店主の読書日記 NOV2004

2004/11/30

仕立て屋の恋  フランス人のセクシャリティって深っ!と、見ていて思った『仕立て屋の恋』。
 「恋」が第一変換で「濃い」になったが、まんざら間違っていないのがまたすごい。

 無口な中年男、仕立て屋・イール。
 人付き合いをしない彼が情熱を傾けているのは、向かいに住む美しい女性を窓からじっと観察することだった。部屋の明かりを消して、ブラームスのレコードをかけながら。
 やがて、彼女はイールに覗かれていることに気がつく。
 見る男と見られる女。二人の関係はやがて……。

 前半はフランス映画らしいテンポで、ちょっと眠たくなった。
 はっきり言って、この主人公、ハゲの中年なだけでなく、変態である。色も白くてなんかキモチワルイ。
 のに。のにのに、じーっと見ているうちに愛しくなってくるのが、ルコントマジック! この監督、フェチのおっちゃんを撮らせたら天下一品なんじゃないだろうか。
 途中まで、イールはひたすらフェチの人である。窓から女を眺め、遠くから見つめることを愛している。実際にその女が部屋に訪ねて来た時は怒鳴って追い出すほどだ。
 そして、彼は女が出て行った後、彼女が座っていたベッドの彼女のぬくもりに頬ずり、口付ける。
 ああ、なんてフェチなんだ!(笑)

 私が切なくて愛しいと思うのは、こんな変態な彼の愛が、あくまで純愛であること。
 フェチは彼を幸福にするが、純愛は彼を傷つける。なんて皮肉な。

 私は、ずーっとこれはすっかり恋愛ものだと思っていた。
 確かに間違いではないが、後半の緊張感はサスペンスとして評価していいと思う。ただの恋愛ものと思って見始めたら、いい意味で裏切られた。
 原作はジョルジュ・シムノン。

『仕立て屋の恋』MONSIEUR HIRE(1989年、フランス)78分
監督: パトリス・ルコント、製作: フィリップ・カルカソンヌ、ルネ・クライトマン、原作: ジョルジュ・シムノン、脚本: パトリス・ルコント、 パトリック・ドゥヴォルフ、撮影: ドニ・ルノワール、美術: イヴァン・モシオン、衣装: エリザベト・タヴェルニエ、編集: ジョエル・アッシュ、音楽: マイケル・ナイマン
CAST: ミシェル・ブラン(イール)、サンドリーヌ・ボネール(アリス)、アンドレ・ウィルム(刑事)、リュック・テュイリエ エミール、フィリップ・ドルモワ、マシュー・ゲイデュ、ミシェル・モラノ、マリエル・ベルトン、アンドレ・ボーダン


2004/11/26

 久しぶりに西澤作品を読了。『パズラーPuzzler 謎と論理のエンタテインメント 』(西澤保彦/集英社)。
 ノンシリーズの短編集。

 うーん、すべてのミステリファンにオススメできるという作品ではないなあ。
 あと、スッキリしないのは、『依存』から顕著になりだした「こうだったかもしれない解決を提案」というスタイルが多いから。現実に起こる事件はどんなに証拠や証言や自白があっても、真実が見えるわけではない。だから、それはまったく「リアル」なんだけど……でも、小説世界くらい神の視点でスッキリしたいじゃん?(笑)
 そういう点で、好みがわかれるところだろうと思う。

 さて、毎回、難読姓が出てくる西澤作品。
 今回のTOPは、「谷谷谷谷まり江」でした。読めません。
 ふりがなを5回くらい見返したっす。
 正解は、たにかべやつやまりえ。
 いったいどこから発掘してるんだろう。こんな苗字。物語のファンタジー性云々より、既に趣味……?

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2004/11/23

 上巻だけで放置しちゃいかんだろ。『女優の条件』(オリヴィア・ゴールドスミス、川副智子訳/角川文庫)下巻読了。
 後半はライラが大活躍だった。
 大女優で女王様な性格の母を持ち、歪んで育ったライラ。うっとりするような天性の美貌を持ちながら、常に何かに乾いているようなライラ。TVシリーズの名声に飽き足らず、人を落とし入れても一番を狙うライラ。
 だんだん、憎しみを超えて、「がんばれ! それじゃあツメが甘いぞ! 卑怯さが足りん!」と応援してしまう。
 そんなライラの幸福を願ってやまない私だったが、なんだかライラが一番かわいそうな終わり方をしたような。

 ところで、この感想を書くので検索をかけていて、作者のゴールドスミスが今年1月に亡くなっていたことを知った。
 美容整形の手術を受けて昏睡状態になり、そのまま意識が戻らずに18日に死亡。
 どうもこの本を読むと、「美しさ」を憧れつつ憎んでるような怨念を感じさせられるので、その怨念に取り殺されてしまった犠牲者なのかもなあ、と、思ったり。

 映画化もされた『第一婦人同盟』など、怒れる女達を書いた作家でありました。升目のぎゅーと詰まったような感じを受ける作風が読めないのは残念です。
 ご冥福をお祈りします。

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2004/11/21

SPIDER-MAN  見ました『スパイダーマン』。いえ、2じゃなく最初のを。

 ある日、遺伝子操作して作られたスーパースパイダーに噛まれて特殊能力を持ってしまった野比のび太……じゃなくって、高校生ピーター。
 この研究所、「あら一匹足りないわ」→「きっと研究に持ち出しされているのよ」→(蜘蛛天井で巣を張ってる)→「ガブリ」という、素敵にずさんな危機管理描写なので、てっきりバカ映画かと思ったら、割と暗い感じで話は進むのだった。(もっとバカでもいいのに。のび太なら女風呂のぞくのに!)

 このスパイダーマンの敵となるのが、グリーン・ゴブリン。
 アメコミらしいデザインで、変なグライダーに乗ってくるのがイカス。肉体強化兵士の研究をしていた博士が、軍からの資金を打ち切られそうになって自分で人体実験をしちゃったというのが、これまたステキだ。
 演じるのはウィレム・デフォー。
 このグリーン・ゴブリン、「よくもオレをクビにしやがったな」(バキーン)、「オレの味方になれー」(ズゴーン)という小物ぶりが泣ける。
 スパイダーマン=ピーターの弱点を狙うんで、おばあちゃんを脅かすわ(ケーキに指をつっこんだのを怒られた腹いせかも!)、お隣のしずかちゃん……違った、MJをさらうわ(これは息子がフラれた仕返し)、の小っちゃさだ。こいつ、次に幼稚園バス狙うんじゃ……と、思ったら、その通りだしさ。とほほほ。
 デフォー、どうなんですか。それ、自分のキャリア的にどうなんですか。(でも、そういう役ほど嬉々として演ってたりするのが、好き)

 かわいくないと評判だったヒロイン、キルスティン・ダンストも、意外にナイスだった。
 隣のおねえちゃん的な親しみやすい色気がいい感じだ。特に襟ぐりの深い私服。そこから見えるばいんばいんな胸!
 わかってるねぇ、お姉ちゃん。自分の魅力を。(たぶん、最初の方で出てくるジャイアンみたいな彼氏も、次の彼ハリーも、あの胸にだまくらかされたと考えられ)

 SFXも爽快感があるし、あとはもうちょっと上映時間さえ短ければ……。

『スパイダーマン』Spider-Man(2002年、アメリカ)121分
監督:サム・ライミ、製作総指揮:アヴィ・アラッド、スタン・リー、製作:イアン・ブライス、ローラ・ジスキン、脚本:デビッド・コープ、原作 スタン・リー、スティーブ・ディトゥコ、撮影:ドン・バージェス、美術:ニール・スピサック、音楽:ダニー・エルフマン、衣装:ジェームズ・エイクソン、特撮:レイ・マッキンタイアJr.、ジョン・フレーザー
CAST:トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、クリフ・ロバートソン、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ、ランディ・ポッフォ、ジョー・マンガニエロ、テッド・ライミ、ブルース・キャンベル、スタン・リー


2004/11/17

 うちの妹の職場には今、ASHIM○がいる。(H○NDAじゃないよ)

 先日、実家に帰ったら母が言っていた。
「今週、○○(妹の名)朝早くて大変だったんだよ〜。ASHIM○を起こす係でね。ASHIM○、起きたばっかりだと寝ぼけて変なことを言うんだって」

 そうか。
 さすがH○NDAの技術力をあげて開発された二本足歩行ロボットだ。
 そこまで人間に近いのか、すげえやASHIM○!
「ウーン、アト5分」(カタカナで表記してロボットらしさを演出してみました)
とか、
「モウ食ベラレナイヨ……ムニャムニャ」(カタカナで以下略)
とか、言ったりすんのか? もしかして!

 妹に聞いてみた。
「ああ、起動させたばかりだと言語認識能力がシャープじゃなくって、『お名前は?』って聞いてるのに『おはようございます』って答えたりするんだよ」。
 なんだ。
 真実って結構つまんないもんだよな。

 さて、疲れたり、夢を見たりするロボットが出てくるのが『PLUTO』(浦沢直樹/小学館ビッグコミック)。
 手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードである「地上最大のロボット」を『MONSTER』の浦沢直樹がリメイクしている。

 この本、店頭ではお試しバージョンが置いてあって最初の100Pほどを読めるのだが、最終ページで「この後、アトム登場!」と煽って終わる。
 うまい。
 でも、ずるい。
 これを読んで買った人は絶対にちゃぶ台をひっくり返すに違いない。だって、それからさらに200Pは読まないとアトムは出てこないんだもの。
 最後の最後に1コマだけ顔が見えるんだもの(笑)。

 浦沢直樹は他に連載を持っているので、たぶん、次の巻が出るのはしばらく先。
 やっぱ、ずるい。
 あんなところで終わったら、楽しみで仕方ないじゃん。
 特に作品はミステリ仕立てになっているので、1年も待たされたら悶々として悶え死にするかもしれない。
 手塚治虫の「地上最大のロボット」が収録されている豪華版を買うべきか……。うーん。

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2004/11/15

 日曜日の夜、調子悪くて実家から帰れず。(いや、帰ろうと思えば帰れたんだけど、前回無理して散々だったのでおとなしく寝てました)
 起きても調子がイマイチだったので、思い切ってグリーン車利用。
 グリーン料金、1,200円ナリ。
 ハードカバーが1冊買える。我ながら贅沢だわ。

 会社でドアの暗証番号用に
「5桁の番号出して」
と、言われる。
 定期的に変えるので、なるべく語呂で覚えられるものを考えるのが大変。
 59224(ゴクツブシ)が会心の作だったのだけど、採用されなかった。(当たり前か)


2004/11/14

 実家への移動用に『女優の条件』(オリヴィア・ゴールドスミス、川副智子訳/角川文庫)上巻を読み始める。
 むむむむ。爽快感もロマンチックもないけど、面白いかも。

 貧しく暴力的な父を持つシャーリーン。
 大女優の母に愛されずに育ったライラ。
 抜群の演技力を持ちながら太ったさえない容貌のメアリ・ジェーン。
 この3人が主人公となって、ハリウッドの様々な人間模様が描かれる。 

 上巻裏表紙のあらすじ紹介の「究極のシンデレラストーリー」はちょっと違うと思うし、下巻裏表紙の「ロマンス長編」もちょいと違う気がする。
 3人の女達を通して描かれるのは生き抜くための苦闘、というか死闘だ。
 読んでいると、しみじみ「生きていくことはなんて大変なんだろう」と思う。

 例えば、メアリ・ジェーンは舞台女優。
 オフ・ブロードウェーの芝居で少し脚光を浴び、作品が運良く映画化されることなったが、映画では役が取れない。太っていて容姿もぱっとしないからだ。
 他の役も取れずに失業保険も来月切れる。演出家の恋人は彼女を捨ててハリウッドに行ってしまった。すべてに絶望して、いよいよ死のうとしたところに、叔母が死んだという知らせがもたらされる。残された遺産で、彼女は全身整形を決意する。
 普通のロマンスなら次のシーンは美しくなったメアリ、なのだろうが、この小説はここからがまたすごい。
 やっとDr.ムーアという良心的な医者とめぐり合って、まず18kg痩せなさいと言われる。
 メアリ・ジェーンは屈辱的な思いでその通り努力するのだが、整形の手術費用とかつかつの生活費しか持ってない彼女が取った手段がすごい。
 歩くのだ。
 1日8時間、マンハッタンをひたすら歩く。雨の日も風の日も歩く。
 お金がないのでコーヒーの一杯さえ飲まず、1人で歩き続ける。

 歩き続けるメアリ・ジェーンの気持ちを考えると、目の前が真っ暗になる。
 メアリ・ジェーンは身寄りもなく、本当に心を許せる友達も(その時点では)いない。
 絶望と孤独を感じながら無機質な街を歩くのはどんな感じだろう。

 2年間の苦しい日々に耐えて、メアリ・ジェーンはついに完璧な美貌を手に入れる。
 傷跡は残ったが、モデル並みのプロポーションも手に入れた。
 36歳のメアリ・ジェーンは、24歳にしか見えない顔と体。元の名前を捨て、名前もジェーン・ムーアに変える。
 TVシリーズの主役に抜擢され、仕事も人気も大金も手に入れて、180度変わった生活で、メアリ・ジェーンが味わうのは満足だったろうか。
 過去の一切合財に決別した結果、そこにあったのは一層深い孤独だったのだ。

 幸せって難しい。
 こういうのが不幸だとはわかるけど、こうしたら幸せというのはわからない。人が幸せになるのはなんて難しいんだろう。
 下巻で3人は幸せになれるのだろうか。

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2004/11/11

 は、馳夫さん!

 前巻でも思ったのだけど、香気溢れるファンタジーの雰囲気を醸し出しているのは訳のせいもあると思う。
 村岡花子さんのアンシリーズのちょっと古めかしい翻訳に、なんともいえない情緒を感じるように(「おばさんが、お作りなさるのよ」という言い回しとか)、この指輪の翻訳もちょっと古い。
 そりゃそうだ。
 奥付を見ると「新版」の初版発行が1971年だもの。
 この時代なんて、ファンタジー自体が今みたいに親しまれていない。それを考えると、ホビット、ドワーフ、エルフと、よくオリジナルのカタカナ表記で行きました。エライ。
 そんなこんなで翻訳者の苦労がしのばれる一作なのだが、今となってはちょっと笑える日本語訳も見られる。

 一番が「馳夫」さん。
 これ、誰だと思いますか?

 正解はアラゴルン。
 『旅の仲間 上2』(「新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上2」J.R.R. トールキン、瀬田貞二訳、田中明子訳/評論社文庫)に至って、ようやっと登場したアラゴルン、ずーっと「馳夫」と呼ばれてる。原文では"STRIDER"。strideの意味は"大またで歩く"だから(make great strideで"飛躍的な進歩を遂げる"。日本語でも「長足の進歩」とか言うもんな)、ガタイのいいお兄ちゃんがすったか歩いているイメージだ。
 これを「馳夫」と訳すなんて、本当に先人の苦労がしのばれる。瀬田訳が今もファンに愛されるのは、ここいらの苦労の結晶だろう。
 ついでにこの本、詩が多い。
 メディアが発達していない中つ国では、娯楽は人力。
 本の中でもやたら誰かが歌っている。

 メインで歌うのは、やっぱり宴会好きのホビット。
 なんだか行数取るし余計……と、思うと、これがちょっと違うんだな。

 はじめて見た時さっぱりわからなかった、「なんでフロドが指輪を持ってるのか」(←致命的)が、ここに来てやっとわかったよ、ママン!
 ホビットという種族は歌うのが好きで食べるのが好きで、だからちょっとずんぐりぷっくりしてて、新しい技術とはあんまり好きじゃない。昔ながらの生活を続けて、しかもそれを何の疑問にも思わない、まあIT時代にいたら真っ先に取り残されそうな種族なわけだ。
 ところが、そんな小人さんの体の中には、がっしりとした勇気が備わっている……とういうのが、ホビットのキモなのだ。
 映画だと「長い間つきあっていても、いまだにホビットには驚かされる」とガンダルフが言うシーンがある。
 これは、そういうことを言ってたんですね。
 無欲で地味だけれど、奥底に強い勇気を秘めたホビットだからこそ指輪が持てたのだ。

 うわー、やっと『指輪物語』の主役がフロドなわけがわかったよ!

 ちなみに、映画でそこいらがわかりにくいのは字幕のせいもあったらしい。なーんだ、私が変則的な見方をしたせいじゃなかったんだ。(いいえ、そのせいです)
 その辺の詳しいことは、ミドルアースの管理鷲さんがクチバシと爪でぽちぽちキーボードを押して作ってくれているHP・
ミドルアースの風をどうぞ。

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2004/11/10

 (前日の続き)それで、ストーリーにわからないことだらけの私は『指輪物語』(「新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1」J.R.R. トールキン、瀬田貞二訳、田中明子訳/評論社文庫) を読んでみることにした。

 いくつか映画とずいぶん違っていることが。
 まず、原作、「です・ます」調です。香気溢れる本格ファンタジーです。
 それはともかく、映画だと、ビルボの後にすぐ旅立ったかに見えたフロドが、実 はホビット庄に17年もいたことが驚き。(フロドは中年になってから旅立つの だ)
 そうか、ビルボが再登場して「いやに老けたな、おっさん」と思ったのは、この 17年という歳月のせいもあったんだ。
 あとは、サム、メリー、ピピンのホビット達のキャラクター。
 サムはともかく、メリーとピピンは映画を見てると困ったちゃんなのだが、原作 ではかなり男気に溢れた人達(人じゃないけど)になっている。トールキンはホ ビットという種族自体が、地味だが頼りがいのある地の塩のようなものたちとして 描いているのだ。

 まあ、この巻では、それくらいかな。
 何しろ、この「旅の仲間上1」は、映画でいうと始まってから15分くらいのとこ ろまで。
 さあ、がんばって2巻に進もう。  なにしろ映画の分だけで4冊あるんだもんな。

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2004/11/9

 実は私、『ロード・オブ・ザ・リング』をTVで4回見ている。
 1回目地上波で、2回目からはCATVで。
 1回目は放映開始から1時間半くらいして気がついて、後半のみ鑑賞。(でも、そこからさらに1時間半やるのだ)
 2回目は、実家に帰ってTVをつけたら、たまたまやっていた。たまたまやっていたくらいなので、すでに放映は中盤。前回見始めたあたりと変わらないじゃんか。(とか、言いながらも見る)
 翌日、TVをつけたら、またリピート放送がやっていた。今度はラッキィなことにこれから始まるところ。
 これで、やっとよくわからなかった「なんでちびっちゃい人と大きい人がいるのか」、「なんでみんなが指輪を欲しがるくせに捨てようとするのか」がわかる!(←すごく低いこころざし)
 期待を込めて視聴開始。
 しかし、その日の私は約束があった。ガッシュの映画を見に行くのだ。(約束ってそれかよ!)
 だめだ、もうタイムリミットだ。
 視聴開始から約1時間で無念の中断。
 これまでの3回のチャレンジで、未だコンプリに至らず。(でも、なんでおおきい人とちいさい人がいるのかわかった)

 そんな私に次のチャンスが訪れる。(ドキュメンタリー風にお届けしております)
 毎週末、結婚式やら仕事やらが続いていた後、久しぶりのNO予定の休日。
 また、CATVがリピート放送してくれたのだ。
 さすがに4回目だ。今度こそコンプリしたい。
 意欲もあらたにソファにがっしりと陣取り、鑑賞。鑑賞、鑑賞。
 ……あ、あれ、なんか眠たい……。
 だめだ、眠っちゃ。やっと、前回見たあたりまで来たんだぞ!
 気持ちはそう思うのに体は正直、いつのまにかスコーンと意識が途切れた。(エルロンドが登場したあたり)
 起きたらギムリが慟哭の真っ最中。

 つ、次こそは


2004/11/8

THE STEPFORD WIVES  これから公開になるらしいので、参考になればの映画感想。『ステップフォード・ワイフ』。

 才能あるTV局長のジョアンナ(ニコール・キッドマン)は、ある失敗が元でクビになり神経衰弱になってしまう。副局長であった夫・ウォルター(マシュー・プロデリック)は自分も仕事を辞め、心機一転、やりなおそうと美しい郊外の町、ステップフォードに子供たち2人と引っ越すことにした。
 しかし、ステップフォードには何か違和感があった。
 この町に住む女達は、あまりに「妻」として完璧すぎるのだった……。

というストーリーの、えー、カテゴリ分けするならコメディかなあ。

 『コールドマウンテン』、『白いカラス』と文芸大作が続いた後に、ニコールがこういう作品を選ぶとは思わなかった。いい意味で肩透かし。
 ニコール・キッドマンにコメディエンヌの素質はないと思っていたので、ちょっと見直しました。

 ただ、この映画、あんまり期待していくと期待はずれかもしれない。
 何がイカンといって、キャスティングがいけない。グレンクローズの配役って、なんかそれだけで怪しそうじゃない!?(笑) 
 気楽に仕事帰りに見るのには好適作品。
 笑えるところもあるし、ジョアンナがウォルターへの愛情を語るシーンはジンと来るし、後はやっぱり、60年代の装いをこらしたファッションかなあ。
 物語の中でも「キャリアにしか興味のない冷血女は黒ばかり着る」みたいに風刺されていて、対して妻達の服はデコレーション過剰でカラフルで楽しい。(昔のバービーを見る楽しみでしょうね、これ)

 なお、今回、これを書くために検索していて、この映画がリメイクなのを初めて知った。
 原作はアイラ・レヴァイン。
 げげっ、巨匠じゃないの。映画化されたものだけでも、『死の接吻』、『ローズマリーの赤ちゃん』など。
 前作はキャサリン・ロス主演で1975年に映画化。
 TVムービーや、パロディ作品もその後映像化されるなど、この当時はかなり話題になったらしい。
 たぶん、70年代には、この物語のテーマが、もっとエッジだったんだろう。

 まあ、難しく考えないでもバービースタイルのニコール・キッドマンを見に行くと考えればOK。
 他キャストはベット・ミドラーや、クリストファー・ウォーケンなど。やっぱり豪華。個人的には、ヴィゴ・モーテンセンのカメオ出演(で、いいのか?)に大ウケ。

『ステップフォード・ワイフ』THE STEPFORD WIVES(2004年、アメリカ)
監督:フランク・オズ、製作:ドナルド・デ・ライン、ガブリエル・グルンフェルド、スコット・ルーディン、エドガー・J・シェリック、原作:アイラ・レヴィン『ステップフォードの妻たち』(ハヤカワ文庫刊)、脚本: ポール・ラドニック、撮影: ロブ・ハーン、音楽: デヴィッド・アーノルド
CAST:ニコール・キッドマン、ベット・ミドラー、マシュー・ブロデリック、クリストファー・ウォーケン、フェイス・ヒル、グレン・クローズ、ロジャー・バート、ジョン・ロヴィッツ


2004/11/6

修羅の刻  引いた風邪が2週間も抜けない。
 家でゴロゴロしながら、撮っておいたまま3ヶ月くらい放置していた『修羅の刻』をまとめ見。

 ……。
 …………。
 う、うーん。今年、新撰組関連の映像化は多いけど、もしかしたら、幕末の人達を一番カッコよく描いたのは、このアニメかも。

  『修羅の刻』は、たまたま4月くらいにPSXを買ったことがきっかっけで見たアニメ。
 管理人、時代劇好きなのでHDD録画してたのだ。

 伝説である。
 平安の世より無手を以って戦い、不敗の道を歩み続ける、修羅の者たちがいるという。
 ――人はその技を「陸奥圓明流」という。

と、いうのがオープニングナレーションで、大体これで内容がわかってもらえるのではないだろうか。
 詳しくはマンガ原作なのでそちらのあらすじでも読んでもらうとして、歴史の影にひっそりと続いてきた「陸奥圓明流」という拳法の使い手達を歴史の中に描いた物語。

 アニメ『修羅の刻』は原作から3つの時代のエピソードを取り上げて3部作にしている。
 第一部「宮本武蔵編」、第二部「寛永御前試合編」、第三部「風雲幕末編」。
 第二部じゃ最後に十兵衛が陸奥に殺されるし、第三部では沖田総司が陸奥と闘死するという壮大な大法螺で(その前に「陸奥圓明流」という流派自体が大法螺なのだが、そういうツッコミは管理人は嫌いだ(笑))、フィクション好きの血がさわぐったら。
 私は史実に忠実なあまり面白くないなら、いっそ大法螺でかまわん、と、思うんだよね。そういう意味で、最近珍しく、見ていて爽快感のある時代劇でしたよ。

 ところで、第三部の「風雲幕末編」。
 ラストの見せ場は、宮本武蔵以来最大の鬼・土方歳三と陸奥出海(いづも)の一騎打ち。
 ……なのだが、なんだか私にとって第三部の主役は、土方でもなく、沖田でもなく、本来の主役であるはずの出海でさえない。
 アニメは、中盤、「出海ってもしかしてヤムチャか……?」と思うくらい坂本竜馬の存在が大きい。(らしい。アニメオリジナルのエピソードが多いそうな)
 しかも、出てくる女が大体竜馬に惚れている。
 まあ、陸奥出海からして竜馬に惚れきっているんだけどさ(笑)。
 なんか、坂本竜馬イカス。(お前もか)
 見せ場の海戦の回を撮り逃してたので、DVD買おうかしら。


2004/11/5

 本日は、入社して初めての上司の卒業パーティ。最近、定年退職を「卒業」というのが流行りで、色々なお知らせが全部「ご卒業」で来るけど、そんなものなのかな。本人もその方が嬉しいのだろうか。
 私の初めての上司は女性で、大変仕事が出来て、とても、とーーーーーっても厳しい人だった。先輩は「何度もビルの屋上から飛び降りちゃおうと思った」と言ってくらい。
 でも、たぶん、私が今でも社会人でやっているのは、その上司のおかげだと思う。今、後輩を叱ったり、怒ったりすることは身に染みて難しいことをわかってる。厳しく育てていただいたことに、心から感謝。まあ、当時は10円ハゲも出来たけどね(笑)。
 ありがとうございました。ご苦労さまでした。(って、こんなところは読んでいないだろうけどさ)

 記念パーティの会場は、幹事の先輩がコネを思いっきり利用して、普段使えないホテルの一室だったりしたので、黒レースのミニスカートに白ジャケットと、ちょっと小綺麗にしていった。
 家を出る時にちょっと悩んだんだけどね。
 ビルをあげての防災訓練だったし。
 しかも、倒れてしまった上司の代わりのフロアー隊長。
 はい。そのカッコで行きました。もちろん、真面目に防災に取り組む私としては、他の参加者(役員含む)に「ヘルメット着用」を厳しく言ってあったので、もちろん自ら白いヘルメット着用です。(当たり前だ、隊長だもの)

「未来を背負って立つ人なんだから防火責任者の資格も取って」 と、言われてるが、なんかなあ。
 期待されても、2、3人背負って、防火扉を壊しながら進むとかは無理ですって(笑)。


2004/11/4

 近所の本屋で『DEATH NOTE』(大場つぐみ/小畑健)4巻を買って帰る。
 この店、前は夜8時閉店だったのに営業時間を延長したんで、結構立ち寄れるようになってしまって困る。遅くまで営業してくれるのは喜ばしいのだけど、何しろ毎日寄ってしまうので、毎日何か買っちゃうのがイカンよなあ。(わしゃ、赤ちょうちんを見ると反射的に入ってしまうオヤジか)

 いや、それはそうとデスノだ。
 個人的には「このミス」にノミネートされてもいいんじゃないかと思う。週間の少年マンガ誌、しかも、あのジャンプにこの作品が載ってること自体が奇蹟だと思えるくらいだ。

 ストーリーは死神のノートを手に入れた少年(4巻では大学生なので青年か)と、その大量殺人を阻止しようとするLという人物の攻防戦。
 「死神」とか、書くと人を殺せる「死神のノート」というアンナチュラルな設定を使いながらも、ご都合主義的な展開はない。
 かなり精度の高いサスペンスだ。
 ある書店では、「コミック最速の1000万部突破!」というPOPが付けられてて、カッコいいなあ、と、思ったものだった。
 マンガは『ヒカルの碁』の小畑健なので画面の美しさはピカイチだけど、やっぱり1,000万部刷らせたのは物語の面白さだろう。
 実はゴリゴリのミステリファンにこそ読ませたい1冊だったり。

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2004/11/3

2999年異性への旅  これはB級だ、B級の匂いがプンプンする……と、私の嗅覚に引っかかったので見てみた『2999年異性への旅』。
 どーです。
 このタイトルからして香ばしいでしょ?
 ストーリーは、文明が進みすぎて、生殖器も退化してしまった地球人そっくりの宇宙人が、地球制服のために子作りしようとするというもの。(一人で子作りして、なんで地球が制服できるのかは私にはわからない。きっと、異星人の考えだからだろう)
 でも、実際の女を知らない宇宙人のたくらみはなかなかうまくいかず……と粗筋からしてバカバカしいが、なんと見てると予想を裏切る豪華キャスト。
 主人公の本星の上司がベン・キングスレー。子供を作るために結婚する地球女性がアネット・ベニング。なんと監督からして『卒業』、『シルクウッド』、『心の旅』のマイク・ニコルズ。
 ……ど、どうしちゃったんだ? みんな!
 と、思ったら、これはプロデュース、脚本、主演のギャリー・シャンドリングがいけないらしい。
 この人は有名なTVコメディアンらしいのだが、おっちゃんの笑い、映画では滑ってるよ!

 でも、さすがにアネット・ベニングはきれい。
 飲酒癖があって男癖も悪い彼女が人生をやりなおそうとして結婚した相手が異星人だった、という、かわいそうなめぐりあわせなのだが、彼女とかかわることで主人公のハロルド(地球名)は生きる力ということについて考えなおすのだ。

 妊娠した時の踊るとことか、夫に異星人と告白され「男運がないのよ!」と泣くところとか、かわいいったら。(たぶん、誰も見ないと思うのでネタバレ放題)
 しかし、この映画のすげえところは
「じゃあ、宇宙人だって証明してみてよ!」
というところに
「鼻から光線が出せる」
と、何の伏線もないセリフを出してきて、なおかつあっさりやってしまうところだろう。
 最後の股間の人口生殖器がウィンウィンうなるシーンもバカっぽい。
 ただ残念なのは、チープ感が足りないところだろうな。

『2999年異性への旅』WHAT PLANET ARE YOU FROM?(2000年、アメリカ)105分
監督:マイク・ニコルズ、製作:ニール・A・マクリス、マイク・ニコルズ、ギャリー・シャンドリング、製作総指揮:バーニー・ブリルスタイン、ブラッド・グレイ、脚本:ギャリー・シャンドリング、マイケル・リーソン、エド・ソロモン、ピーター・トラン、原案:ギャリー・シャンドリング、マイケル・リーソン、撮影:マイケル・バルハウス、音楽:カーター・バーウェル、特殊効果:アラン・E・ロリマー
CAST:ギャリー・シャンドリング(ハロルド・アンダーソン)、アネット・ベニング(スーザン)、ベン・キングスレー(グレイドン)、グレッグ・キニア(ペリー・ゴードン)、ジョン・グッドマン(ローランド・ジョーンズ)、ジュディ・グリア(レベッカ)


2004/11/1

デビルマン  そろそろ見てる人もいなさそうなので、こっそり更新。

 昨日、風邪でフラフラながらも、チケットがもったいないので『デビルマン』を見る。

 ……。
 …………。
 
亀戸サンストリート(JR総武線亀戸駅東口より徒歩1分)がえらいことに!

 今日になって映画評を検索してみたら、多くの人が、

 学校と牧村家とショッピングモールくらいしか出てこなくてスケール感がない

と言っていた。
 しかし、ここで土地勘を生かしてちょっと考えてみよう。(私が)
 サンモールの近くには、確か高校があった。バイク通学の映像が解せないが、思いっきり想像力を働かせて湾岸を遠回りして行ったことにすれば、牧村家は近所という推理だって成り立つ。
 と、いうことは、3つは全てが江東区にあると考えてみるのはどうだろう。

 港区、世田谷区、渋谷区、中央区あたりから比べると、幾分影の薄いところのある江東区。
 港区の億ションにお住まいの東京都民からしたら同じ23区内という意識さえないかもしれない。
 ただえさえ、最近の江東区は高層マンションの乱立で、都の教育費、福祉費などを圧迫しているという風当たりも強い。都議会では江東区不要論が巻き起こり、議会に東京都22区提案の議題が提出され、反発した江東区は正式に東京都のみならず日本から独立、その後鎖国状態となる……って、ウソです。
 でも、まあ、壊滅したの江東区だけなんじゃ……くらいのスケール感だったのは本当(笑)。

 えー、なんでデビルマンネタで日記を復活させたかというと

 「ダメなら観に行かない。まったく今の日本映画はこれだからダメなんだ!」
と思うなら、それは間違いだ。
 この惨劇のような映画を身銭切って観にいって、初めて激怒する権利を得ることができるのだから。がんばって観てくれ。
(映画秘宝2004年11月号)

と、いう文章を見たせいでもあります。
 大丈夫。私はちゃんと身銭を切ったぞ!(笑)
 しかも、なんか、ふと日記を書きたくなったし、人から批判を受けるのがそんなに恐くなくなったような……。

 この映画にひとつだけ私の希望を言うなら、

 脚本は辻真先氏に。

ですかね。(やっぱり、オチはそこか)

『デビルマン』(2004年、日本)116分
監督:那須博之、脚本:那須真知子、製作総指揮:泊懋、原作:永井豪
CAST:伊崎央登、伊崎右典、酒井彩名、渋谷飛鳥、宇崎竜童、阿木燿子



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