店主の読書日記 MAR2003 タイトルリスト 作家別リスト

2003/3/31

江戸里神楽  実は昨日は里神楽を見に行ったのだけど、見ているうちに仕事でミスしたことに思い当たり、いてもたってもいられなくなって途中退場。
 どっちにしろ月曜まで手の施しようがなかったので、家に帰る。
 ほんの一瞬のミスで、それなのに深刻なミス。もう、ほんと、気がついた時には血の気が引くし、なんでそんなミスをしたのだろうと死んじゃいたくなる。
 家でぐるぐる考えて暗くなっていると、母が
「それ、リオハ(仮名)が自分で負債をかぶるとして、どの程度の損なの?」
と、聞いた。
「…………6万円……くらい?」
 ええ、そう思った瞬間、死ぬのはやめましたってば(笑)。
 でも、月曜日のお休みは返上して、フォローのために出勤。
 なんとかなりました。ああ、よかった〜。
 とりあえず、自戒をこめて日記に書いておこう。ありえるミス、本当に簡単なミスなのだけれど、新人じゃないからには100%を求められしなあ。


2003/3/30

 TVアニメも終わった今さら『ヒカルの碁』を読み始める。
 面白いっす。
 実家に帰る電車に乗る前に2冊買い、バスに乗る前に駅前で1冊買う。そんな感じ(笑)。
 やっぱり、大部数売り上げているものは、ちゃあんと理由があるんだな。

 小さい頃は碁石の感触が好きだった。碁笥に手をつっこんで、丸い石のひんやりした感触を味わうのが楽しかった。落語に碁の話がたくさんあるように、昔の家には年寄りがいて、だいたい碁盤があったもんだ。
 核家族化は色々なものを変えたけど、一番変えたのは、こういうシュミの分野かもしれない。触れる機会が少なくなれば、それだけそれに惹かれる若者が減っていってしまうから。
 で、この作品の面白さは、囲碁のフトコロの広さだろう。
 還暦を過ぎたお年寄りと主人公のヒカルみたいな小学生が、対等に打ててしまうのが囲碁の(将棋もそうだが)面白いところ。

 なお、このマンガは『ヒカルの碁』というタイトルだが、もうひとつタイトルをつけるなら『(佐為の)囲碁バカ日誌』だ。
 平安時代の囲碁名人・藤原佐為(ふじわらのさい)は御前試合で八百長をかまされ、失意のうちに入水自殺。でも、まだ碁が打ちたかったあああああああっ、というわけで、碁盤に取りついて千年生きている。
 ピアスをしているオシャレな平安貴族で、碁を打てればハッピー、ハッピーという、とってもラブリィな囲碁バカ。
 こういう「○○していれば幸せ」というキャラは本当に好きだなあ。
 他にも魅力的なキャラが多いので、来週末までには全巻揃うかも。ああ、部屋が片付くのはいつの日か。

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2003/3/29

 Mr.jinさんが上京されるという連絡をよこしんさんからいただいた。
 私のサイトは、告知にとっても消極的なので(笑)ほとんどのゲストと面識がある。jinさんは、もう数年おつきあいはあるのだけれど、まだ一度もお目にかかったことがなかったのだ。
 数年来の野望が果たせて満足でございます。
 ありがとうございました。jinさん、よこしんさん、シンリュウさん。ついでに、ヤボ用のある私の最寄駅までお越しいただいてしまってすみませんでした〜。いや、ホント色々恐縮しきりでございます。


2003/3/28

 千趣会で買ったパソコンデスクが不良品だった。
 返品しようと重い思いをしてコンビニまで持って行ったのに
「宅急便として出せるのはタテ・ヨコ・奥行が180cm以内なんですよな〜」
と、受け取ってもらえず!
 ああ、せっかくお向かいのマンションからコッソリ台車を借りてまで運んだのに〜。(←不法侵入だぞ、リオハ)


2003/3/27

 つーことで、毎日眠いリオハです。こんにちは。
 この時期はすべての生産活動が止まりますね、我ながら(笑)。

 TBSの世界選手権の放映(地上波)を見ていて思う。なんでTBSはあんなに「銀盤の貴公子」とかあおり文句をつけるのが好きかな〜。
 でも、最近、あきれるを通り越して結構楽しみになってきたり(笑)。
 「ジャンプの申し子・恩田」なんてあたりは、ウマイと思ったし。

 さて、届いてから2週間たつDell子。ようやっとただの箱から「使える道具」までセットできてきました。
 権三(IBM製)が腹が痛い(CD-ROMが動かない)だの、もう働きたくない(Windowsが立ち上がらない)などとたびたび問題を起こしていたので、お殿様(IBM)には怒られるんだけど、実はしょっちゅうガワを開けていた。モニタ繋ぐのも、スピーカーもえへへん、てな感じ。
 最初に権三が届いた時に
「ノートにしておけば接続が簡単だったのに!」
と、オロオロしたいた私はどこに。やっぱり、苦労は人間を成長させますね(笑)。
 でも、あの時ノートを買ってたら、今、デスクトップは買ってないだろうなあ。


2003/3/26

 今年もスケートの世界選手権が始まった。(フィギュアの。←念の為)
 今年の開催地はワシントン。キナくさい時期にワケありの土地でやるんで、選手達も大変である。
 解説で本田武史の
「(戦争は)気にしていない。ここにはメダルを取りに来た」
というコメントを紹介していて、ちょっと感動する。
 あの「本番に弱い」タケシが、そんな骨太のコメントをするなんて、立派になって……(笑)。
 でも、もしかして「こんな時期に配慮のない」という反論をする人もいるかもしれない。私は本田の態度はスポーツマンとしてアタリマエだと思う。彼はスケーターで、スケーターとしての仕事を(アマだけどさ)しに行ったのだ。
 以前、カタリナ・ビットがオリンピックで反戦をテーマに滑ったが、あれは金メダリストのビットだからこそ出来ること。
 順位のあるスポーツなら、勝ってナンボ。まず自分の仕事をこなしてからでないと、どんな発言も重みがないのは、どの世界でも同じだろう。

 そういえば、国際スケート連盟がフィギュア部門が独立するとニュースでやっていた。
 前々からスピード・スケートとは仲が悪かったので、やっぱりね、といった感じ。穏やかな独立ではないので、もしかしたら2つの国際機関が出来る可能性もあるそうだ。
スケート・ファンも
「そんなに仲が悪いなら別れちゃえば」
と、夫婦に離婚を勧めるようなことをいっていたのだけれど、なんでも別れるってあっさりとはいかないものなのねえ。


2003/3/25

 仕事で、坂口憲二をCMに使っている某社から電話があった。
 いつもの担当とは別の人で、その人がお休みだったので代わりに連絡をくれたのだ。電話を置く間際、はっと気がつきあわてて聞いてみた。
「ポスターいただけませんか?」
 その電話の前に、派遣さんから「欲しい」といわれていたのだ。  その節は親切に全種類送っていただいてありがとうございました、Oさん。(こんなとこ見てないだろうけどさ)
 おかげさまで、会社の壁は坂口まみれでございます。
 いえ、私が貼ったんじゃないですことよ。後輩達が。(おほほのほ)
 5枚の坂口憲二ポスターが並んでいるのは、なかなか壮観っす。

 『大地(デメテル)のささやき』(七穂美也子/集英社コバルト文庫)読了。
 サブタイトルは花の探偵だそうで、もう、○○探偵というのはいっそ全部読んでやろうと思って読みました。
 読んで、まず、
「これ、この本の前にまだ話があるの!?」
と、思ったくらい、はじまりがとーとつ。
 主人公・峻は父の再婚で兄弟になった兄(もちろん美少年)・咲哉が大好きなのだけれど、どうしてそんなに大好きかが語られない。美貌だからか? もともと、主人公はゲイなのか?
 そこいらまったくわからないが、そーゆーものかコバルト文庫?

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2003/3/24

 『わが愛しのホームズ』読了。
 えーと、『
わが愛しのワトソン』と間違えそうなタイトルですが、別物でございます。
 今回は、双方ばっちり男性のまま、ワトソンはホームズを愛しちゃってます。ええ、もう、矢でも鉄砲でも持ってこいってんだ(涙)。
 ワトソンン最初の妻、メアリ・モースタンは女の人が好きで、この二人は仮面夫婦という……。
 しかも、しかもですね。オスカー・ワイルドと同じ時代に生きたワトソン、結構悪所にもお通いで、それをネタにモリアーティがホームズを脅迫。それが「最後の事件」に繋がるという……。
 好き嫌いが非常に別れる一作だろう。
 ……私? 私っすか?
 ふ、ふふふふふ……。(遠い目) まあ、『わが愛しのワトソン』を読み終わってすぐ読み始めたのに、読了が本日といっておこうか。

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2003/3/23

ハンニバル  まさかTVでやるとは思わなくて借りちゃったよ、『ハンニバル』。
 まあ、いいか。131分だし、TV放映枠だったらどこかカットされているだろう。

 今回の大賞(大将?)は、メイスン・ヴァージャー役のゲイリー・オールドマン。
 レクター博士の犠牲者で生き残った大富豪で、レクターの策にはまって自らの顔の皮を剥いでしまった、という役どころ。特殊メイクは見事……というか、だんだん見ているうちに愛らしくなってくるあたりが微妙(笑)。
 死に方も非常にショボいです(笑)。変態だけど頭は悪くないはずなのに、策を弄し過ぎてハマったというか。
 ゲイリー・オールドマンはレオンでおなじみの、ちょっと個性のある悪役を得意とする人なのだけれど、素顔はとっても家庭的なお父さん……ということもなく、アル中のヤク中で家庭内暴力を繰り返し(と、モト妻は言っている)3回も離婚しているという期待を裏切らない人です。
 今度、『ドラキュラ』借りて見てみようっと。

 さて、賛否両論の『ハンニバル』だが、私は結構楽しんだ。
 ジョディ・フォスターが『パニック・ルーム』に出てしまったので、クラリス役は交代している。ジュリアン・ムーア、悪くないっす。
 特に最後の方、レクターの「趣味のドレス」を着た彼女は素敵♪ ナイスなデザインは必見だわ。


2003/3/22

 『五十円玉二十枚の謎』読了。
 これは同じ謎に挑戦した短編を集めたという珍しいアンソロジー。
 作家の若竹七海氏が出会った不思議な話が元になっている。
 学生時代に書店でバイトをしていた時の話で、毎週土曜日になると地味な中年男が50円玉20枚を持って現われ、1,000円札に両替していくのだった。なぜその男は毎週、銀行などでなくそこの書店でそういう行動を繰り替えすのか。
……という疑問をクリアする短編を集めた1冊。プロ作品と一般公募からなっている。一般公募で入賞した中でプロになっている人もいるから立派。(でも、プロ作品は楽屋オチが多いので、確かに一般公募の方が面白いわ)

   私が出題部分を読んでパッと思いついたのは凶器説。

 初々しい女学生さんの書店員と知り合った男は、めでたく結婚。しかし、数年経つうちに妻は知り合った頃の初々しさをなくし、夫を捨てようとする。(新しい男も出来たのかも)
 夫はヘソクリの紐に通した50円玉のカタマリ(貧乏なのか?)で妻を殴り殺してしまう。とっさに強盗を装ったが、困ったのは凶器である大量の50円玉たち。家に置いておいて、ルミノール反応を取られたら一発だ。
 少しずつ両替してしまおうと思い立ったが、銀行には防犯カメラがある。防犯カメラがなく両替に応じてくれる一般店舗を探したら、皮肉なことに、妻と知り合った思い出の書店だった。しかも、カウンターには知り合った頃の妻を思わせる学生のバイトがいる……。

 てな、感じ。
 でも、あんまり面白くないなあ。やっぱり、私にミステリはムリか。

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2003/3/21

 SALAさんに声をかけてもらったので、いそいそと上野へ。
 ご主人の77太郎さんと上京されたのだ。仙台と富山の真ん中ということで東京になったそうで、一方の雄、期待のゆびさんは日にち間違いとかで現われず(笑)。ちぇーっ。
 よこしんさんがお店に直接登場、シンリュウさんがそれに続いて登場。
 最初の待ち合わせだと
「3人かもしれない」
と、いっていたのに、結局5人で11時くらいまで楽しくお話いたしました。
 最近、イラスト方面の方にお目にかかってなかったので、すごく面白かったです。SALAさん、皆様、どうもありがとうございました♪

 『パブロ・ピカソの遺産』(夏季真矢/中央公論新社)読了。

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2003/3/20

 もう、まったく日記に書いてなかったんだけど、身近な問題すぎて発言できませんでした。>戦争
 ああ、明日から3連休なのに出勤かもしれないわー。あははははは。(遠い目)
 でも、本日が連休でなくてよかったのかも。(ものごとはいい側面を見ないとね!) 最近、出前リストの脇に緊急連絡網を常に用意、ってな感じで過ごしております。出かけるときは携帯していきます。近所のスーパーにも持参です。(←さすがに嘘)
 でも、人間、慣れの動物ですね。
 9.11以来、バリのテロやら色々なことで慣れちゃって、
「そっか、戦争か〜」
と、あきらめの入ったダルやる気なさです。
 しかし、本日も危機管理室の人は徹夜であろう……。南無〜。

 ところで、昨日、佐川急便から夜の11時を回ったあたりで電話がありました。
 ネット通販で購入したPCデスクの配送です。
「12時までにお届けできないんですけど〜」
「別に12時過ぎてもいいですけど」
 最初、一瞬あきらめかけましたが、戦争が始まって忙しくなったら、いつ受け取れるかわかりません。
「……そうですか……」(←イヤそう)
「はい」
「……」
「…………」
「……わかりました」
 やったぜ。
 しかし、佐川くんが来てくれたのは日付が変わってから1時を過ぎた頃でした。リベンジか?


2003/3/19

 『パラノイアに憑かれた人々〈上〉――ヒトラーの脳との対話』(ロナルド シーゲル、小林等訳/草思社)読了。
 パラノイア(妄想症、偏執病)は妄想体系に冒される精神障害の病であるけれど、一般の予想と違って、あまりとっぴなもの、センス・オブ・ワンダーなものはないらしいと聞いていた。
 その予想を裏切るのがこの本。
 そして、普通の病気系ノンフィクションと違って読んでいてちっともつらくないのが、この本の特色だろう。
 著者はUCLAの精神医学准教授で臨床医。ところが読んでいて「この患者を救わねば」という悲壮感とか「どうして治療が上手く行かないのか」という無力感とも無縁だ。
 しかし、それはパラノイアのエッセンスを知りたい私にとっては願ったり叶ったり。猟奇殺人の捜査官のノンフィクションはツラかったもんね。

 この本で取り上げるのは目次を見る限りでは11の症例。上巻ではそのうちの4つが紹介されている。
 この妄想は秀逸である。
 実際に精神を病んでいる人にとってはツラいだろうし、無責任な発言ではあるが、オリジナリティがあるという点においては頭ひとつ飛びぬけている。
 例えば第1話「ヒトラーの脳との対話」。
 オープニングが素晴らしい。著者は勤務するUCLAの掃除のおじさんから「UCLAの地下のどこかにヒトラーの脳みそがある」という話を聞くのだ!
 掃除のおじさんは、職業柄、落ちている紙くずを拾わなくてはならない。そしてその人は拾った紙を丸めて捨てる代わりに伸ばして読むくせがある。
 ほらほらほら、面白いでしょ?
 アメリカはアインシュタインの脳を取りだし、ムッソリーニの脳を取り出した国だ。どこかにヒトラーの脳を隠し持っていても不思議ではない。

 妄想症は、猜疑心から生まれるものだという。
 その猜疑心を作品に昇華させるのが作家であり、クリエイターなのだろう。そして、その猜疑心を内部に昇華させてしまうのがパラノイア。だとしたら、ものを作る人とパラノイアの境は案外薄いのかもしれない。

上巻目次:
プロローグ 暗闇の中で蠢くもの/序章 パラノイアの悪魔/第1話 ヒトラーの脳との対話/第2話 個人監視用人工衛星/第3話 歯がささやきかける/第4話 鏡の中のバレリーナ
下巻目次:
第5話 虫の群れが襲ってくる/第6話 殺人生物群/第7話 チェス・プレイヤー/第8話 神になった男/第9話 十番目の災厄/第10話 小人退治/第11話 パラノイア急行/エピローグ ヘミングウェイの墓所にて

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2003/3/18

 コンボイ・ショウというダンスのステージを見に行く予定だったのだが、急にパーティに呼ばれたので開演2時間前に慌ててチケットの行き先を探す。
 まわりに聞いてみても、みんな予定が入ってる。
 チケット代はともかく、行きたい人もいるだろうに。もったいないよう〜。
 と、いうことで。
 私、最終手段として全社にIPメッセージを打ちました。役員から部長から全部。(と、いっても、IPが立ち上がっている人だけなので、80名くらい)
 10秒後に希望者が名乗り出ました。す、素晴らしーっ!
 今日はテクノロジーの素晴らしさというものを実感しましたよ!

 んでもって、急に呼ばれた方は広尾のエノテカというところ。
 小さな店舗なんで、非常にこじんまりしたいい感じのパーティでした。ええ、特に一口大でしたが、フォアグラどんぶりが出たあたりが。……って、結局、食欲かいっ。


2003/3/17

 午後休を取って税務署へ。先週、泣きながら確定申告の書類を書いたですよ。

 夕方から、ご招待いただいたワーク・ショップ&カクテル・パーティのためにホテル・オークラへ。
 なんとなくヤバい気がしたので着替えに家に戻って、ついでに場所を確認。最寄駅は赤坂よね、と、思って東京の地図を見てたら、そこには

 ホテル・ニューオータニ

と、あるではありませんか。
 オークラとオータニ。
 惜しい。
 いや、場所は赤坂と六本木だ。間違えて行かなくてよかったぜ。
 そういや同期が結婚する時、会社から帰る時に
「じゃ、明日、椿山荘でね!」
と、さわやかに帰ろうとしたら
「雅叙園だよ、リオハ(仮名)ちゃん……」
と、いわれた。
 東京もんにとってのケッコン式場といえば、椿山荘と雅叙園だからさっ。両方とも三文字だし、間違えちまったいっ。
 雅叙園の最寄駅は目黒。椿山荘は……。
「目白、行っちゃわないでね」
 不安のあまり8:20のカタチの眉になった同期を残して帰った私でした。


2003/3/16

 この日は頭が痛くて、だらだらとしてました。
 どうもお休みになるとダメだなあ。

 『勿忘草(わすれなぐさ)』(祥伝社文庫)読了。女流作家による恋愛ホラーアンソロジー。
 ホラーというカテゴリのせいもあるが、短編っていうのはあまりハッピー・エンドがない。だいたいがバッド・エンドでちょっと読みつづけてるとヘヴィです。
 確か、これも1月からだらだらと読んでいたんだけど、読後感のせいだったのかも。

『勿忘草(わすれなぐさ)』(祥伝社文庫):
岩井志麻子『よく迷う道』、島村洋子『托卵』、田中雅美『暗い夢』、加門七海『犬恋』、図子慧『夜の客』、森奈津子『人形草』、永井するみ『針』、加納朋子『シンデレラの城』

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2003/3/15

聖なる嘘つき  これは、いい。『聖なる嘘つき』。
 ロビン・ウィリアムズ主演作品では、私は『レナードの朝』が一番好きなのだが、これはそれを抜……きはしなかったが(笑)、それに迫るいきおい。エライ。
 とにかくロビン・ウィリアムズのウリのひとつ、「せつなおかしい」表情が非常に生かされた作品だと思うんですね。

 第二次大戦中、ナチスの占領下にあったポーランド。
 情報は統制され、ラジオを隠し持って聞いていだけで銃殺になるような暗い日々を人々は送っていた。
 ユダヤ人居住区に住むヤーコブは、ある日偶然、ナチスの司令部でラジオのニュースを聞いてしまう。ラジオが伝えるのは、ソ連がわずか400kmに来ているというユダヤ人にとっては明るい戦況だった。
 自暴自棄になっているユダヤ人の青年を救うためにその話を洩らすと、翌日にはゲットー中で「ジェイコブラジオを聞いている」と評判になってしまう。
 1度は噂を否定したジェイコブだが、医者の「絶望が人を殺すのだ」という言葉に、持ってもいないラジオのニュースを語り始めるようになり……。

 なんか設定だけでも泣きそうでしょ?
 このヤーコブというのが勇気ある人でもなく、偉大な人でもなく、土壇場で見せ場があるわけでないのが、こりゃまたすごい。
 ドラマチックさを演出するなんて簡単なのに、それをしない。
 そして、強制収容所行きの列車から逃げてきた少女とのダンスは、やっぱり泣かせる。

 しかし、そう思っただけで実際泣いてないのは、ジェイコブがまだ若いからだろうな〜。これが60才を越えていたら、それだけで滂沱(笑)。おんじとハイジの組み合わせとか、とことん弱いのようっ。


2003/3/14

 佐川くんが夜の9時に来て、無事にDell子が受け取れました。
 ダンボールの外にFedexとかベタベタとシ−ルが貼ってあるので読んでたら、中国からFedexで来て、成田から佐川急便にリレーしたらしい。
 Dell子の故郷は中国であったか……。
 しかし、海外から来たとは思えない素晴らしい早さである。

――――中国の鄙びた寒村、老人が川で釣り糸を垂れている。
 手応えがあった瞬間、頭上で鳥がひと声鋭く鳴いた。
「魚が逃げてしまったではないか……」
 その言葉がわかったかのように、鳥が申し訳なさそうな鳴き声をたてながら、老人の肩に止まった。胸の赤い小鳥である。
「よしよし。お前のせいではないのだよ。知らせてくれてありがとう」
 小鳥は嬉しそうに、傾きかけた萱葺きの家に向かう老人の回りを飛びまわった。
「あ、老師だ!」
「老師、お帰りなさい」
 10歳ばかりの男の子と、それよりは年長の男の子が老人を迎える。粗末な身なりだか、利発そうな顔立ちをしている。
「老師、知らせが来ました!」
 そういうと、手にした巻紙を老人に差し出す。
「うむうむ。因特網は早いのう。硬件から始めるか」
 そういうと、老人は小屋の中に入り、足元に置いてあった箱を取り上げると、壁にずらりと収められた品物をポンポンと放り込む。
「數據機はナシか……。 これとこれと……」
 どうやら必要なものは入れたらしい。コンコンと箱を叩き蓋をすると、少年達に箱を渡した。
「すごいや、やっぱり老師は早いなあ」
「俺も大きくなったら老師みたいになるんだ!」
 少年達ははしゃぎながら箱を受け取る。
「わかったから、化粧箱に詰めなさい。滑鼠と鍵盤も忘れずにな」
「はーい」

……なあんていう風景がとっさに浮かんだんですが。
 いや、それくらい早いと(笑)。

 ちなみに硬件がハードウェア、數據機はモデムです。あとは想像してみてくだされ。


2003/3/13

 TOPでPCを買いかえることにした、と、書いたと思ったら、もうDellから配送があった。
 6日の夜にネットで申し込みをしたのに、早い、早いぞ、Dell!
 しかし、私は残業で10時過ぎに帰ったので受け取れず。まあ、もっとも、モニターを実家から運ぶまでは、来てもただの箱なんだけどさ。

 権三のOSはWin98で、当時出たばっかりだった。
 今度のOSはXP。
 私がボヤボヤしている間に2バージョンも進んでいる。テキトーにネットでオーダーしてしまったのだが、CPUの2.4Ghzというのはどの程度高スペックなのだろう。(←選べる中で最低が2.4Ghzだった) だいたい、今の標準のスペックはどれくらいなのだろう……。
 つーか、今、思ったが、こんな日記の更新程度でそんな高スペックがいるのだろうか。かといって、ご自宅でエクセル使って高度な表を作る気にもなれないしねえ。


2003/3/12

 やられた。思わずブックデザインに負けて購入した『いとし、愛しと言うこころ』(竹美家らら/幻冬舎)。
 白が基調の茶系のイラストと藤色っぽい色の文字の組み合わせが絶妙で、タイトルも文字位置もいうことなし!(もっとよく見たい方は右のイメージをクリックしてください)
 だいたいコミックというのは今までのシバリで作られて、「これは!」というブックデザインになかなか出会えない。例外が最近コミックスを出しはじめた出版社で……えーっと、特にボーイズ・ラブに優れたデザインが多いんですね、これが。
 この本もそうなのだけど、そんなにヘヴィじゃないので、キヨラカなワタクシもオッケー♪

 タイトル『いとし、愛(いと)しと言うこころ』は、「恋」の旧字「」の覚え方。(字をよく見るとわかるはず)
 こういう地口って割と好きだ。

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2003/3/11

 5年ほど連れ添った愛機・権三(IBM製)を勇退させることにしました。
 1月から電源は入ってもOSが立ち上がらず、このままでは用心棒のダンナに俸禄を払ってイザという時に備えていたのに「ダンナ、お願いします」と声をかけたら逃げていた……という状態だからです。(←何がなんだか)
 大刀(DVD-ROM)小刀(256メモリ)を召し上げ、すっぴんの状態に戻してダンボール箱詰め。印籠(マウス)も矢立て(キーボード)も家伝書(マニュアル)も一緒に入れたのに、ご奉公をしに家に来た時とは見違えるほど小さくなった権三がいました。(当たり前だ。緩衝材をほとんど入れてない)
 今までありがとう。新天地でも元気でね。
 つなぎの者(佐川急便のお兄さん)に連れていかれる権三を、私は心の中でドナドナを歌いながら見送ったのでした。

 即日、実見積もりが来ました。
 権三の下取り料金、1,500円也。


2003/3/10

おしゃれ泥棒  ヘップバーンの『おしゃれ泥棒』を見る。

 ヘップバーンは、贋作の名人を父に持つパリジェンヌ・ニコラ役。
 屋敷に忍び込んだシモン(ピーター・オトゥール)を大泥棒と思ったニコラは、父が美術館に寄贈した彫刻(もちろん贋作)がバレないうちに取り戻そうとする。警報装置とたくさんのガードマンに守られた彫刻を盗み出す方法は……。

 ピーター・オトゥールは、なんなくサル顔で、奇想天外な盗みの手段といい、とってもルパンを思い出す。公開が1966年だし、モンキー・パンチ氏は映画好きで知られているので、もしかして本当にルパン3世のモトなのかもしれない。
 全体的に軽妙洒脱でシャレていて、こういう感じのコン・ゲームは大好き。
 この作品のポイントは、"How To Steal A Million"という原題に『おしゃれ泥棒』という邦題をつけたことだろう。映画会社がつけた邦題がうまくいった例なんじゃないだろうか。こまっしゃくれてかわいい感じで、この映画によく似合っている。
 ジバンシーのドレスを着てパリの町をジャガーで走りぬけるヘップバーンは颯爽として、それでいてかわいくて、懐かしい時代の素敵なファッション・リーダーだ。


2003/3/9

 去年から、ちょっと心がけて贋作ホームズものを読んでいる。いつか、店主のおすすめでまとめられるかと思ってだ。(←作業が多い割に更新できないコーナー)
 これもその一つ、『わが愛しのワトスン』(マーガレット・パーク・ブリッジズ、春野丈伸訳/文芸春秋)。第10回サントリーミステリー大賞特別佳作賞作品。
 人によって贋作として受け入れられるかどうか微妙な作品だと思う。それは、基本設定が

 私はシャーロック・ホームズとして世間に知られている。しかし真実の名はルーシーといい、今も昔も私は女なのだ。

だからだ。
 ホームズが女という設定を受け入れられるか、られないか。読後感からいうと、内容的にホームズが女でなければならない必然性はないと思う。
 ミステリ的に女でなければならないという必然性で、物語的にはホームズが女であることが必要なんだろう。なぜなら、これはホームズとワトソンの親密すぎる間柄の一種の回答だからだ。
 でも……ある嗜好を持つお嬢さん方は、普通以上に「ホームズを女にする必要はない!」と、言いそうな気がする……。いや、なんとなく(笑)。

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2003/3/8

羊たちの沈黙  私は恋愛ものを読んで泣いたことがない。『センセイの鞄』で泣くのは、たぶん、センセイの年齢が60代後半か70代だからだ。
 いや、もう、ホントに私はジジィに弱いんですね。
 『赤毛のアン』なんてマシュウが出てきただけで泣くもの。
 つうことで、初めて見ましたが、なんとなくレクターが騒がれるのがわかった『羊たちの沈黙』。
 変態だし、悪いほうにスーパー・ジジィ(1作目ではアンソニー・ホプキンスもまだ若いけど)だけど、これだけ鮮やかだと、スゴイと思っちゃうなあ。

 劇場公開の時に行った友達が「本当にコワイ」といっていたので今まで見なかったけど、見てみたら平気でした。ノン・フィクションと比べたらコワくないさっ。へへんっ。
 ……って、こう、妙に猟奇殺人にこなれた自分がちょっと悲しい……。
 ともかく、久しぶりに「息もつかせぬ」という映画だった。サスペンスはやっぱり、ハラハラドキドキの展開がよろし。


2003/3/7

 電車の中で読んでて泣きました。『センセイの鞄』(川上弘美/平凡社)。
 30代後半の月子さんと、高校時代の担任の先生だったセンセイとの物語。センセイは月子さんより30才と少し年上だ。
 月子さんはゆっくりとセンセイが好きになっていく。決定的に恋愛の領域に話が入るのは本の後半まで待たなければいけないのだけれど、実は1話でヤバイなとは思ったのだ。

「ワタクシはね、ものを捨てられないんですよ」

 センセイの家で、月子さんはしまってあったたくさんの電池を見せてもらう。電池の腹にはマジックで『ヒゲソリ』『ラジヲ』『懐中デントウ』と前身が書いてある。
 せっせと自分のために働いてくれた電池があわれで捨てられない先生は、電池の奮闘のエピソードを語ってくれるのだ。
 ちょっと変だけど、愛らしいでしょう?
 もしかしたら、この瞬間に月子さんは恋に落ちていたのかもしれない、なんて思ってしまう。

「ツキコさん、ワタクシはいったいあと、どのくらい生きられるでしょう」
 突然、センセイが聞いた。センセイと目が合った。静かな目の色。
「ずっと、ずっとです」わたしは反射的に叫んだ。

 とても相性のいい変わり者二人なのだけれど、二人の間には30と少しの年月が横たわっている。
 月子さんは元同級生に言い寄られたりして、いい雰囲気になったりもする。
 オトナになると恋愛は難しいもんですねえ、なんて、センセイのようにつぶやいてしまう私だ。

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2003/3/6

 見ようと思えばなんとかなるもんですね。
 去年のテレビの平均視聴時間が1日15分だったワタクシも、心がけたらフジの『美女か野獣』をほぼ見れております。
 本日の放映は、密かに応援している古袋さんが主役でございました。
 視聴率を上げるためには報道の本来の目的を投げ出していいのか、という感じの回です。個人的は自己ツッコミのような内容はどうかなー、と思うのですが、演技達者が揃っているので見てて説得力があります。
 古袋役の佐々木蔵ノ介さんも劇団出身で舞台経験アリ。
 『HR』なんかを見てて思うんだけど、ああいう間とか動きで見せるコメディって、やっぱり舞台出身の俳優さんはうまいなあと。
 脚本もあるが、『王様のレストラン』は本当に面白かった。
 やっぱり閉じた場面が続く芝居の場合、舞台出身の役者さんで固めた方がいいのかなあ、なんて某番組を見て思ったりする。


2003/3/5

 『聖霊狩り――惑いし子ら 』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。えーっと、これも先月のどこかで読みました。
 したがって、先月の『
聖霊狩り――天使のささやき』の読了日付はウソ(笑)。
 シリーズ5作目で、ちょっと展開がハードになってきた。だから、あんまり笑えるシーンがなくなって個人的には悲しい。

 そういえば、(こっちも読んでると一層楽しい)前シリーズ『闇に歌えば』を友達に「おもしろいから!」と貸したら、
「挿絵が受けつけない」
と、未読で戻ってきたことがあった。
 挿絵って重要なんだなあ。
 今のイラストは元気がよくていいと思うが、難をいえば、表紙の二人の区別とダブルヒロインの区別が私にはつきません。

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2003/3/4

 『夏合宿』(瀬川ことび/角川ホラー文庫)読了。えーっと、先月のどこかで(笑)。
 『
お葬式』と同じで、笑えるホラー短編集。
 森奈津子が「お笑いSM百合作家」だとしたら、瀬川ことび(貴次)は「お笑いホラー作家」だろう。  今回、私のお気に入りは『廃屋』。
 どうなるんだろう……と、読み進んでいると、思わぬところでオチが来てびっくり。この素材をこう料理するとは思いつかなかったよ。

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2003/3/2

アウトブレイク  一時期、割と真剣にウィルス関連を調べていて、その時に「見たいな〜」と思っていた『アウトブレイク』を今ごろ鑑賞。
 アウトブレイクとは、「爆発的に広がる」こと。
 この映画みたいに、病院には隔離するスペースもなくなってしまい運動会のようなテントを張って患者を寝かせ、死体を処理するヒマもなくぶっ積んで丸焼きにするくらい罹患者が爆発的な状況をいう。(←そこまで爆発的じゃなくてもいいます)
 この頃、『ホットゾーン』というエボラ出血熱の小説がブレイクしていたので、たぶん、その影響で製作されたと思われ。

 米国厚生省疾病管理・予防センター(CDC)と軍の関係とか、レベル4(エボラ出血熱などの非常に致死性の強い危険なウィルス)の施設ってこんな感じなのか〜とか、割とマニアックな点に注目したので、映画の感想が出てきませんが……えー、面白かったです(笑)。
 だって、主役のダスティ・ホフマンったら、大きな犬を2匹も飼ってるんですよっ!
 しかも、お風呂で犬を洗ってるんですよっ!
 おまけに、洗い終わった犬にはバスタオルをかけてあげてるんですよっ!
 ……ぜいぜい、はあはあ。
 おサルのぷりちーな寝姿も拝めます。動物好きにはたまらな……っていう映画じゃなかったか(笑)。



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