店主の読書日記 DEC2004

2004/12/31

 さて、大晦日です。
 今年は自然災害の多い年でした。
 台風、地震、そしてスマトラ沖大津波。
 被災された方に心からお見舞い申し上げます。また、津波でまだ安否のわからない方のご無事を心よりお祈りします。

 実は私、HPお休み中に異動しました。
 緊急呼び出しのない(だろう)年末年始は久々ぶりです。(いつも年末に緊急連絡網を更新するのがお約束だったので、なんだか年末の気がしませんでした(笑))
 でも、私がのんびりしてる間にも、現地と連絡を取ったり、それこそ年末年始が吹っ飛んでもがんばって働いている方達にエールを送ります。

 そして来年は、いい年になりますよう……。


2004/12/24

 『楽園の魔女たち――楽園の食卓』(樹川さとみ/集英社コバルト文庫)後編。

 樹川さとみという作家はかなり珍しいタイプの作家だと思うのだけど、一番の活動場所がコバルトであるせいか、そんな注目されていない。
 この人のすごいところは、楽園の魔女なら4人の女の子を文字だけで書き分けて、「○○が言った」などと書かずに会話文を読んでいるだけで誰だかわかってしまうところ。
 これって当たり前のようで難しいことだと思うんだけど、どうだろう?

 さて、物語はいよいよグランドフィナーレ。
 今までにない深刻な事態で心配だったけど、きれいな着地点でした。

 どこかで軽やかに歩いているだろう4人のお嬢さんたちにエール。

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2004/12/23

 『楽園の魔女たち――楽園の食卓』(樹川さとみ/集英社コバルト文庫)中編読了。
 あと1冊で終わりませんでした。
 ……なーんて、知ってたんだけどさ(笑)。前後編イッキに読もうと思って待ってたから。

 私のお気に入りは『楽園の魔女たち――7日間だけの恋人』に出てきたフレイ。
 海軍の軍人さんで、腰に来るバリトンのいい男。人生2倍楽しめる両刀さんです。
 『7日間…』で色々な出来事がありまして、彼は楽園の魔女たちの1人ファリス(剣と馬の扱いでかなうものなし、外見はどう見ても美青年)が好きになります。
 彼は毎回厚さが15cm以下にはならない素敵なラブレターをせっせと送りつづけて来たのですが(『7日間…』が3作目なので15冊経過する間、せっせと書いてきたわけですね。マメなお人や)、国宝級のにぶさを持ち、しかもフレイが男色家だと信じているファリスはその気持ちに気がつかない。
 19冊目にしてフレイはとうとう勝負をつけにやってくるのですが……なにしろ、相手が相手です。その攻防戦はエイリアンVSプレデターも真っ青でドキドキハラハラ目が離せません。
 しかも、状況が状況だけに「ここぞ!」というタイミングで邪魔が入ってばかり。

 フレイ、がんばれ!

 ふたりのデートに臨席したギャラリーの方々は固唾を飲んで見守っています。私も握りこぶしです。
 もう二人の行く末が心配で、心配で。
 物語は戦争がはじまりそうで、敵味方に分かれた魔女たちが苦悩してるのに(笑)。

 でも、きっと信ぢてる。

 終わりはきっと大団円。

 と、いうことで次巻は本当にラストです。

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2004/12/22

 『楽園の魔女たち――楽園の食卓』(樹川さとみ/集英社コバルト文庫)前編読了。
 長いこと続いたシリーズも、あと1冊で終わりだそうで、完結するのが嬉しいような寂しいような。
 第一作の『楽園の魔女たち――賢者からの手紙』の発行が1996年。実に8年にわたる長期シリーズだったんですね。
 物語が収束しはじめた前編では、今までの伏線大回収開始、と、いった感じで、今まで出てきたキャラが色々再登場する。既刊は、ほぼオンタイムで読んでいたので、私はいい具合に忘れてた。家にあるから読み直せばいいんだけど18冊だし(笑)。

 あらためて内容紹介など。

 ヨンヴィル国の片田舎に楽園と呼ばれる塔があり、魔術師が住んでいた。
 彼の名前はエイザード、永遠の21歳。
 魔術師協会の「弟子を取れ」という指示に、いやいやながら従ったエイザードの呼びかけに4人の少女が集まった。それぞれ、やむにやまれぬ事情をかかえて。
 生まれも育ちも性格も違うと4人の少女と1人のお師匠さま、まわりを取り巻く人々が巻き起こすハートフルコメディ。

 まあ、18冊もあると一口には説明しにくいのですが、かなり乱暴にまとめてみました。
 そんなに当たりハズレもなく、毎回笑かしてもらったなあ。
 でも、今回はかなりシリアス気味。上巻、かなり引きで終わってます。

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2004/12/21

 『ダヴィンチ・コード』にあやかり帯のついている『フランチェスコの暗号』(イアン・コールドウェル、ダスティン・トマスン、柿沼瑛子訳/新潮社文庫)。
 裏表紙の内容紹介に「時空を超えた驚愕の暗号解読ミステリー」と書いてあるが、鵜呑みにして読み始めないように。
 上巻を読了した限りでは青春小説です。
 ようやっと事件が起こるのは上巻の最後の方。
 ただ、それでも上巻を楽しく読んでしまったのは、プリンストンの大学生活の描写の面白さによる。
 古い歴史のアイヴィーリーグだけあって独自のへんてこな風習があるし(初雪の日に中庭を素っ裸で走る催しとか)、それを楽しむ学生達の姿が楽しい。前半の面白さは、ほぼプリンストンでの寮生活を体験ができるにつきるくらいだ。

 さて、下巻はもっとミステリっぽくなるかどうか。
 物語はヒュプネトロマキア(Hypnerotomachia Poliphili)という500年前の謎めいた古文書を巡って繰り広げられる。(この作者の名前がフランチェスコ)
 前半に登場する男達は、このあまり知られていない本に取り付かれている。
 この男達の運命がどう変わっていくのか、後半が楽しみ。

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2004/12/20

 既に師匠と呼んでもいいんじゃないかというお二人、アガワ&ダンフミの『太ったんでないのッ!?』(檀ふみ、阿川佐和子/世界文化社)。
 だんだん、自分をさらして皆さまを楽しませるというか、笑いを取るためなら手段を選ばないというか、そういうスピード感が増している気がする。アガワはともかくとして、ダンフミの女優生命は本当に大丈夫なのだろうか。
 今回の本は雑誌「Delicious」に連載されたエッセイをまとめたもの。
 雑誌が雑誌なので食について語っている。
 食……人間の三大欲望のひとつ。
 食……すべての欲望から開放されたかに見えても、人間を放さない欲望。

 はい。これからもアガワ&ダンフミが大好きです。
 TOPに「師匠と呼び隊」バナーでも貼っとこうか(笑)。

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2004/12/19

 ちゃんと下巻も読みました。『ダヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン、越前敏弥訳/角川書店)。
 ……。
 …………なんだかとっても普通に終わった……かな?
 ダヴィンチが好きなので、結構期待しすぎたのかも。
 でも、最後のオチは割と好き。
 あの宝の隠し場所は私も行ったことがありますね、はい。

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2004/12/18

 お、そういや、もう12月も残りの方が少ないではないか。

 とりあえず、これからの日記は休止中に読んだものも書いておこう。放っておくと忘れちゃうし。既にだいぶ忘れてるけど(笑)、覚えてる範囲で。

 と、いうわかで『迷宮の暗殺者』(デイヴィッド・アンブローズ、鎌田三平訳/ヴィレッジブックス)。
 すごいどんでん返しが中盤に来て、これをどうひっくり返すのだろうと思ったら、別にひっくり返らなかった。しかし、中盤のどんでん返しがかなりものすごいので、まあ、これでいいか、と、変に納得してしまうという。

 高度な訓練と天賦の才によって、超人的な反射神経と体力とを身につけたチャーリー・モンク。秘密機関に所属する彼は、どれほど困難な極秘任務であろうと完璧に遂行した。彼が、折に触れて思い出すのは生き別れになったキャシーのこと。ある日、彼の前にそのキャシーが姿を現わした。チャーリーは、思わず彼女に話しかけた。それが恐るべき悪夢の迷宮の扉を開くことになるとは露ほども知らずに…。トリッキーなストーリー・テリングで知られた鬼才が放つジェットコースター・サスペンス。

 個人的には、『ダヴィンチ・コード』より面白かった。
 アンブローズという人は、へんてこなものを書く才能がとってもある人だ。
 こっちが面白いということで、自分のへんてこさ加減を表明しているような気もするけど、まあいいや(笑)。

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2004/12/17

 お、オリコンTOP10に「ロイ・マスタング」の名前が!
 福山政治もEXILEも、マツケンサンバさえ抜いてのランクインですぜ! すごいや、大佐。
 今、ベストテンがあれば、
「中央司令部に中継が繋がってます。セントラルのマスタングさーん」
「こんばんは、黒柳さん」
なんていう光景も夢じゃないってことですね。(夢です)


2004/12/16

 毎年、割と反響があるので(なぜか)、会社のクリスマスパーティのレポートなど。

 今年、異動と共にレク委員の副幹事になった私。
 具体的に何をするかというと、予算内で企画立てたり会議したり、今回みたなパーティならメニューの検討なんかも仕事のうちである。
 まあ、その他もろもろ、雑用なんかも多い。

 今年も某ベイサイドのホテルを会場に開かれることになった。と、いうか1年前から押さえないと、この時期の宴会場は取れないらしい。去年から予約してあったんだもん。どこかから予算の件でツッコまれても変えられないのさ。(どこにイイワケしとる)

 毎年おなじみのプログラム、新人の芸。
 今年は新人ちゃん(と、書いてかわいこちゃんズと読む)のミニスカ度がイマイチだった。かわりにDくん(♂)がどんどん脱いでいき、「けっ、ヤローの裸の何が面白いんだよ」と内心思っていたが、海パンいっちょになって現れたのは、見事な胸筋と6つに割れた腹筋。さすがラガーマンだ。
 と、いうことはOくんとかIくんも脱いだらすごいのか?
 あんまり同僚のぱんついっちょとか見ないしなあ。(それが普通です)

 最後はマツケンサンバでフィナーレ。
 なんか、不況の時にはこういうパーっとした方がいいね、と、しみじみした思いで帰ってきたのであった。


2004/12/15

「あー、上巻だけ読んだ」
と、J氏に言ったら、
「えっ、読み始めたら止まらないんじゃないの?」
と、驚かれた本、『ダヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン、越前敏弥訳/角川書店)。

 最近、やっと下巻に突入して、理由がわかった。
 下巻の最初の方に種本のネタばらしがあるのだが、そこに出たのが『レンヌ=ル=シャトーの謎――イエスの血脈と聖杯伝説』。
 それ、読んだことあるよ!(同じ著者の第3弾、『
隠された聖地』だけど)
 そっか、だからか。
 見返しに「全世界驚愕の事実」と書いてあるのに、いくら読んでも「さっぱりびっくりしねーなー」と思ったのは。
 でも、ノンストップ・アドベンチャーじゃないけど普通に面白いよ。(ゴリゴリのミステリファンには食い足りない感があるとは思うけど)

 この本のおかげでレオナルド・ダ・ヴィンチ関連の書籍のコーナーが書店に出来たりしたので、レオナルド・ダ・ヴィンチのファンとしては嬉しいっす。

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2004/12/8

 『ハウルの動く城』見てきました。
 いい加減遅い時間から上映する回だったのに、シネコンの少ない席数とはいえ、ほぼ満席。(だいたい18歳未満入場不可だし)
 チケットを買う時も
「こちらの端か、こちらの端か、こちらの端のお席ですね」
と、お姉さんが申し訳なさそうにいうし。
「……あとは、かなり前の方の真ん中ですね……」
 そんなわけで、ほぼ一番前で鑑賞しました。
 最前、正解。
 どこより楽しいテーマパークの乗り物に乗っている感覚だった。戦闘機も飛ぶ怪物ハウルも、この浮遊感のためだけに出てきたといってもいいほどの飛ぶ楽しさ。
 このものすごく生理的快感のためだけに入場料を払ってもいい感じがする。久しぶりにお金を払った分だけ満喫したよ。(って、『デビルマン』と比べたら、宮崎駿が泣くかもな)

 この映画の原作本は未読だが、他のダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品は読んだことがある。たぶん、映画と原作では作品の味が大幅に違うんじゃないだろうか。
 映画は宮崎駿のオレ的ファンタジーに、イギリスではないヨーロッパ映画のエッセンスをぶちこんだ作品だと私は思う。
 今年はわたしにおけるヨーロッパ映画年だったので(ちなみに昨年はファンタジー強化年間)かなり意識して見たが、ヨーロッパ映画ってそんなに観客に親切じゃないのだ。逆にいえば、大部分のハリウッド作品のように観客を無知な一般大衆として諭すのでなく、映画を見る心の余裕がある人達と遇してくれているような。

 まあ、要はすべての人が絶賛しなくても、そっちの方が当たり前だと思ってるということで。


2004/12/7

 詩人の萩原朔太郎は、実はは数々の事件を解決した名探偵でもあった、という作品『月に吠えろ!――萩原朔太郎の事件簿』(鯨統一郎/徳間ノベルズ)

 ちなみに、室生犀星がワトソン。
 他にも、北原白秋や山村暮鳥などが登場する。

 しかし、この作品に出てくる萩原朔太郎ってヘン。
 肝心なところで、いきなりマンドリンを鳴らしながら物かげから現れる。あなたは怪傑ズバットですか。(……って、例えが古すぎる上にマニアックだ) もとい、桃太郎侍ですか。(これも古いけど、まあいいや)
 白秋を「ボス」と呼び、山村暮鳥を「山さん」と呼ぶ。
 もう、歴史上の人を探偵役にしたミステリとか思っちゃいけないんだろうなあ。

 連作短編集なので軽い感じで読むにはいいかも。
 でも、萩原朔太郎ファンは読まない方がいいかも(笑)。

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2004/12/6

「うわー、切ないなあ」
と、ちょっと泣きそうになったのが『アニメがお仕事!』(石田敦子/少年画報社YKコミックス)1巻。
 
 アニメ製作会社に就職した二太と、それを追ってきて同じ会社に就職してしまったイチ乃。かけだしアニメーターの双子の物語。

 位置的には業界もので、アニメの製作過程や役割分担などが割と丁寧に説明される。
 作者は元アニメーター。あまり自分の話と思われないように主人公を双子に設定したと書いていたが、現場での体験は、もちろん作品に反映されているはず。
 貧乏なかけだしアニメーターとして、苦労するイチ乃がかわいい。(双子の出身は尾道なので、広島弁を使うあたりが、またキュート)

 どの業界でもそうだが、その仕事なりスポーツを一番愛している人が必ずしも才能があるわけではないのがツラいところ。
 特に、自分がどれだけ実力がなくて、他人がどれだけ実力があるかというのがわかる程度の才能って、ホントにツラい。
 思わず自分のことを振り返り、胸がキリキリと痛む。
 そうなんだよ、下手くそなんだよ。
 そして、そんなこと悩むのもおこがましいほどの存在なんだって、そんなことはわかってる。でも、確実に胸は痛んで仕方ない。

 がんばれ、イチ乃。
 好きなことを仕事にするのは切ないことも多いと思うけど、それを超えて嬉しいこととか楽しいことがあるっていうのを見るの、楽しみにしてます。

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2004/12/1

 えー、私はおっちゃんなので、ポータルサイトは日経なのだが、割と変な切り口で記事が読めるのが面白い。

 一般誌では、なーんも話題になっていなかった、USJの新アトラクション。
 家族客の集客に弱いUSJは、顧客層の拡大にはハリウッド映画にこだわらないアトラクションの導入が不可欠と判断して、日本のアニメーションの起用に踏み切ったそうだ。
 2005年3月上旬に登場するアトラクションは……「鋼の錬金術師」。

 ……。
 …………。
 ……えっとー、そりゃー人気アニメだし、私もファンですが、家族客が集客できるアニメっちゅーのとは違うかなーと。

 しかも、記事のシメが

 「鋼の錬金術師」はTBS系列で今年10月までの1年間放送したファンタジーアニメ。

 ……確かに、間違っちゃあいない。
 間違っちゃいないが、この記事を読んで、何も知らないお父さんが「そうかー、USJが初めて導入に踏み切るってことは、人気があるんだなー」とか思って、DVDとか買って帰って(お父さんは、『ファインディング・ニモ』とか『トイ・ストーリー』を思い浮かべている)、子供と一緒に見たら、最初のシーンが「持っていかれた!」ですよ。子供が足を引きちぎられて血だらけっすよ。
 子供は泣き出し、奥さんは教育に悪いものを大威張りで買ってきたんでヒステリックにわめきちらし、ご家庭は大変な騒ぎに……とか、想像しちゃったさ。

 いや、やっぱり家族連れは集客できんだろう。
 お母さんが腐女子なら別だが。(案外ありそうだね……)



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