98年 「最近の言葉」大賞の発表


今年一年いろんな事がありました。いろんな言葉がありました。

本年もお付き合い願いましてありがとうございました

来年がもっといい年でありますように

最近の言葉 HOMEへ

今年集めた言葉です。<平均して毎週6個の言葉、うち♀が1個、コメント1個>となりました

Total ♂の言葉 ♀の言葉 Kのコメント
一月 16 14 2 1
二月 32 27 5 2
三月 24 17 7 2
四月 21 16 5 4
五月 23 22 1 4
六月 20 16 4 5
七月 27 26 1 1
八月 29 21 7 3
九月 26 20 5 7
十月 25 25 0 8
十一月 42 37 5 9
十二月 35 28 7 6
九十八年 320 271 49 52

◆◆ 今年一年を言葉で振り返ってみましょう ◆◆

金大中(キム・デジュン)大統領(72)

「精神革命を行い、正しく生きた人が成功し、そうでなかったら失敗する」
時期 : 2月
2月25日韓国の大統領に就任した金大中さんの言葉。「そういう社会を実現しなければならない。疎外された人々の涙をふいてあげ、ため息をつく人に勇気を奮い立たせる大統領になる」と続けた。10月には来日し「奇跡は、奇跡的に訪れるものではありません」との名言を。「『天皇』という呼称の使用と日本の大衆文化の解禁も大統領の決断だ」とは特別随行員として来日した崔相龍(チェ・サンヨン)高麗大学政治学科教授の言葉。
「日韓はホームランだった」と高村正彦外相(56)は自画自賛!?

長野オリンピック

「うれしい。うれしい。つらかったんだ…。条件さえそろえば、飛べると思っていたのに。一回目を終わったとき。またかと思った。つらかった。二回目も、またみんなに迷惑をかけるんじゃないかと」
時期 : 2月
スキー・ジャンプ団体を逆転で制した原田雅彦選手(29)の言葉。「悔しいが、天気予報がよく当たる」と小林実NAOC事務総長が嘆く悪天候だったが数々のドラマを繰り広げた。「男たちが泣いている。部屋にいたら、自分も泣き出してしまいそうで…」は日本アイスホッケーのキング・ゼネラルマネージャー。男子13-14位決定戦にのぞんだ日本チームは格上のオーストリアに延長のあと、ペナルティーシュート戦を3-2で制し18年ぶりの五輪出場で、22年ぶりに勝利を挙げた。これも一つの「君たちの金メダルを争う試合だ」。金が至上命題のカナダ・カーリングチーム「これが僕たちの流儀なんだ」と仕事中心の生活を変えない姿勢に批判も浴びた、結果は惜しくもは銀メダル。それでも指令塔スキップを努める、マイク・ハリス選手(30)は「だいじょうぶだ。私は自分の顔を鏡で見ることができる」

核実験

「しかし、私としては我が国が広島や長崎を経験することのないようにしたい。被爆当時にもし日本が核を持っていたら、あのようなことがあっただろうか」
時期 : 5月
インドに対抗して核実験を強行したパキスタンのナワズ・シャリフ首相の言葉。「- ある晩、私は衝撃でふと、目を覚ました。まぶたを開いたまま思いめぐらせた。核兵器を発明した科学者は、広島、長崎の大量虐殺を知って、その晩眠れたのであろうか?科学者は自らの手で作ったものが良くないものだったと、一瞬なりとも、感じたのであろうか。もし、そう感じたのであれば、時の流れは彼らを許すだろう。そうでなければ、歴史は彼らを決して許すまい -。」は先に核実験を強行したインドのバジパイ首相が三年前に出版した詩集にある「ヒロシマ・キ・ピーダ(広島の疼痛)」の言葉。君子は豹変する、のか。「核保有国という報賞を与えれば、他国に核実験の連鎖反応を招く」とインダーファースト米国務次官補。皆さんに愚か者大賞を差し上げたいものだ。「反核の思いを抱くことが反ヒンズーで反国家になるのなら、私はヒンズーであることも国民であることもやめる」英国の代表的文学賞「ブッカー賞」受賞作家、アルンダティ・ロイさん(38)。このギャップに目眩を覚える

W杯

「僕を信じて応援してくれた人たちのためにも、僕はどうしても輝きたい」
時期 : 6月
決勝進出がたたれ、ジャマイカとの最終戦を前にW杯日本代表FW・城章二(23)。「フィールドに立ちたくても立てなかった選手がいる。何かをつかみたかった。一点が、その何かなのかは今は分からない」フランスW杯で唯一の得点を挙げた中山雅史選手。全敗に終わって「試合を見ていて、怒りがこみあげてきた。本当に…。日本のサッカー発展を願っている私にとって、二十六日のジャマイカ戦はとても受け入られるものではない」元ドイツ代表リトバルスキー。「自分なりに見つけた課題を今後一つひとつクリアして、今度こそ輝きたい。4年は長いようでも短いです」城章二。
不況に直面大幅なリストラに追い込まれているJリーグ。あの時の熱狂は何だったのだろう

小渕恵三

「冷めたピザのように生気に欠ける」
時期 : 7月
こうニューヨーク・タイムズ紙に評され、「いわく平々凡々、いわく温厚篤実、いわく人柄良好」と自らも認める小渕さんが予想通り首相になった。「『ツー・アーリー、ツー・マッチ』で頑張りたい」との意気込みも「新聞の川柳欄を読んでいると『丸のみが病みつきになる新総理』、『不人気に慣れきっている新総理』。最新作になると『川柳欄では歴代一位の人気者』というのがあって…国民の批判はちょうだいしないといけないが、鈍牛にも血が流れている」と芳しくない評価に顔を曇らせることもあった。しかし「ボキャ貧」もすっかり板につき最近では党内総主流派。「だから私は『並みの凡人じゃない』と言っている。私は変人と言われているが、とてもできないね」と前厚相・小泉純一郎さん(56)に言わせるまでになった。「首相は何もわかっていないんだから…」と衆院金融安定化特別委員会の理事懇談会で自民党理事に揶揄された人と同一人物とは思えない。私が言ったようにこの人、やはり侮りがたしなのである

クリントン大統領(52)

「私はルインスキーさんと適切でない関係を持った。それは間違いだった」
時期 : 8月
「大統領と行ったセックスの形式は、大統領の考えでは、『性的関係』にはならないかもしれない」とクリンスキーさんは証言した。性的関係では無い不適切な関係なのだ。とてもややこしい。やったことはそれほどややこしくはないはずなのだが。「結婚して間もないころは、何百もの関係を持った。でも四十歳を過ぎたころから誠実に生きようと努力している。友達でいよう」といったんは別れ話を持ち出したがそう簡単には別れられなかったようだ。もちろんこの話をしているのは40代も終わりの不誠実に生きていた時。でも「真に悔い改めれば、神の前の罪も許されると教えられた」のでもう大丈夫だと思ったその態度が共和党を刺激しついに弾劾裁判にまで発展してしまった。「血と涙の染みついた土地から撤退するにはパレスチナ人の態度の変化が必要だ、という主張は正しいが、苦しんできたパレスチナ側の気持ちにも正当性はある」とのエルサレムでの演説を聞けば政治家は政治している時だけがまともなのかもしれないと思ったりもするのである

防衛庁背任容疑事件・NEC

「当社と本件(背任容疑事件)とは何らの関係もなく、なぜ当社に捜査が入ったのか理解に苦しんでおります」
時期 : 9月
「二人がなぜ逮捕されなければならないのか、いかなる罪に問われるのか率直に申し上げて理解に苦しんでおります」とNECのコメントは続く。「いやあ、たーくさんあって言い切れないぐらい」防衛庁背任容疑事件で出身者も含め10人もの逮捕者を出しついに辞任を発表した関本忠広・NEC会長(71)の辞任記者会見での言葉。”思い出に残った仕事は?”に答えて。「下に対してすべての責任はあるのだろうか。あるのなら、あらゆることが総理大臣に責任があることになってしまう」とは何ともピエロですなあ。「あえて職にとどまり、責務をまっとうする」とは金子尚志社長(64)。どうしてこういう人がトップになれるのか正直に言って理解に苦しんでいます

横浜ベイスターズ

「弱いだけなら阪神もいる」
時期 : 10月
東京工業大学助教授・上田紀行さん(40)の言う通りでしょう。長かった38年の空白を埋めるように今年爆発した横浜ベイスターズ。マグワイアとソーサのホームラン競争とともに大いに野球ファンを楽しませてくれた。「二十年近く応援したが、初めてのことなので、どうしたらいいかわからない」と横浜市港南区の会社員・高橋洋之さん(54)。「優勝しないと味わえないと言われていたのが、よくわかった。これでやっとプロ野球選手になれた」波留選手。勢い余って日本リーグも制してしまった。「『うれしい』という意味の言葉を全部並べても、この喜びは言い表せない」森山元明さん(41)と言葉もどんどんエスカレート。仕様が無い勝てば官軍です。でも来年はこうはいきませんぞ、覚悟めされ


’98年この一年


◆◆ お待たせしました。今年の大賞の発表です ◆◆

番外賞

「だからカネを出せ」
時期 : 10月
一言 : 前橋市内の信用金庫で「強盗に来た。前回と違うぞ。うまく逃げるから」と騒ぎ立てたものの”何かご用ですか?”と男性職員に尋ねられると腰のポーチから札束30万円を取り出して言ったのがこの一言。去年に続けて嘘のような吉本話。この人捕まってしまったんですが、かわいそうですね。どうして機転を利かせて「預金ありがとうございます」と言ってあげなかったんだろうというのがこの時の私のコメント。酔っていたんですよ、妻子に逃げられたんですよ、むしゃくしゃしていたんですよ。この信用金庫以前にも強盗被害にあっていたんだそうで、まあ、仕様がないんでしょうけど、ねえ

特別賞

「しかし残念ながら民主主義は、無教養と恥知らずを罰することができない」
時期 : 7月
一言 : 漫画の原作や評論もこなす作家・関川夏央さんの言葉。「外国でときおり、(またまた自分は棚上げにしてだが)こういう人には旅券を渡さない方がいいのではないかと思える同胞に出会う」に続いて。群ようこの旅のエッセイに同伴者の一人として登場することも多いのでご存知の方も多いかもしれない。そうです、悲しいことに民主主義は無様も愚かも愚図も愚鈍も、さらに言えば軽薄も浅学も日和見も罰することが出来ないのです。お陰で助かっているのですが

特別大賞

「お金になることを追う。それもええかしらんが、お金にならんことを一生懸命やるのも面白い」
時期 : 2月
一言: 京都綾部市光野町で消防署勤務と「山の職」を両立させている渋谷銑一さんの言葉。中学を出てすぐ杉やヒノキを20町歩植えることを一生の目標と定めた。理想の木に育つのに70年かかる。つまり自分の植えた木の育った姿を見ることなく死ぬ。それもまた面白い、そういう人生を歩く人がいる。言葉も人もなかなかに侮れないのである

第5位

「私はテロリストだ。それを誇りにしている」
時期 : 1月
一言: 1993年2月のニューヨーク・世界貿易センタービル爆破、94年12月のフィリピン航空機爆破事件の犯人のイスラム過激派のラムジ・アメフド・ユゼフ被告(29)の言葉。「テロは(犠牲となった)罪のない人にはつらいことだ。しかしそれは必要だった」と語った。ビル爆破事件で懲役240年、航空機爆破事件で無期懲役が言い渡された。「米国こそ虐殺者、うそつき、偽善者だ」と糾弾する姿からは新しい夜明けは見えてこない気がする。誇りにすべきこととは何なんだろうと考えた

第4位

「大きな声では言えないが、法律は相当骨抜きになった」
時期 : 4月
「政治倫理確立法」をめぐっての自民政治改革本部総会で武部勤さん(57)の言葉。凄いもんだ。何が凄いって、大きな声では言っていないのに新聞にはデカデカと出てしまうしこんなHPには取り上げられてしまうしやっぱり、うわさをばらまくのに「ここだけの話」は効果があるということでしょうか。旧社会党との三党合意を水に流すわけにはいかないが実質的には無いも同然と、考えているのでしょう。政治家の本音というのは笑うしかないほど時に滑稽ではないですか

第3位

「東京大学を出て、官僚になった人が官官接待や汚職などをしているのは学歴社会が悪いのですか。それとも職場が悪いのですか」
時期 : 4月
文部省主催の「一緒に夢を語ろう」で東大卒の町村信孝文相への大村佳代さん(12)の素朴な疑問。素朴な疑問ほど大人にとって質の悪いものはない。それはいつでも物事の核心を突いているからである。議員や官僚が隠しておきたいことは何が、誰が悪いのかということだろうが子供の眼力は鋭く厳しいのである。でも、こんなこと聞いちゃいけませんよ、お嬢さん。さて大臣はなんと答えたのでしょう。いや、聞くまでもありません、どうせ大した答えではありません。代わりに私がお答えしましょう。
「そうですね、もちろん学歴社会が悪いですね。でもこれに代わるシステムが存在しません。ええ、当然組織も悪いですね。こちらの方は官を民に切り替えていくという提案がありますが検討する気がありません。悪しからず」

第2位

「そんなこと聞かないでよ。とうに老後なんだから」
時期 : 4月
1910年生まれの作家・白州正子さんの言葉。本の印税も税金をたっぷり払い、骨董を少し買い、孫にご馳走したら口座は20万しか残っていない。「老後はどうするんですか?」との問いにこう答えた。いいじゃないですか、かわいくて、艶やかで。「えー、やだー。もーオバサンですう」なんてことをおっしゃる若輩者に比べてなんて素敵なんでしょ。きっと記者も思わず知らず「老後は?」と聞いてしまうほど瑞々しい魅力的なかたなんでしょうね。智と美がないとちょっと言えませんね

堂々の大賞です。言葉の重さ、深さ、愛おしさが溢れていると思います

大賞

「どうにも止められないんだ」
時期 : 6月
一言 : 今年話題騒然となったバイアグラ。5月1日に処方箋をもらい3日に能力回復、5日にはバイアグラの瓶とともに姿を消したニューヨーク州の億万長者フランク・ベルナルドさん(70)の書き置き。
何?これが大賞だと。ご不満の方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それでもこれを選ばずにはいられません。愚かで、愚かで、これ以上愚かになりようがないくらい愚かなのは男というものが本質的に愚かだからでしょうか。70歳のおじいさんの止めようもない熱情をこれほど端的に表している言葉を私は知りません。原文ではどういう言葉なのかが分からないのが残念です。I can't stop.では感じが出ません。I neverなのでしょうか、I shouldなのでしょうか、ああ原文を知りたい。そういった意味では見事な翻訳とも言えます。「どうにも」そう、思い出してみればあれは「どうにも」な気持ちだったのです。
蛇足ではありますがベルナルドさんは他の女性とニュージャージで同棲し、以前の恋人に多額の慰謝料を請求されているはずです

最近の言葉 HOMEへ
1