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俺たちGT6は、その敵か味方かも解らない存在にそれぞれ気を奪われながら、 今回の決戦「ソースカツ丼」と「おろしそば」について意見を交わしていた。 そしてついに決戦の地、福井到着。 そこにはなんと、とってもとっても小柄なちびっこ戦士が俺たちを待っていた。 「?? ????」 身長1メートルの見上げた視線で彼女が言うには、日本全国に我らがグルメトラベラー6の 「でも、ここ福井をナメちゃいけないワ。なぜならここには...。」 リーダーはそう言ってブラックにやさしい笑顔を向けた。 |
【ソースカツ丼】「ヨーロッパ軒 総本店」 |
日本で最初の「元祖カツ丼の店」、それは福井駅から10分ほど歩いたところに堂々と建っていた。古くからの雰囲気が残る店内にはどこか懐かしく甘い匂いがした。 店主に注文を告げ、しばし待つ。俺は店内の様子をそれとなく窺った 店内のお決まりである有名人のサイン色紙を一瞥し、味のあるテーブルクロスから忙しそうに働く、これまた味のある従業員に視線を移した。 カツ丼との戦いもこれで2度目になるのか。 俺は遠く岡山の地、デミグラスカツ丼との戦いをいつしか思い出していた。 日本には「カツ丼」というものが数多くある。卵でとじた普通のカツ丼だけがカツ丼ではない。いや、「普通のカツ丼」という言い方は適さないだろう。なぜなら、岡山では「デミグラスソース」が、そしてここ福井では「ウスターソース」のかかったカツ丼こそ「普通のカツ丼」なのだから。 その時、鼻先をくすぐるウスターソースの匂いとともに過去はかき消された。 秘伝のソースがまんべんなくかけられた褐色の飯の上には、これもまたソースに軽くくぐらせ全体に味が染みわたったキメ細やかなパン粉の衣をまとった薄切りのカツが乗る。この店のカツ丼にはキャベツは無く、その分ダイレクトにカツとご飯が口の中で主張しあう。 ...美味い。 この地で長く愛されている味に納得する。 俺たちGT6はいつの間にか言葉もなくなり、誰もがその器の中に吸い寄せられていく。小ぶりの器からは予想できなかった充分なボリュームに満足し、俺たちの戦いは終わった...。 |
「ヨーロッパ軒」のカツ丼。 ヨーロッパ軒総本店。
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【おろしそば】 決戦地「つるき 本店」 |
福井にはもう一つの強敵、おろしそばがある。 決戦地は夕方のほの暗い空の下で、佇むように俺たちを見ていた。 ヒヤリと冷たくコシのあるそばを倒すべく店内に吸い込まれる。 中は明るくなく暗くなく、長旅と先程の戦いの疲れを癒すにはちょうどいい。 古くから伝わるものか、店内には日本の鎧兜(よろいかぶと)が配置され時代の雰囲気を匂わせている。俺たちはその武士の残したものに自分たちの今までの戦いを重ね合わせていた。 そうこうするうちに、「海老磯おろしそば」が手元に現れる。 カラリと揚がったでかいエビ天が乗せられた平打ちのそばに、海苔・生姜・葱の薬味。 冷たいそばのコシのある食感と、それに熱を奪われつつある天ぷらの温かさが、また俺たちの言葉を奪った。 ...美味い。 となりの席で無邪気に戯れる子供の奇声も、本当にうっすらと独特の臭気を放っていたと思われるヨロイのショーケースも大目に見てやろうという気になった。 どういうわけか今回は疲れ切った福井決戦も、こうして終わった。 |
「海老磯おろしそば」
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戦いよりも観光スポットのなさに困り果ててしまった7人であった。 JRを乗り継いできたわれわれには車で移動するすべもなく、 昼ご飯のあとには駅ビルや福井城址などおよそ若者らしからぬ場所をなかば無理に回り、 疲労コンパイしてしまったのである。 福井の「予想もしなかった見えざる強敵」とは福井市駅周辺の「何もなさ」にほかならなかった。 あぁ、多田博士。我々はいったい何を目指すのか。 そして次なる戦いが、俺たちを待っている。 |
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第1話/高松決戦 | 第3話/広島決戦 |
第2話/名古屋決戦 | 第4話/貴船決戦 |
第5話/福井決戦
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