっちかのひとになりたい |
楽しいひとになれたらいいな |
ドキドキする |
あなたの声 |
ワクワクする |
次はどんな話 |
もっともっと聞かせて |
話してたくさん |
語り合うことがある |
分かり合えることがある |
そりゃ、違うんじゃない |
えー、そうかなあ |
うん、それはそうかもしれない |
やっぱり、変だよそれ |
YesよりNoが多いのに |
話して楽しいひと |
自分のことしか言わないのに |
隣に座って楽しいひと |
私の話にはうわの空なのに |
そばにいて楽しいひと |
そんなひとになれたら |
うれしい、かなあ |
でも楽しいひとが |
きっと一番だ |
とにかく、取りあえず、さあ笑ってみよう |
ねえ、なにしてるの |
保育園の手すりから顔を覗かせて |
お下げ髪の女の子 |
昼前の舗装道路の上 |
二人の若いお兄ちゃんが銅線を巻き取っている |
何かの工事の後始末であろうか |
二人黙々、労働者になっている |
多分共働きの家庭の一人っ子 |
父も母も会社員 |
身の回りには汗の匂いのする仕事人はいない |
ちょっとうがった見方かもしれないが |
そんなナレーションが頭の中にこだました |
二十歳前後の若者二人は |
少女の声に答えることも無く |
つまらなくでも楽しくでもなく |
ひたすら労働者をやっている |
この人たち一体何をやっているのだろう |
子供の無邪気な疑問 |
ねえ、なにしてるの |
ああ、お嬢ちゃん |
あの二人は働いているんだよ |
暑くないの |
暑いけどお仕事だからね |
お仕事だと暑くないの |
いや、暑いんだけどお仕事だから仕様がないんだよ |
お仕事だと仕様がないんだ |
まあ、、そうだね |
ふーん、どうして |
お仕事だからさ |
そうなの |
そうさ、仕事だもの…仕様がないさ |
多少暑かったって |
辛かったって |
きつかったって |
今度お父さんに聞いてご覧 |
なんて |
お仕事大変って |
うん、分かった |
おじさん |
何 |
お仕事大変? |
ああ、でもお仕事だから |
ところでおじさん、こんな時間になにしてるの |
えっ、いや何ってただの散歩なんだけど |
無邪気な質問には何の罪も無い |
ねえ、本当はなにしてるの |
ジジジジ、ジジ、ジッ |
チリチリと音を立て線香花火 |
この頃はやたらと潔い散り際で |
それが実は大層な不満なのであるが |
それでも不思議に跳ね飛ぶ火の針 |
飛んで光って消えて闇 |
幾つも幾つも光って闇 |
ジジジジ、ジジ、ジッ |
チチチチ、チチ、チッ |
夏の夜の光と闇 |
燃え盛りそしてやがては火の玉へ |
飛び散る勢いの衰えとともに |
飛べない意気地なしの残り火たち |
次第に大きくなる |
ジッ |
最後のあがき |
ジジッ |
自分自身の重みを支えきれなくなり |
ポト |
まるで誰かさんの見果てぬ夢 |
自分自身の重みに苦しんでいる |
もう一本火をつける |
チッ・チッ・チッチ・チッ |
少しずつ勢いを増しながら |
ほらつかの間の夢が煙の向こうに浮かび上がってくる |
後二三本は残っていることを確認する |
まだ大丈夫、残りはまだある |
ぐっと身を乗り出して |
飛び散る光を見つめる |
夏の夜の チクチクするような |
甘い切ない想いが闇の向こうに隠れていることに |
気づかないふりをして |
夏休みである |
学生で一番嬉しい時期である |
特に夏休みの長さのうらやましさは |
しがない社会人にならないと |
真の実感は得られない |
なにしろ学生さんは既に長期連休に突入済みである |
「既に」と「済みである」とい言葉が我が身にやるせない |
社会人という当たり障りのない生き物になってしまうと |
長期休暇とか長期連休といってもせいぜい |
一週間、よくても二週間である |
「せいぜい」と「よくても」の言葉はうつろである |
不景気で仕事がなくて、なんて |
涙ものの休暇もあるかもしれないが |
それに比べたら、いやそんなものと比べなくとも |
なんとも贅沢なお休みである |
陰謀である |
と今ではその権利を放棄してしまった私は言いたい |
教育である |
今でもその権利の一部を行使している教育者は言うに違いない |
欺まんである |
世の中の不平等さの実践である、と |
社会の不公平さの存在証明である、と |
そうへ理屈をつけるかもしれない |
「実践」と「証明」の言葉に嫌悪感である |
そんなこと言われても暑い時に無理に勉強しても、ねえ |
しかし!私は暑くてもちゃんと仕事をしています |
これは架空の質疑応答 |
そうおっしゃられても体が出来上がっていない子供に夏の暑さは、ねえ |
なにを!私の体は出来上がりすぎて、崩れかけています |
第一今時の学生の体の心配なんて必要あるの? |
これは独り言、聞かなかったことにして欲しい |
いいことばかりじゃないよ |
宿題だってあるし |
観察日記はつけなくちゃいけないし |
ラジオ体操だってあるし |
そうそう、大きくなってもアルバイトだってあるし |
残念ながらそれらの言葉は経験者の私には説得力がない |
そんなこと、どうってことないでしょ |
いや、、、違う |
後になれば分かることなのだが |
宿題? 日記? ラジオ体操?アルバイト! |
みーんな素敵なことじゃないですか |
それが夏休みの醍醐味じゃないですか |
そんなことも分からないなんて |
ああ、なんてもったいない |
学生に戻りたい |
この時期になるとそう思う |
いや別に逃げているわけではなく |
砂浜である |
風が吹いている |
例えばそんなものである |
砂浜の小石、いやもっと小さい砂の一粒 |
風に吹かれて右から左に飛ばされる |
コロコロと転がるように位置を変えてゆく |
そこに砂粒が存在したことさえ人の記憶にない |
それでも砂浜の風景は何も変わらない |
きっとそんなものである |
波の強さに抗らう力はない |
その意志もない |
例えばそんなものである |
押し寄せれば押し返される |
引き返せば黙って従う |
行っては来てそして去る |
永遠に続くシーソーゲームだ |
それでも砂浜の風景は何も変わらない |
きっとそんなものである |
何をトチ狂ったか |
何も狂ってはいない |
私の人生なんてそんなものだということ |
「起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」である |
何をそんなに焦っているのだ |
そう言う私は確かにいる |
それでもあがきもがき苦しんでいる |
そう生きる私も確かにいる |
「俺の存在意義ってなんだ」って叫んでいる |
そんな私だって |
砂浜の砂の一粒だ |
風に流され |
波に遊ばれ |
存在さえも気づいてもらえない |
それでも確かに私はいるのだ |
そうは思ってもみるのだが |
それでも砂浜の風景は何も変わらない |
多分そんなものである |
だからって手を抜くわけではないけれど |
この間読んだ文章に本は買って読め、とあった |
すぐに読まなくてもいい、持っているだけでいい |
その時々に自分が興味をひかれたもののリストが出来る |
後になって「ああ、こんなことに興味があったんだ」 |
そう思うこと、考えることは決して無駄ではなく |
また読み直しでもすれば、それこそ血肉になる |
そんな風に理解した |
もっともである |
今でこそ本代に事欠くということはなくなったが |
中学生の頃はお小遣いも乏しく |
その上本は買ってくるものという意識も乏しく |
自分で買うことはそうはなかった |
特に漫画は決して自腹で買うことはなかった |
力をいれて宣言することもないのだが |
とにかくそうだった |
でも漫画は好きだった |
ではどうするか |
その頃誰もが一度はやった、所謂「立ち読み」である |
学校帰りの本屋でまず一時間 |
ここで店のおじさんが、NGを出すまで読む・読む・読む |
サザエさんと違ってはたきで本をパンパンされるようなことはなく |
ちゃんと言葉で「いいかげんにしなさい」と注意された |
こういう時の集中力は自分でも驚くほどのものがあるので |
読み出すと止まらないものがあった |
はっきり言葉に出して言わないと止めなかったのかもしれない |
この後次の店に行って続きを読む |
最もそう大きな町ではなかったので |
学校からの帰り道に立ち読みできる本屋は一軒しかなかった |
パン屋といえるのだろうか、雑貨屋みたいな小さな店が橋の側にあり |
ここが雑誌類を扱っており店先に雑誌を陳列していた |
ここが私らに狙い打ちされた |
店のおばさんは気のいい人なのかほとんど小言を言わなかった |
そんなことで頭に乗った私は自分が満足するまで漫画を読み倒した |
本屋の立ち読みと違い、店先つまり道端での立ち読みである |
相当にカッチョ悪い行為である |
でもそんなことは露程も考えなかった |
好きな漫画が読めるというだけで満足だった |
中学にも上がれば多少は色気づいて |
人の目も気にする頃なのに全くといっていいほど無頓着だった |
家の近所だから親も近所の人も |
立ち読みしている私を何度も見かけただろうが |
誰にも何にも言われなかった |
無関心というのではなく |
許容されていたのだと思う |
お調子者の私はこれを高校に入るまでの三年間続けた |
毎週毎週かかさずやった |
マガジン、サンデー、キングなんて雑誌を飽かず読んだ記憶がある |
この行為は習慣となり |
高校、大学と続いた |
大学の時はテリトリーを広げ |
文庫本一冊を立ち読みで読破するという無謀な行為にも挑戦した |
これは疲れるのですぐに止めたが |
ただこの頃になると立ち読みを禁止する店が増え |
横浜の地下街で数軒の本屋を渡り歩かねば満足いく結果が得られないようになった |
立ち読み禁止の威力も、単なる張り紙から、本のラップへと移っていった |
同時に社会人になりいつしか立ち読みはしなくなった |
もちろん今でも良く本屋に行く |
手にとってパラパラと中味に目を通す |
手に取った何分の一かの本を購入する |
帰りしなにまた別な本を手に取る |
面白そうな記事とか写真とかにさっと目を通す |
でもそこにはあの「立ち読み」の密かな負の喜びは感じられない |
店にとっては「只読み」なのだろうが私にとっての「立ち読み」は |
決して只で本を読むだけの行為ではなかったのだ |
そう気づく昨今なのである |
大学は私立の工業大学だった |
単科大学だから工学部だけで成り立っていた |
総合大学とは雰囲気からして随分違う |
何しろ女性は数えるほどしかいない |
私の選んだ電子通信工学科はゼロだった |
こういうと何か随分濃いいような印象を受けるかもしれないが |
どちらかというと大人しい地味な感じの大学だった |
東横線で自由が丘まで行き |
そこから乗り継いで二つ目の小さな駅を降りる |
東急沿線に共通するどこかこざっぱりした感じの街である |
一般には高級住宅地と呼ばれる部類に属するであろうその家並みを |
横目にとどめてしばらく歩く、多摩川の近く |
そこにひっそりと象牙の塔が待ち受けている |
山田太一のテレビドラマで「三流の私立大学」として登場したこともある |
我が懐かしの母校である |
大学でどんな勉強をしたか実はあまり記憶がない |
試験の記憶もあまりない |
ただ試験対策でみんなのノートのコピーを取るために |
簡易複写機を買ったこととか |
そのコピー機を買ったみんなでよくつるんでいたことが記憶にある |
ただなんというか、飲むでも打つでももちろん買うでもなく |
何かに夢中になったり夜を徹して遊びまわったということはなかった |
なんか随分覇気のないように思われるかもしれないが |
今でいうまったりとしたような |
緩やかで穏やかな時の流れであったように思う |
根が怠惰な私には特に違和感のないのんびりとした日々であった |
朝目が覚めたら学校に行く |
授業が終わったら家に帰る |
時々お茶を飲んだり酒を飲んだり |
季節が静かに流れていく |
街の佇まいは大して変わらない |
そんな風に時代を感じていた |
実際は石油ショックだとか就職難だとかあったのだが |
自分には関係ないようなことに思われた |
授業に飽きると仲間で示し合せて |
すぐ側の河原に遊びに行った |
数人集まればそれでOKで |
三角ベースみたいな感じでソフトボール遊びに興じた |
いやはや、幼いもんだ |
バットとボールは学校に置きっぱなしにしてあった |
誰が最初に言い出したのか覚えていない |
簡易コピーを買った仲間の大部分が玉遊びに参加した |
全員分のグローブはなかった |
まあソフトボールだから素手でも慣れればなんてことはない |
人数が少ないので外野になると結構大変だが |
それはそれ、大変なのが好きな人も |
単なるお人好しもいるので特に守備位置で揉めることもなかった |
まともな試合にはならないが |
それでも打った、走った、アウトだ、セーフだ |
結構熱中した |
なんかソフトボールするために大学に入ったようだった |
授業なんか覚えているわけないよね |
ある夏の昼 |
いつものように河原で玉遊びに興じていると |
何か目がチカチカすることに気がついた |
なんか目が痛いんだけどなー |
あー、俺も |
喉もちょっと |
聞けばほとんどの友が何らかの異常を訴えた |
不安に勝てずにソフトボールは中止になった |
仕方なく校舎に避難することにしてその日は大人しく帰った |
避難後の学校では特に違和感を覚えることもなく過ごせたので |
昼の体調不良もみんなの話題にのぼることはなかった |
家に帰って夕食を取った後何気なくつけた |
夕方のTVニュースではその日も随分暑くなったこと |
その年何度目かの光化学スモッグ注意報が発令さたことを告げていた |
ああ、あれが光化学スモッグか |
そう思ったことは不思議に今でもよく覚えている |
仕事に向かう道の途中に |
小さな学校と小さな神社がある |
春には桜の花びらが舞い |
すぐに葉桜の季節になる |
透き通る緑に陽光の輝き |
そして萌える時が訪れる |
芽吹く頃と呼べばいいのだろうか |
何か青臭いような新緑の中を |
ゆっくりと道なりに曲がり降りていく |
それこそ2分にも満たないこの道がとても好きだ |
角を曲がった瞬間にぱっと広がる |
萌える空間にいつも驚く |
まるで大地に包まれたような気にさせてくれる |
遥か昔ではない |
せいぜい数十年前にはきっと鎮守の森と呼ばれていた |
この小さな神社の裏手の坂道を滑り降りて行く |
憎たらしいほど威厳に満ちた |
太く慈愛に満ちた幹よ葉よ枝よ |
鳥のさえずり羽ばたきよ |
風が私の周りをぐるぐる回り始めると |
すぐに時は逆行を始め |
小学生に戻ったような顔をして |
大きく息を吸い込んでいる |
深呼吸することで生まれ出る若さを取り込むつもりはないが |
胸のなかに詰まったあれこれを |
せめて中和させてもらいたい |
坂の下から幼子が息急き切らして |
駆け上がってくるのが見える |
時に母を追いかけて |
時に母を後に残して |
歩くことがそのことだけが楽しいとでもいうような顔をして |
幼子は時を駆け上がって来る |
私は時を滑り落ちていく |
坂の途中ですれ違う私たちは |
不思議なことだけれど |
ほんの一時ではあるが |
同じ緑色の空気を吸っている |
ちらっと彼の顔を覗けば |
何か懐かしいような |
透き通るような笑顔である |
頑張れよ |
誰に言うでもなく囁いてみる |
さあ背筋を伸ばして私も出かけよう |
小さな神社とかつての鎮守の森をあとにして |
この道の先には信号機と車の連なりが待っている |
そう日常という違う風景が広がっている |
あれっもうのびたのか |
何がって、爪の話しである |
どうも最近爪ののびかたが激しいような気がする |
気のせいだろうか |
若くて体全体がどんどん発展しているときならいざしらず |
長期低落傾向に陥って久しい今ごろになってと思う |
やはり気のせいだろうか |
でもなあ、この間切ったばかりなのになあ |
幼い頃はもちろんのこと |
学生になってからでさえ |
爪を噛む癖が抜けなかった |
最初は硬く味があった爪も |
噛んでいくうちに柔らかく無味になっていく |
それでも噛むのを止めない |
もういいかげん飽きた、というまで止められない |
止めるためには爪を噛みきってしまわなければならない |
後にはぎざぎざで不揃いの無様な爪が残る |
落ち着きのない子どもであったのだろう |
ちょっとみっともない |
噛み切った爪はいくらなんでもみっともないので |
その後一応それなりの処置をした |
もちろん爪切りなんぞは使わない |
ポケットから小銭を探して |
そのまわりのぎざぎざをやすり代わりに |
せっせと磨き上げたものなのである |
但しこんな稚拙な処置では結果は目に見えている |
何もしないよりはまし、という結果に当然のように落ち着く |
それでも人間というものは良く出来たもので |
爪がぎざぎざの形を残したままのびることはなく |
一ヶ月もすればそれなりの爪に生まれ変わってくれた |
大したものである |
そんな癖もいつしか影をひそめ |
最近ではちゃんと爪切りで爪を切るという |
文明人の仲間入りを果たして安心していたのであるが |
どういうわけか切ったと思ったらもうのびた |
そんな感じなのである |
栄養が脳の方に行かなくなりその分爪関係に流れているのだろうか |
そんな馬鹿なことを考えてしまうくらいにはやい |
のびた爪に過ぎ去る時間を教えられるかのようである |
不健康に数本の縦筋が走る我が爪を見て |
そんなに切って欲しいのか |
そうか、そうか、切って欲しいのか |
思わず知らず独り言を言っては |
どこかにしまい忘れた爪切りを探している私なのである |
先月と同じように、きっと来月も同じように |
なかなかうまく飛び上がれずに焦る |
全力疾走しては少しだけ浮く |
なんとかかんとか |
地面すれすれを失速寸前の低空飛行を繰り返す |
時々地面に足がつく、こする、また走る |
何者かは分からない何かから逃げようとして |
懸命に空に浮かぼうともがいている |
そして断崖絶壁が迫ってくる |
小さい頃にはよくそんな夢を見た |
あの夢にどんな意味があったのだろう |
どうでもいいことかもしれない |
きっとどうでもいいことなのだ |
最後の最後までもがきつづけて |
断崖から飛び降りるように |
勢いをつけて手を広げると |
ふわっと体が浮いたような感覚の後に |
下界の景色が猛スピードで迫ってくる |
飛んでいるのか落ちているのか分からないような猛スピードで |
スキーのジャンプもこんな感じなのだろうか |
恐いと思うだけではないような不思議な感覚だった |
何かが変わっている |
何かになれるかもしれない |
そんな期待をぼんやりと持っていた頃だからかもしれない |
可能性がどんどんなくなっていくにつれ |
落ちる夢は見なくなった |
かえって私に出来ることがはっきりし |
目移りが少なくなった今の方が |
こじんまりとした夢ではあるかもしれないが |
可能性が見え始めたからかもしれない |
何も出来ない、何も威張れない |
そんな私だからこそ出来ることもある |
そんなことをなんとなく信じられるようになったからかもしれない |
そんなことでもう落ちる夢は見ない |
どんどん捨ててゆくことで |
何かを知ることがある |
そういうことだろうか |
新緑香る五月 |
ひねくれ者はちょっと変なことを思ったりもするのである |
桜の花びらのお通りである |
目黒川に描かれる淡い色の一筆書きである |
無数とも思える花びらが幾すじものうねりとなっている |
この流れが途切れる頃には |
街はすっかり色めいてくる |
葉桜の季節である |
そしていつもと変わらない |
去年と同じ人込みである |
人込みの原因の一つである私も |
去年と同じように上野の山の葉桜を愛でながら |
缶ビール片手にそぞろ歩きである |
満開の桜並木とはまた違った |
肩がふれあわない程度の混雑の中 |
噴水の公園を右手に |
成人病の鳩の群れ飛ぶ隙間をぬって |
緩やかに左にカーブし |
桜並木の下にたどり着く |
いつもと同じ風景である |
透き通った葉を見上げながら |
呆れ返るほどに優しい木漏れ日にシャツを濃淡に染めながら |
大きくゆっくり深呼吸をするのである |
老若男女みな一様に |
大きくゆっくり深呼吸するのである |
ああ、流されないものがここにある |
そう思えるほどの幸せに満ちている |
そうだ、来週あたり上野の山に行こう |
山を下りるまでに缶ビールを飲み干して |
道を渡ったビヤホールでジョッキでさらにもう一杯と |
計画はさらに完璧へと近づいてゆく |
どうぞいい天気になりますように |
昼間のビールはいつもより酔うので注意が必要だ |
ああ、流されないものがここにもあった |
目黒川の流れを見詰めていると |
ああ春なんだなあ、と思う |
川沿いの桜の木々はうっすらとピンクに染まり始めている |
花が咲いてしまえばもっと淡い白と呼びたいような色合いになる |
咲く直前の蕾の色なのであろうか |
陽射しもその川面の照り返しも |
どちらもお待たせしましたみたいに |
はしゃぎまわっているようだ |
花粉症の人には悪いが |
ちょっとくすんだようなこの頃の味わいはやはり格別だ |
自然の循環として水の例がよく語られる |
大概はこんなところだ |
空から振る雨が川となって、または地にもぐって海に流れ着く |
海の水は太陽にそそのかされて水蒸気に身を変え空に昇る |
空の上の水蒸気は寒さに手をつなぎ、集まり雲になる |
出来上がった雲は風に流され山の頂にまた雨を降らせる |
こんな風に自然は巡り巡っているんだと |
今この濁った目黒川の水も |
いつかは私の家の屋根を濡らすことがあるのだろうか |
4月は別れの時期でもある |
もしかしたら二度と逢わなくなる人もいるかもしれない |
そんな別れだってあるだろうに |
年中行事の一環として |
なるだけ感情を抑えながら |
「さようなら」の言葉を飲み込んでいる |
現実逃避の一種ではあろうが |
出来るならあまり濃い関係を築かないでいたいという |
小心者の自己防衛といえばいいのだろうか |
この淀んだ目黒川の水も |
いつかは私の家の屋根を濡らすことがあるのだろうか |
何人の人と別れることになるのだろう |
再び逢える時があるのだろうか |
4月は「流れゆくもの」のことを考える |
「流れゆくもの」について考える |
桜だけではない |
そんな春だってあるのである |
三月である |
もう少しすれば春の気配ももっと色濃く漂い始めることだろう |
一番先に気づく春の気配はやはり梅の花であろうか |
赤色と呼んでいいのだろうかと疑問が湧くほど淡い色合いの紅梅 |
白というには少し色気がありすぎる気もする白梅 |
小さく華奢な姿を町のそこ、ここで見掛ける |
愛好者が多いということだろう |
木塀の上から顔を覗かせる紅梅は米屋さんの二軒先である |
何か背伸びでもして外を覗いているような風情もあり |
なかなか、どうして捨て難い |
もちろん他所さまの梅なので捨てることなんて出来ないが |
私の採点では結構得点が高いということである |
ただ残念ながら梅香と言われる香りに気がつくことはない |
顔をぐっと近づけてみればいいのかもしれないが |
どうもそれも無粋なようが気がする |
なんか道を歩いていて |
少し欠伸、または背伸びしたときに |
ふっといい香りがして |
見回せば、ほらそこに梅 |
ああ、春なんだ |
まだ肌寒い町の中 |
そこだけはぽっくりと春なんだ |
お父さんなら幼子を連れて |
おじいさんなら犬の散歩で |
なぜか大勢でには似つかわしくない |
その辺は桜とは随分違う |
出来れば少ない人数で |
もちろん一人でも |
本屋に向かう途中の道で気がついて |
帰り道の楽しみが一つ増えている |
ちょっとした贅沢を与えてくれる |
そんなシチュエーションを思い描いてみるのだが |
現実はそんなにうまくはいかない |
木塀の上から顔を覗かせる紅梅は米屋さんの二軒先である |
坂を下りながらの梅の花である |
それでも私にとっては十分すぎるほどの |
絵になる構図である |
春を知らせる毎年の暦である |
あたりに人がいないことを確認してから |
歩を止めしばらく和んでみるとしよう |
ほら、私のまわりがちょっとだけ早く春になっていく |
そんな錯覚を楽しんでみる |
梅は咲いたか… |
桜はまだかいな |
なんて呟いてみる |
春の便りを首を長くして待っている私なのである |
富士見ヶ丘いう地名がある |
そこから富士が良く見える、そんな丘のことをいうのだろう |
富士を中心に結構あちこちにあるという |
空気が澄んでいた昔は |
そんな遠い所から見えたのかと、今なら不思議に思えるほど |
そこかしこで良く見えたようである |
富士見ヶ丘とはいかないが |
高校の時通学に利用した丘の上のバス停からも富士が見えた |
冬の良く晴れた朝にはそれはそれは凛とした |
背筋を伸ばした姿を見せてくれた |
バス停は道路の向こう側にあり |
道路を渡るためには歩道橋を登り降りしなければならなかった |
この歩道橋の上に立つと一段と富士山が奇麗に見えた |
その分冬の冷気もきつかったと思う |
それでも一瞬寒さを忘れるように見入ったりもした |
もっとも、ものの一分も眺めてはいなかったと思う |
寒さが苦手なのと |
バスに乗り遅れないようにしなければならなかったからだ |
この丘の上のバス停には我が家からはかなり急な坂道を登らなければならない |
登り切るまで時間にして七、八分分ぐらいだろうか |
高校の三年間このバス停を利用した |
一時間弱のバス通学である |
途中高速道路を利用するこのバスは |
いつも混んでいた |
私が利用するバス停を最後に高速に乗ることもあり |
いつも運転席の隣あたりに立ったまま |
富士を横手に見ながらバスは高速を進むのである |
でもその時の私には |
富士を眺めることがそれほど楽しいことだとは思っていなかったようで |
バスの運転席の一段高い場所から |
高速を走る車ばかり見ていた気がする |
もしかしたら何も見てはいなかったのかも知れない |
学校の帰りは行きとは違う |
帰りに横浜駅に寄る経路を使った |
バスの便数の多さと友達と一緒に帰るためであった |
もちろん帰る時間には冬の日はとっくに暮れていて |
丘の上のバス停を利用しても |
富士山は見えるはずはないのだけれど |
富士を見るためだけの無駄な時間を使えていたら |
あの時の富士の姿はもっと違ったものに見えたかもしれない |
後年友と富士に登った時 |
奇麗に見えたのはご来光と夜を徹して登るライトの列であった |
近くにいると本当の姿は見えなくなるのは富士も同じであった |
結局、富士の山頂で富士はどこにも見当たらなかった |
石と岩とごみの固まりが見えるだけだった |
いや、むしろこれこそ本当の富士の姿なのかもしれない |
そう思うとなんだか悲しいような気もしてくる |
奇麗な姿を見るには遠く離れていなければいけないということか |
過ぎた日々も |
あの丘の富士も |
遠く離れているから |
あれほどまでに美しいのだろうか |
近づけば近づくほど |
隠しておきたい陰が見えてしまうのだとしたら |
過ぎ去ってしまう時間ってやつも |
そう悪くはないぞと思ってみたりする |
思い出に更けることを何だか恥ずかしいことのような気がしながら |
気がつくと友と昔話をしている私に気づいて |
ちょっと恥ずかしいぞって思うのだけれど |
あの時見た富士の美しさは |
富士見ヶ丘にも負けないように思えるのである |
生家に帰れば甥と二人の姪が出迎えてくれる |
人懐っこい彼や彼女らは疲れることなく |
たまに顔を出す怠け者の叔父を歓待してくれる |
ちょっと君たち歓待のし過ぎだぞ |
そう思う程に付き合ってくれる |
ゲームだ、お話だ、お風呂だ、一緒に寝るだと |
帰った最初の日なぞはかなりの興奮状態だ |
どっちが先の、こっちがあれの |
もっとだ、次だ、今度はこれだと |
「兄貴は偉いなあ」 |
いつもこんな大変なことをやっているのかと言えば |
自分の子供はかわいいものだと答える |
なるほど、そうであろう |
何しろ甥も姪もこんなにかわいいのだからとこっそり思う |
しかし毎日はちょっと辛いともちょっと思う |
もちろん彼や彼女らだって何時も一緒にいれば |
これほどのハイテンションではないのだろうが |
休むために帰る私は生家では何もしない |
普段の休み以上にそれこそ何もしない |
食って飲んで寝て飲んである |
上の姪はどうやらこんな私をぐうたらの仕様がないおじさんだと考えている節がある |
半分以上当たっているのでその通りだと言っている |
「おじさん、またビール飲みに来たの」と罪のない笑顔で |
私の顔を覗き込んでくる |
それでも「はい」と言って慣れた手つきでビールを注いでくれる |
ビールの泡が消え去る時の「ショワショワ」という音を英語でsmileというんだ |
「聞かせて、聞かせて」がビールを注いだあとの彼女の注文だ |
「天使の笑い声だ、囁きだ」とこれは私の当てずっぽうだ |
そっと彼女の耳もとにコップを近づけ |
優しく「聞こえる」って聞いてやれば |
「聞こえた」と満足そうにうなずく |
その役目も下の姪があたしがやると言い出してからは |
お姉ちゃんの出る幕は随分と少なくなった |
何回かのすったもんだの後 |
お姉ちゃんは遠慮するという暗黙のルールが出来たからだ |
それでも注げるチャンスが来れば喜んで注いでくれる |
「聞かせて、聞かせて」とせがむ彼女の笑顔を見ていると |
自分の子供でなくてもかわいいと思う |
もちろん甥も注ぎたいのだがお兄ちゃんはもっと辛い |
長男だからじっと我慢なのだ |
下から順番だからそうそうチャンスは巡ってこない |
いくら私でもビール500ml缶三本はきつい |
チャンスは「たまにはお兄ちゃんにもね」との |
義姉さんの助け船を待つしかない |
小学生のうちから待つことを覚えるのだから |
御愁傷様と言うべきなのかどうなのか |
とにかくそれでも巡り来るチャンスがくれば |
しっかりした手つきでビールを注いでくれる |
凝り性のところがあるので |
なるべくビールの泡を立たせないように |
思いっきりの緊張で注ぐのが面白い |
個性って潰さなければいくらでも備わっている、ということだ |
「僕も」と言ってsmileを聞こうと耳を近づける甥は |
ちょっと人が良すぎるんだよなあと |
ちょっと心配もしたりする |
我ながら愚かな叔父であるなあ |
怠け者だけでなくそのうえ愚かなことを |
いつか見破られる日が来るのだろうなと思うと |
少しばかりいいかっこもしておいたほうがいいかなあ、なんて |
うまいビールを飲みながら |
愚かの二段重ねみたいなことまで考えているのである |
HOMEへ | 97年へ | 98年へ | 99年へ | '00年(1〜6月) | '00年(7〜12月) | '01年 | ||
もう一つのエッセイ:半端者 | 最新のエッセイへ |