コラム: 理科と算数(更新)

発明、発見、実験、調査そんな世界を覗いてみようよ、気まぐれコラム

丸いすいかも切りようで三角。どんなに切っても豆腐は四角

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No.26 ブタの臓器を移植する

異種移植が本気で検討されるようになった
脳死からの臓器移植では十分な数を提供できない。海外では特に臓器不足が深刻だ。先月名古屋で国際異種移植学会が行われ最近の研究結果が報告された(11月5日)
可能性が高いのはブタらしい。ブタ!? 誤植ではない、変換ミスでもない!?
ブタですぜ、お客さん。食うものだと思っていたのにいつの間にそんな立場に立たされたの、ブタ君。臓器の大きさや生理学的な特徴が近く飼育しやすいのが理由だ。もちろん普通のブタの臓器を移植すれば数分から数時間で超急性拒絶反応が起きる。それだけではない、ブタのウイルスが感染する危険性、倫理的問題と山積みである
それでもそんな問題が取り沙汰されるぐらいに真剣に研究が進んでいるようだ。クローン羊ドリーを作り出した英国PPLセラピューティクス社は異種移植用のブタを開発中、と発表した。ブタ細胞に特有の抗原の一つを遺伝子レベルで消してしまうもので、人の免疫機構はブタの臓器の目印を失ってしまう。結果超急性拒絶反応が起きなくなる。来年半ばまでには生産する目処がたった、という
安全性の面でもブタの中に隠れている内在性レトロウイルス(PERV)について研究報告された。1997年に試験管内の培養細胞レベルで人への感染の可能性が実験で指摘されており注意が必要だからだ。これ以外の既知のウイルスは衛生管理を徹底すればほぼ解決できる見とおしだ。
英国イムラトン社は一時的にブタの皮膚移植を受けたり、脾臓や腎臓を体外で一時的に使用した八ヶ国の160人を追跡調査した結果感染の証拠は一人も見つからなかったと報告した。これだけの数を調べて感染しないなら、ほぼ問題ないと考えていいのだそうだ。うーん。一時的にしろ、実際に使われていたとは、、、知らなかった
どうです、大分進んでいるでしょう。医学って医大、いや偉大。でも超急性拒絶反応の次は急性拒絶反応が立ちふさがっているのでまだ、まだ先は長い。それでも21世紀には臨床試験が始まると考えていたほうがよさそうだ。もちろん命の方が私の人としての尊厳よりも重要なので、拒否はしない
ただ、出きるなら私の時には脂身の乗った黒ブタ(もちろん純粋種)の臓器にしてもらいたい、と不埒な妄想を抱いた次第である

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